歯周病と糖尿病には共通点が多い?密接に関わっている両者の関係とは | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2017年11月21日

歯周病と糖尿病には相互に密接な関わりがあります。歯周病は糖尿病の合併症の一つですし、歯周病もまた糖尿病を引き起こす危険因子の一つであると考えられています。実は共通点も多い歯周病と糖尿病の関係についてまとめました。

歯周病とは

歯周病は、歯茎の細菌感染症です。歯茎に炎症を起こし、徐々に歯を支える歯周組織を破壊していきます。最終的には歯茎で歯を支えられなくなり、歯が抜け落ちてしまう病気です。歯を失う三大原因の一つであり、成人の8割以上が歯周病にかかっている、または予備軍であるとされています。
歯周病は全身疾患との関連性が高く、高齢者の死因に多い誤嚥性肺炎を引き起こします。さらに歯周病菌が血液を通して全身を巡ると、脳梗塞、感染性心内膜炎、低体重児出産などの原因となることもあります。

歯周病の原因

歯周病の原因は、口内に存在する特定の常在菌です。プラークという細菌や汚れの塊の中に存在し、普段は身体の抵抗力や歯磨きによるプラークの除去によって数が抑えられています。
しかし加齢などにより身体の免疫力が下がったり、歯磨きでしっかりとプラークを落とせなかったりすると、菌が爆発的に増えて歯茎に炎症を起こします。これが歯周病の始まりです。歯周病は、食生活や生活習慣にも深く関わっていることから、生活習慣病の一つでもあります。
丁寧なブラッシングや、歯ブラシでは届かない箇所のプラークを歯科医院で除去してもらうことで、進行を抑えることができます。歯周病は進行性の病気であり、完全な治癒はなく、症状を抑えるためには一生をかけてのプラークコントロールが必要です。 口内には800種類以上の細菌が生息していますが、中でも歯周病との関連性が高い菌は10種類前後あることがわかっています。口内に生息する菌の種類によって歯周病の症状も変わり、ゆっくりと症状が進む慢性歯周炎と、急速に組織破壊が起こる侵襲性歯周炎とに分かれます。ほとんどが慢性歯周炎であり、侵襲性歯周炎は遺伝や家族内での感染などで起こります。

歯周病の初期症状

歯肉に炎症が起こる歯肉炎を起こします。痛みはありませんが、歯茎が赤く腫れて、歯磨きの時に出血が見られることもあります。疲れやストレスで一時的に身体の免疫力が下がった際になりやすい症状です。
歯肉炎はまだ歯周病の一歩手前という状態のため、丁寧なブラッシングや体調を整えることで症状が改善します。

重度の歯周病の症状

歯肉炎を放置して、歯周病の原因菌が歯肉の奥の歯槽骨にまで感染を広げると、歯周炎という段階に進みます。痛みはありませんが、口臭や歯のグラつきが見られるようになります。歯茎の後退も見られ、歯根が露出して歯が長くなったように感じます。
歯周炎にまで進行すると、歯磨きでのプラーク除去だけでは改善せず、歯科医院での長期的な治療が必要となります。破壊された歯周組織は自然に治癒することはありませんので、歯周外科手術や歯周再生療法によって可能な範囲で修復していくことになります。
歯周炎を放置すると、血管に入り込んだ歯周病菌は全身へと周り、脳梗塞や心筋梗塞などの血管障害を起こします。

糖尿病とは

糖尿病とは、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高い状態が続くことで、身体中に様々な合併症を起こしてしまう病気です。 食事をすると、食べ物から分解されたブドウ糖が血液中に溶け込み、一時的に血糖値が上がります。健康な身体では、インスリンというホルモンの働きによって糖分がエネルギーに変換され、血糖値は元の値に戻ります。しかし糖尿病になるとインスリンが正常に作用せず、糖代謝が行われないために、血液中にブドウ糖が蓄積され、慢性的に血糖値が高い状態が続いてしまうのです。

糖尿病の原因

糖尿病はインスリンの機能不全によって起こりますが、原因によって大きく二つのタイプに分かれます。

一つ目は、自己免疫異常によりインスリンを作るすい臓の細胞が徐々に破壊されていき、体内のインスリン量が不足することで起こる1型糖尿病です。多くは子どもや若い人が突発的に発病することが特徴であり、はっきりとした原因はわかっていません。基本的には薬物療法(インスリン注射)によって症状を抑えていきます。

二つ目は、インスリン分泌能力の低下やインスリンの機能低下、その両方によって起きる2型糖尿病です。中高年に多くみられ、糖尿病患者の9割以上が2型糖尿病に分類されています。2型糖尿病は、遺伝的な因子に環境因子が加わることで発症します。
遺伝的な因子として、日本人は欧米人と比べるとインスリンの分泌機能が低いことが挙げられます。
環境因子として、運動不足、過食、肥満、加齢などが挙げられます。特に肥満はインスリンの働きを弱めるため、糖尿病の直接的な原因となります。本来日本人の身体には合わない欧米型の食生活が中心になったことで、糖尿病になってしまう人が急増したと考えられています。
2型糖尿病は、運動や食生活の改善によって防げることから、生活習慣病に分類されています。治療は、運動療法と食事療法が中心となります。

糖尿病は、歯周病と同じく進行性の病気であり、完治という概念はありません。症状を抑えるには一生をかけての血糖コントロールが必要です。

糖尿病の初期症状

血糖値が高い状態が続くと、とにかく体外に排出して濃度を薄めようとするため、尿の量と回数が増えます。身体の水分量が減ることで、頻繁に喉の渇きを感じるようになります。 またインスリンによるエネルギー変換が正常に行われないために、体重が減る、身体が疲れやすくなる、空腹感が取れないなどといった症状があらわれます。
どれも特殊な症状ではないため糖尿病の自覚症状に乏しく、知らないうちに進行してしまう点で歯周病と共通しています。

重度の糖尿病の症状

高血糖の状態が長期間続くと血管が痛んでしまい、合併症として様々な血管障害を起こしてしまいます。
細い血管がもろくなることで起こる細小血管障害として、視覚障害を起こす網膜症、腎不全を起こす腎症、手足がしびれる神経障害などが挙げられます。
太い血管が詰まったり硬くなってしまったりすることで起こる大血管障害では、脳梗塞や心筋梗塞、手足の障害である閉塞性動脈硬化症を引き起こします。

歯周病と糖尿病の関係

歯周病と糖尿病には相関関係があります。糖尿病の人は歯周病になりやすく、また悪化しやすい傾向にあります。またその逆で、歯周病の人は糖尿病になりやすく、悪化しやすいことが、徐々に明らかになってきています。

糖尿病の人は歯周病になりやすく悪化しやすい

糖尿病になると、血流の悪化とともに身体の免疫力も下がり、歯周病菌を抑える働きも低下してしまいます。
血糖値の上昇によって増えた糖化タンパクが、歯周組織の免疫機能を過剰に刺激して、炎症を促すサイトカインという物質を増やし、歯周病を悪化させると考えられています。
糖尿病患者は、歯肉の炎症が起きやすく、そして一度炎症が起きると治まりにくくなってしまうのです。
また、糖尿病の症状である口乾も、口内環境を悪化させるため、歯周病を悪化させる一因となります。

歯周病の人は糖尿病になりやすく悪化しやすい

歯周病の炎症を促す炎症性サイトカインは、インスリンの機能を阻害することがわかっています。歯周病によって増えたサイトカインがインスリンの機能を阻害して血糖コントロールが難しくなった結果、糖尿病になってしまったり、悪化させてしまったりするのです。
逆に歯周病治療を行えば、サイトカインの濃度が低下し、インスリンも正常に作用するようになるため、糖尿病を改善することができると考えられています。

まとめ

歯周病と糖尿病には、下記のように多くの共通点が見られます。
歯周病も糖尿病も、自覚症状に乏しい割には、悪化させると命に関わるような合併症を引き起こす、恐ろしい病気です。
一方で、ともに生活習慣病であるため、日々の食生活や生活習慣に気をつけることで、発症のリスクを減らすことができ、普通の人と同じような生活を送ることができます。
歯の健康と全身の健康を守るためにも、規則正しい生活、適度な運動、栄養バランスの良い食事、そして食後の歯磨きを怠らないようにしましょう。

歯周病と糖尿病の共通点

原因 特徴 治療 関連のある全身疾患の例
歯周病 ・遺伝や家族感染
・生活習慣
・進行性
・自覚症状に乏しい
・プラークコントロール
・生活習慣の改善
心筋梗塞、脳梗塞、胎児や母体のトラブル、糖尿病
糖尿病 ・免疫異常
・生活習慣
・進行性
・自覚症状に乏しい
・血糖値コントロール
・生活習慣の改善
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