仮詰めの歯が痛い原因と治療法~虫歯・根管治療中~ | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2018年4月6日

虫歯の治療などでたくさん削られた後は、仮の詰め物をして家に帰ることになります。仮詰めを入れた歯は舌で触ると違和感があり、見た目もちょっと不自然です。時には麻酔が切れた後に痛みを感じることさえあります。痛い思いをして治療をしたのになぜ?治っていないの?なんて心配になってしまいますよね。
今回は、仮詰めをした歯が痛くなる理由と、その治療法について紹介します。

仮詰めの種類

仮詰めは専門用語で仮封剤といいます。仮封剤は、削った歯に食べ物や細菌が入らないように一時的に蓋をするためのものです。本番の詰め物とは異なり、どれも簡単に取れるようにできています。
仮封剤にも様々な種類があり、代表的なものを下記の表に簡単にまとめました。どの種類のものが使われているかは歯科医院によって異なります。歯科医師によっても、扱いやすいもの、扱いにくいものが異なるため、どれを使っているから良い悪いということはありません。

仮詰め(仮封剤)の種類と特徴

水硬性仮封剤 最も普及している仮封剤。口内の水分で硬化するタイプ。完全に固まるのに時間がかかるため、治療直後は柔らかい。
レジン系仮封剤 レジン素材でできている仮封剤。光を当てることで固まる光重合型と、化学反応で固まる化学重合型がある。封鎖性が高いとされる。
ユージノール系仮封剤 歯髄鎮静作用があるため、神経の残っている歯に使用されることが多い。しかしレジンを固まりにくくする作用があるため、後々レジン処置が必要な場合には向いていない。
テンポラリーストッピング 根管治療の仮蓋として使用されることが多い安価で古い仮封剤。治療後の収縮が大きく封鎖性には劣るため、最近ではあまり使われていない。

仮封剤は大きく分けて二つの場面で使用されます。一つが、虫歯治療で詰め物(インレー)が出来るまで一時的に穴を埋める仮の詰め物。そしてもう一つが根の治療(根管治療)の消毒中に使用する仮蓋です。
それぞれのケースで発生する痛みの原因とその治療法について、次の項で紹介しています。

仮詰めの痛みの原因(虫歯治療中)

虫歯治療中に、詰め物が出来るまで一時的に使用される仮詰めが痛む場合には、どのような原因が考えられるのでしょうか。

知覚過敏

虫歯を削った歯は神経への刺激が伝わりやすくなるため、治療後に知覚過敏の症状が出ることがあります。噛んだときや冷たいものを食べたときに痛みが出ることがありますが、これらの症状は一過性のものであり、1週間前後で治まることがほとんどです。
ただし我慢出来ないほどの痛みであったり、2週間以上痛みが続いたりするようであれば、再治療が必要です。覆髄という神経を保護する処置や、それでも症状がおさまらない場合には神経を取り除く治療が必要になってしまいます。

詰め物の高さが合っていない

詰め物の高さが合っていないと、噛み合わせたときにいつもよりも強く力がかかってしまい、痛みを感じることがあります。基本的に仮の詰め物が入った歯ではあまり噛まないほうが良いでしょう。噛みすぎると詰め物が取れてしまったり、天然歯の部分にも負担がかかって欠けたり割れてしまったりすることがあります。
詰め物の高さが合っていないケースでは、高さを再調整することで痛みは改善します。

虫歯の取り残し

虫歯治療で虫歯部分を取り残してしまうと、虫歯菌が神経にまで達することで痛みを引き起こします。神経が虫歯の細菌感染してしまうとズキズキと何もしなくても痛みを感じます。
そのまま放っておくと、痛みを感じなくなることもありますが、それは治ったわけではなく、歯の神経が死んでしまった証拠です。痛みがおさまった後も炎症は広がり続け、気づかないうちに歯根の先から歯周組織へと広がり膿を作ります。膿によって歯茎が腫れると、再び強い痛みを感じるようになります。

神経の炎症(歯髄炎)は大きくわけて、炎症を起こした神経が回復する可逆性歯髄炎と、二度と回復しない非可逆性歯髄炎に分けることができます。まだ回復の見込みのある可逆性歯髄炎は、虫歯の細菌感染がまだギリギリ神経まで達していない状態のため、神経を取り除かなくて済みます。しかし細菌感染が完全に達してしまっている不可逆性歯髄については、神経を取り除かなければなりません。自然に治ることはありませんので、できるだけ早く歯科医院で根管治療を受けましょう。

仮蓋の痛みの原因(根管治療中)

根管治療は、根の神経をきれいに取り除いたあと、根管内を可能な限り無菌状態にしてから被せ物をしなければなりません。症状によっては、治療を終えるまでに数ヶ月もかかってしまうこともあります。被せ物で完全に塞ぐまでの期間は、仮の蓋をして過ごすことになります。この仮蓋をしている間は痛みが出やすく、根管治療がしんどいといわれる理由にもなっています。
根管治療を行った歯にはもう神経は残っていないはずなのに、どうして痛むのでしょうか。痛みの原因についてまとめました。

根管内の圧力が高まっている

炎症が強いと根の先から排膿するケースがあります。仮蓋がされた状態で排膿があると、根管内の圧力が高まり、周囲組織の神経が圧迫されて強い痛みを感じます。
仮蓋を取れば、中の圧力が開放されすぐに痛みは治まります。排膿が継続的に続くような急性期では、あえて患者でも簡単に取れるような仮封剤が使用されることもあります。抗生剤を服用して様子を見つつ、排膿が治まるまでは開放を行っていきます。

しかし本来仮蓋は細菌の侵入を防ぐためのものです。外したままにしておけば、細菌が侵入し症状を悪化させていつまでも治らなくなってしまう恐れもあります。最近では、患者が痛みを訴えていても、急性期を過ぎたら開放は行わない、という手法を取る歯科医院も増えているようです。痛みを我慢して短期で治療を終わらせるか、開放を繰り返して治療を長引かせるか、どちらのほうが良いかは、患者の希望にもよるのかもしれませんね。

それでも痛みの期間が長かったり、半年や1年以上も治療が長引いてしまったりするのは、そもそも根管治療が上手くいっていない可能性が高いです。再度根管治療をやり直すか、根の先を切除する手術が必要になります。根管治療は高い技術を必要とする専門性の高い治療ですから、歯内療法を得意とする他の歯科医院へ転院することも一つの選択肢です。

封鎖性が甘い

根管治療中の仮蓋の封が甘いと、細菌が根管内に侵入してしまい根尖の周囲にまで感染を広げてしまう恐れがあります。すると急性の歯周病のような症状になり、強い痛みや腫れを起こします。古い仮封剤であるテンポラリーストッピングを使用していると起こりやすい症状です。
最悪、抜歯となってしまいますので、再度根管内の清掃を行い、より封鎖性の高い仮封剤での蓋が必要となります。

感染組織や器具の取り残し

虫歯と同様に、根管治療時に感染組織の取り残しがあれば炎症は治まりません。また、根管内に器具の欠片を残してしまうミスもありえます。暗くて複雑な根管内において、感染組織や小さな異物は目視で確認するには限界があります。
根管治療の成功率を上げるためにも、歯科用CTやマイクロスコープを使用している歯科医院で治療を受けましょう。

まとめ

仮詰めが痛む場合には、一過性の知覚過敏など次回の通院まで様子を見ても問題ないもの、すぐに再治療が必要なものと、どちらの可能性もあるわけですが、中々患者自身では判断することができません。あまりにも痛みが強い場合や、次の通院までに時間が空いている場合には、予約を早めてもらいましょう。
また、仮詰めをしている時に大切なのは、通院を途中でやめないことです。仮詰めはあくまで一時的な処置なので、長くは持ちません。次回の予約が面倒くさくなり仮詰めのまま放置してしまうと、上記の痛みの原因をはじめとした様々なトラブルを起こします。
最低限、本番のインレーやクラウンを入れてもらうまでは、しっかり通い続けましょう。