歯科用レーザーの種類と7つのスゴい機能 | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2017年12月16日

切開から鎮痛まで、様々に活用されている歯科用レーザーですが、種類がいくつかあり、歯科医院ごとに使用されているレーザーも異なります。
レーザーは万能ではなく、性質によってできることやできないことが存在します。例えば、歯肉のような柔らかい組織を切開するのは、多くのレーザーでも可能なことですが、歯のような硬い組織を削ることに関しては、エルビウム系のレーザーでしかできません。
今回は、歯科用レーザーの種類とそれぞれの性質について、そして主な7つの機能について紹介します。

歯科用レーザーの種類

歯科用レーザーには複数の種類があり、大きく分けて奥まで届く組織透過型レーザーと、表面にのみ作用する組織表面吸収型レーザーに分けることができます。
2つの違いは水吸収性の違いです。人体の軟組織のほとんどは水分で構成されています。水吸収率の低いレーザーほどエネルギーが吸収されにくいため組織の奥まで作用します。逆に水吸収性の高いレーザーは、すぐに水分の含まれた組織に吸収されるため表面でしか反応しません。

水吸収性の違い

組織透過型 組織表面吸収型
・半導体レーザー
・Nd:YAGレーザー
・He-Neレーザー
・CO2(炭酸ガス)レーザー
・Er:YAGレーザー
・Er,Cr:YSGGレーザー
・ノーファイバーEr:YAGレーザー

組織透過型レーザー

水吸収率が低く、レーザーが組織の内部にまで浸透するレーザーです。このタイプのレーザーは温熱効果や血液凝固(止血)効果があります。
組織透過型レーザーの例として半導体レーザーやNd:YAGレーザーがあります。血やメラニンなどの濃い色に反応する特性があり、これにより一部に熱が集中するため、切開や蒸散・止血が可能となります。ただし、内部組織への熱変性も大きいため、治癒が遅くなることがあります。
歯などの硬い組織を削ることはできませんが、歯へ照射することで熱蓄積による鎮痛や麻酔効果があります。特にHe-Neレーザーは鎮痛・麻酔、創傷治癒促進といった内科的なレーザー治療(LLLT)に特化しています。

組織表面吸収型レーザー

組織表面吸収型レーザーは、組織の表層だけに作用し、深部には影響が少ないのが特徴です。歯肉の切開や止血といった外科的レーザー治療(HLLT)で多く用いられています。

代表的なものとして、CO2(炭酸ガス)レーザーが挙げられます。水分の含まれた組織に照射すると、表面で瞬時に熱変換され、組織が蒸散・熱凝固します。内部組織への影響が少ないため、治癒が早いのが特徴です。
硬組織への治療が可能なのが、Er:YAGレーザー、Er,Cr:YSGGレーザー、ノーファイバーEr:YAGレーザーです。水とハイドロキシアパタイトへの吸収が高く、水蒸気爆発を起こすことで歯肉や歯質、骨を削っていきます。
従来のEr:YAGレーザーは組織内部の水分を利用して水爆発を起こしているのに対して、新しく開発されたEr,Cr:YSGGレーザーやノーファイバーEr:YAGレーザーは、ハンドピースからの注水によって組織外で爆発を起こすハイドロキネティックという技術を用いています。さらにノーファイバーEr:YAGレーザーは、Er,Cr:YSGGレーザーの欠点であった色素反応にも優れているため、う蝕歯質や歯石の除去にも適しています。

炭酸ガスレーザーも、熱によってう蝕歯質を蒸発させることはできますが、健全歯質との温度差によって亀裂が生じてしまう恐れがあります。また長時間の照射は、熱蓄積により骨の腐食を招く恐れがあるため、禁忌とされています。
Er:YAGレーザー、Er,Cr:YSGGレーザー、ノーファイバーEr:YAGレーザーなどのEr系レーザーは、硬組織への熱吸収が少ないため、亀裂のリクスが少なく安全に削ることができます。

軟組織や硬組織への治療の可否

レーザーの種類 軟組織の切開 硬組織の切開
半導体レーザー ×
Nd:YAGレーザー
He-Neレーザー × ×
CO2(炭酸ガス)レーザー
Er:YAGレーザー
Er,Cr:YSGGレーザー
ノーファイバーEr:YAGレーザー

△・・・う蝕歯質の蒸散のみで、健全な歯質の切削はできません。

HLLT(High reactive Level Laser Therapy)とLLLT(Low reactive Level Laser Therapy)

レーザーは、出力の大きさを変えることで幅広い使い方をすることができます。焦点を絞ることでレーザーの温度が上がるため、歯肉の切開・凝固などより外科的な作用(HLLT)に調整することができます。逆に焦点をずらすと、温熱・鎮痛効果などより内科的な作用(LLLT)へと変えることができます。前者を光熱作用といい、炭化、蒸散、凝固など組織に対して不可逆的な変化を与えます。後者を光化学作用といい、細胞の活性化など可逆的な変化を与えます。 ただし、組織透過型と組織表面吸収型では、それぞれ周辺組織に与える影響が異なってくるため、症状に適した使い分けがされる必要があります。
例えば、口内炎の治療には組織透過型と組織表面吸収型、どちらのレーザーも中程度の出力で用いられることがあります。しかし与える影響はそれぞれ異なり、組織透過型の場合には、組織の表面には作用せず、内部への照射により鎮痛・麻酔効果が得られます。
一方で組織表面吸収型では、表面に薄い凝固層を作ることにより、外からの刺激をブロックすることで痛みを抑える効果が得られます。

出力による治療範囲の変化

組織透過型 組織表面吸収型
HLLT


LLLT
・切開、凝固
・乾燥、止血
・疼痛緩和
・切開、蒸散
・表層の凝固
・疼痛緩和

歯科用レーザーの7つの機能

歯科用レーザーは、レーザーの波長や出力によって様々な効果が得られることがわかりました。高出力のレーザーには、切開や蒸散など外科的な作用があり、低出力のレーザーには鎮痛、細胞活性化など内科的な作用があります。

組織の切開・蒸散・切削

レーザーメスとして外科的な手術に用いられます。切開だけでなく、病変部の切除や蒸散、焼灼(焼いて治療すること)を行うこともできます。
歯肉や粘膜などの軟組織だけでなく、歯や骨など、硬い組織へも作用できるレーザーもあります。歯や顎骨の切削、歯石の除去を行うことができます。

凝固・止血

レーザーは熱により血液を凝固させる効果があります。外科的な手術の際にも、止血をしながら切開が出来るため出血が少なくて済みます。

殺菌・消毒

病原物質を蒸散させることにより、殺菌・消毒効果があります。虫歯や歯周病の原因菌にも作用するため、治療にレーザーを用いることで高い効果を得ることができます。

鎮痛・消炎

出力を微弱に設定したレーザーには、鎮痛・消炎の効果があります。非侵襲的な方法なので、アレルギーなどで薬剤の服用が難しい場合にも非常に有効な方法となります。

創傷治癒促進

レーザーを創傷面に照射することで細胞を活性化し、傷の治りを早く治すこともできます。

歯質の強化

象牙質にレーザーを照射すると、表面に硬いハイドロキシアパタイトの層ができることがわかっています。この層によって歯の酸耐性が向上し、虫歯になりにくい強い歯質にすることができます。

薬剤の活発化

レーザーの熱には、薬剤の効能を活発化させる作用があります。フッ素やホワイトニング剤など薬剤の塗布の際に、合わせてレーザー照射を行うことで、より大きい効果を得ることができます。

まとめ

歯科用レーザーは、切開から創傷の治癒促進まで、様々な作用があることがわかりました。レーザーの種類にも複数あり、それぞれに得意な分野、不得意な分野があるため、術者はレーザーに関する正しい知識を身に付けて、起こりうるリスクを最小限に抑えなければなりません。
患者自身も歯科医院が使用しているレーザーがどのタイプのものかを知ることで、治療への理解も深まります。
具体的にどのような診療に活用されているかは、「ホワイトニングから口内炎治療まで!歯科用レーザーでできる13の診療」を御覧ください。