歯科医師会とは?加入していない歯科医院があるのはなぜ? | 歯医者の選び方
2018年1月26日

歯科医師会をご存知ですか?その名前から、歯科医師全員が入っている団体であると勘違いされがちですが、実は任意加入団体のため、未加入の歯科医師もいます。
歯科医師会に入っていない歯科医師って、何だか信用できない?今回はそんな誤解を解くために、歯科医師会について簡単にご紹介いたします。少しでもお役に立てれば幸いです。

歯科医師会とは

歯科医師会とは、歯科医師によって構成されている職能団体です。歯科に関する行政関連の公衆衛生事業や保健啓発事業を主として活動している公益法人であり、任意加入の団体となっています。

3つの歯科医師会

歯科医師会は、大きく分けて、日本歯科医師会(日歯)、県単位の歯科医師会、地区単位の歯科医師会の3つに分類されます。日本歯科医師会の下部団体として都道府県単位の歯科医師会が存在し、さらにその下に地区単位の歯科医師会が存在します。すべての歯科医師会が独立した公益法人であり、それぞれが連携して地域保健活動や歯科啓蒙活動に取り組んでいます。

歯科医師会の組織構造(一例)

入会の仕組み

通常、歯科医師会に入会するということは、日本歯科医師会、県歯科医師会、地域歯科医師会の3つに同時入会することを意味しています。
まずは医院がある地区の歯科医師会に入会し、地区の歯科医師会を通して都道府県歯科医師会、さらに都道府県歯科医師会を通して日本歯科医師会に入会する流れとなります。
例えば東京都渋谷区で新規開業をした場合、まず渋谷区を管轄する渋谷区歯科医師会に入会し、その後東京都歯科医師会、そして日本歯科医師会へ入会する必要があります。歯科医師会ごとに入会金や会費がかかり、今回の例では下記のようになります。この他にも、福祉共済の負担金が発生します。

入会金・年会金の一例

日本歯科医師会 東京都歯科医師会 渋谷区歯科医師会
入会金 年会費 入会金 年会費 入会金 年会費
開業医 10,000円 38,000円 150,000円 56,000円 10,000円 102,000円
勤務医 10,000円 19,000円 150,000円 30,000円 5,000円 51,000円

主な活動例

歯科医師会の活動例として、下記のようなものが挙げられます。国内全体や世界に向けた活動については日本歯科医師会が、より地域に密着した活動については、県や地域の歯科医師会が行っています。

歯科医師会の主な活動例
・学術講習会
・「8020運動」「歯と口の健康週間」などの公衆衛生活動
・国際歯科社会との交流活動
・学校医や地域歯科検診、企業検診の受託
・在宅医療のサポート
・災害時対策
・医事紛争の処理
・患者の相談窓口
・歯科衛生士学校などの教育施設設置
・歯科医師の福祉総合保険窓口
・歯科医師同士の親睦会

加入していない歯科医院がいる理由

2016年12月末時点で、厚生労働省に届け出がされている全国の歯科医師数は104,533人であるのに対し、日本歯科医師会への加入者数は65,127人となっており、全体の約62%しか加入していないことがわかります。なぜ残りの4割は未加入のままなのでしょうか。

強制加入ではないのはなぜ?

歯科医師会は任意加入団体ですが、同じ職能団体である日本弁護士連合会(日弁連)は強制加入団体です。両者の違いは、管轄官庁の有無が関係しています。
日弁連は唯一国の管轄官庁がない職能団体であり、弁護士資格の登録や剥奪は、すべて日弁連や弁護士会によって行われています。日弁連や弁護士会は、すべての弁護士を束ねる自治組織としての役割を持っているのです。
一方で歯科医師は厚生労働省管轄であり、資格登録や剥奪は厚生労働省によって行われています。つまり歯科医師会は歯科医師を管理する団体ではなく、あくまで行政の委託業務を請け負う学術団体の一つという位置づけなのです。

入会のメリットが少ない?

歯科医師会に入会するには、前述したように日歯、県、地域の3つの歯科医師会に入会しなければなりません。それぞれに入会金や年会費がかかるため、経費は数十万から高い地域では数百万かかる場合もあります。
入会するメリットとしては、機関誌や定期会合による業界情報の享受、歯科医師会が主催する学術講習会への参加権獲得、地域の歯科保健事業を通した地域貢献と新患の獲得、地域の歯科医院との交流、医事紛争時の対応、歯科医師国保組合への加入、各種融資などが挙げられます。
ただし上記に挙げたメリットのうち、歯科医師の支援に関するものについては、任意団体である保険医協会(入会金4,000円、年会費48,000円)へ入会することでも受けることができます(ただし歯科医師国保は歯科医師会のみ)。講習受講や歯科医師との交流についても、スタディーグループに所属することでも叶えられます。
市からの委託業務を行いたい、地域福祉に貢献したい、歯科医師国保に入りたいなどといった理由がない限り、高額な費用を払ってまで歯科医師会へ入会する必要性を感じない歯科医師が増えているのかもしれません。

歯科医師会加入率の地域差

日本歯科医師会の加入率は地域によっても変わってくるようです。下記は、2016年12月末時点の、日本歯科医師会の加入率を都道府県別にまとめたものです。単純に歯科医師の人数で割っただけのものですので、正確な数字ではありません。参考程度にしていただければと思います。
赤く色を付けているのは、人口あたりの歯科医師数の多い都道府県ベスト5、逆に青く色を付けたのは、人口あたりの歯科医師数の少ない都道府県です。

日本歯科医師会の都道府県別加入率

歯科医師数 日本歯科医師会会員数 加入率
東京 16639 7869 47%
千葉 5180 2488 48%
埼玉 5293 2600 49%
沖縄 858 446 52%
神奈川 7298 3818 52%
福岡 5477 3018 52%
岡山 1752 1030 59%
宮城 1918 1134 59%
徳島 818 487 60%
新潟 2086 1254 60%
鹿児島 1340 814 61%
熊本 1373 845 62%
全国 104533 65127 62%
岐阜 1682 1058 63%
長崎 1216 773 64%
広島 2510 1605 64%
群馬 1420 917 65%
佐賀 617 400 65%
岩手 1029 674 66%
長野 1639 1090 67%
愛知 5683 3810 67%
福島 1377 932 68%
茨城 1934 1325 69%
滋賀 806 555 69%
京都 1911 1321 69%
秋田 627 434 69%
北海道 4440 3118 70%
香川 730 513 70%
大阪 7850 5539 71%
宮崎 717 513 72%
奈良 925 664 72%
栃木 1379 991 72%
静岡 2366 1715 72%
三重 1182 857 73%
島根 419 314 75%
山形 689 523 76%
山口 979 745 76%
山梨 597 456 76%
青森 762 583 77%
鳥取 359 277 77%
愛媛 961 748 78%
福井 434 340 78%
石川 696 547 79%
富山 649 512 79%
兵庫 3907 3131 80%
和歌山 733 591 81%
高知 520 424 82%
大分 756 625 83%

東京、千葉、埼玉、神奈川といった関東地域の加入率は低く、開業医・勤務医含め歯科医師の2人に1人は加入していないことがわかります。また人口あたりの歯科医師数が多い福岡、徳島、新潟、岡山も全国平均以下の加入率です。逆に歯科医師過疎地域は、加入率が高い傾向にあります。
2016年12月時点では65,127人だった会員数も、翌年10月末には64,896人へと減っています。歯科医師数自体は年々緩やかに増加しているのにも関わらず、歯科医師会への加入人数は減少傾向にあるようです。

歯科医師連盟との違い

歯科医師会の関連団体に、歯科医師連盟という政治団体があります。歯科医師会は公益法人という性質上、政治的活動が制限されます。そこで歯科医師会の政治的な目的を実現するために、政治団体として別途作られたのが歯科医師連盟です。
元々は日本歯科医師会との同時入退会が強制されていましたが、過去に入退会の自由を求める訴訟が起こり、現在では任意の入退会へと規則が変わっています。
しかし2004年の闇献金事件や、つい最近連盟の元副理事長に有罪判決が下された2015年の迂回献金事件など、お金に関する不祥事が相次いでいるためか、歯科医師連盟についても年々会員数が減っています。

まとめ

歯科医師会未入会の歯科医師は、決して珍しいことではないことがわかりました。特に都心では歯科医師の2人に1人が加入していません。
日本歯科医師会のホームページには、「全国の歯医者さん検索」というページがありますが、すべての歯科医院が掲載されているわけではなく、歯科医師会の会員になっている歯科医院だけが載っています。検索結果になかったからといって、ヤブ医者なのではないか、などと心配する必要はなく、ただ単にその歯科医院が歯科医師会に入会していないだけに過ぎません。 歯科医師が本物がどうかを調べたい場合には、厚生労働省の「医師等資格確認検索」を利用すると良いでしょう。