レントゲンとCTの違いとは?メリットとデメリットを比較 | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2017年12月25日

レントゲンもCTも、X線による照射によって身体の内部の情報を写し出すことのできる機械です。目視だけでは虫歯の深さや骨の状況を確認することはできません。近年の歯科診療においてレントゲンやCTは治療を成功させるためには欠かせないものとなっています。
今回は、レントゲンとCTの違いを、それぞれのメリットとデメリットから紹介します。

レントゲンは二次元の情報

レントゲン(X線撮影)は、一方向からのX線照射によって身体の内部を平面的(二次元的)に写し出す機械です。部位ごとに写すデンタル、全体を写すパノラマなどがあります。前後に写るものはすべて重なって写し出されてしまうので、見たい部分によって照射角度や範囲を様々に変えながら撮影していきます。
レントゲンは、X線の透過性の高い部分は黒く写り、逆に透過性の低い部分は白く写ります。骨や歯は密度が高いほど白く写り、密度の低い溶けた骨や虫歯はより黒く写ります。この特徴を利用して、虫歯や歯周病の診断に利用されています。

メリット①被曝量

レントゲンのメリットは、1回の撮影時のX線の照射時間が短いため、CTと比較すると身体への被曝量が少ないことです。
歯科用CTは1回につき0.1~0.2ミリシーベルト※程であるのに対し、パノラマレントゲンは1枚0.03ミリシーベルト程、部分用のデンタルレントゲンであれば、1枚0.01ミリシーベルト程の被曝量となります。ただし全顎の撮影をする10枚法や14枚法を使用すると、枚数分被曝しますので0.1~0.15ミリシーベルトとなります。
近年広く普及しているデジタルレントゲンであれば、従来のアナログレントゲンの3分の1~10分の1の被曝量に抑えられます。

※レントゲンやCTの被曝量について
・デジタルレントゲン:0.001~0.01ミリシーベルト(全顎撮影すると0.1~0.15ミリシーベルト)
・パノラマレントゲン:0.003~0.03ミリシーベルト
・歯科用CT:0.1~0.2ミリシーベルト
日本人が日常生活において受ける年間の被爆量は1.5mv程です。健康に影響を及ぼすとされている被曝量の目安が年間100msvなので、毎日何枚も取らない限り、レントゲンやCTによる健康への影響はないものと考えてよいといえます。撮影の際には防護服の着用もできますので、心配な場合には撮影前に歯科医師に相談してみましょう。
なお、レントゲンやCTの撮影が出来る(具体的にはスイッチボタンを押す行為)のは、医師や歯科医師、診療放射線技師のみです。歯科助手や歯科衛生士には許されていない行為となっています。

メリット②普及率ほぼ100%

パノラマレントゲンは約95%、デンタルレントゲンであればほぼ100%の歯科医院で扱われています。どの歯科医院でも扱われていると言ってもよく、検査から治療まで一つの歯科医院の施設内で済ませることができます。
一方で歯科用CTの場合、年々増えているものの普及率は10%程度です。大学病院など外科的な手術を日常的に行っている歯科医院で扱われていることが多いようです。歯科医院内にCT設備がない場合には、患者自身がCTを扱う別の施設まで行って撮影してもらわなければならないため、手間がかかります。

メリット③保険適用

保険のルールでは、まずはレントゲンを撮ってから必要があればCTという流れになっているため、保険診療内での検査において使用されるのは、基本的にはレントゲンとなります。費用も1,000~2,000円程です。

デメリット①情報の正解性

レントゲンは、三次元の身体情報を二次元に写し出すものであるため、骨が重なってしまったり画像に歪みが出てしまったりすることがあります。「クセ」のある画像を正しく読み取るには、知識と経験が必要とされます。
また正しい手法によって撮影が行われないと、ぼやけてしまったり余計なものが写ってしまったりするため、かえって診断の妨げとなってしまうこともあります。歯科医師の経験や技術に情報の正確性が左右されてしまう点で、デメリットであるといえます。

デメリット②患者の負担

またデンタルレントゲンをはじめとした口内法という撮影方法では、患者の口内にフィルムをいれる必要があるため、開口障害や嘔吐反応の強い患者の場合には適応できないケースもあります。
デンタルレントゲンで全顎を撮影する必要がある場合、口内のフィルムの位置を変えて何枚も撮影しなければならないため、撮影時間も長くなってしまい患者の負担も大きくなります。

CTは三次元の情報

CT(Computed Tomography)とは、コンピュータ断層撮影法の略称です。レントゲンの断層撮影と同様の仕組みではありますが、コンピュータの画像処理技術によって三次元の情報として再現されています。

メリット①情報量の多さ

CTでは口腔の様子を三次元の映像で知ることができます。二次元(平面)のレントゲンではつかみにくかった奥行き感が、正確に再現されます。例えば親知らずと近くを通る神経の位置関係や、複雑な形状の歯根や骨の厚みなどを正確に知ることができます。根管治療では、根に適切に薬剤が充填されているかをCTで確認することで、再感染のリスクを減らすことができます。特にインプラント治療においては、治療前のCT撮影が必須となります。
ただしレントゲンの診断と同様に、歯科医師の分析力も診断の正確性において非常に大切になってきます。

メリット②患者の理解が深まる

3Dの映像は視覚的にわかりやすいため、症状説明の際に患者の理解が得られやすいというメリットがあります。患者も自分の口内をよく知ることで治療への意欲が増し、より効果的に治療を進めることができます。

デメリット①被曝量

前述したように、CTによる放射線の被曝量はデンタルレントゲンやパノラマレントゲンに比べると多いため、必要性のない撮影は行われません。とはいえ歯科用のCTは、医科用のCTと比較すると被曝量は少なく(医科用CTは6.9ミリシーベルト)、直ちに健康に影響を及ぼすことはないためそこまで心配する必要はありません。

デメリット②保険適用の制限

保険診療において、歯科用CTは、通常のレントゲンでは診断できなかった場合にのみ使用されるものと前提されています。さらに、適用可能な症状も下記のように限定されています。

・埋伏智歯等、下顎管との位置関係
・顎関節症等、顎関節の形態
・顎裂等、顎骨の欠損形態
・腫瘍等、病巣の広がり
・その他、歯科用エックス線撮影又は歯科パノラマ断層撮影で確認できない位置関係や病巣の広がり等を確認する特段の必要性が認められる場合

上記以外のケースでは、保険外の診療となってしまうため、CTによる画像診断だけで数万円かかってしまうこともあります。

デメリット③金属アーチファクト

CTはX線の透過性を利用した投影機器ですが、口内に金属と樹脂など、X線の透過率が大きく異なる物質が入っていると、金属アーチファクトという放射状のノイズが発生してしまいます。金属アーチファクトが発生すると画像が乱れてしまい、正しい情報が得られなくなってしまいます。インプラントで発生することが多くなります。

まとめ

レントゲンは二次元の情報を、CTでは三次元での情報を写し出すことができます。CTの方がより多くの情報量が得られますが、費用面や被曝量が多いという点で患者への負担も大きく、いきなりCTを撮るということはあまりありません。身体への影響は少ないとはいえ、まったくゼロではないため、不必要な被曝は避けなければなりません。
例えば虫歯の検査はレントゲンで十分な情報を得ることができます。特に隣接面の虫歯については、かえってレントゲンの方が観察に適しているなど、あらゆるケースでCTの方が有益な情報が得られるというわけではありません。
一方でインプラントや複雑な根の治療の場合には、CTによる三次元の情報は必須ともいえます。
歯科医師は、常に被曝のリスクと患者へのメリットを天秤にかけながら検査方法を選択しています。一概にレントゲンとCTどちらの方法が良いとはいえないのです。

レントゲンとCTのメリットとデメリット

メリット デメリット
レントゲン ・被曝量が小さい
・広く普及しており保険適用
・撮影と診断が難しい
・口内法は患者に不快感を与える
歯科用CT ・情報量が多い
・患者にもわかりやすい
・被曝量が大きい
・一部医院にしかなく、保険適用が限られている
・金属アーチファクト