ラバーダムは根管治療に必須?良い歯医者の条件といわれるワケ | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2018年4月9日

根管治療においてのラバーダムの必要性は、患者のデンタルIQ上昇に伴い、ここ数年で一般にも広く知られるようになってきましたね。「良い歯医者」の条件として挙げられていることも多く、ラバーダムの使用が歯科医院のホームページにアピールポイントとして載せられていることも多々見られます。
何だかすごそうなラバーダムには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?ラバーダムがあるからって本当に「良い歯医者」なの?そんな疑問にもお答えします。

ラバーダムとは

ラバーダムとは、歯科治療で使用するゴム製の薄いシートです。ラバーダムを使用した防湿法を、ラバーダム防湿法といいます。
シートに小さな穴を開けて治療する歯だけを露出させ、口全体をシートで覆うようにして使用します。目的は、治療する歯と口内の隔離ですが、詳しいメリットについては下記で説明します。
ラバーダムを装着すると口での呼吸ができなくなるため、鼻が詰まっている人や口呼吸が常態化している人には向いていません。また、ゴムにアレルギーがある場合にも使用することができません。

ラバーダムは保険の点数加算がない

保険診療の治療費は一律で決められています。ラバーダムについては加算の対象にはなっていないため、保険適用内の根管治療でラバーダムを使用しても、別途費用を請求することはできません。
保険診療の場合、やってもやらなくても貰える金額は変わらないために、採算性の問題で取り入れていない歯科医院も多いのが現状です。
逆に言えば、保険適用でラバーダムを使用している歯科医院は採算度外視で行ってくれているということになります。患者に良心的であるというのは間違いないでしょう。

ラバーダムの5つのメリット

ラバーダムで治療する歯と口内を隔離することで、具体的にどのようなメリットがあるのか、次の5つの観点から紹介します。

唾液の混入を防ぐ

ラバーダムによって、口内の唾液が治療箇所に混入してしまうのを防ぐことができます。唾液は歯のエナメル質を再石灰化させる働きがある一方で、たくさんの細菌が含まれているため、エナメル質を削った治療中の歯にとっては天敵となります。
例えば詰め物をする際に少しでも唾液が混入してしまうと、無数の細菌も一緒に入り込んでしまい、二次カリエスや根管の再感染の原因となってしまいます。
できるだけ無菌に近い状態で治療を行わなければならない根管治療では、治療中の唾液の混入は致命的です。ラバーダムの使用が根管治療の成功率(ここでいう成功とは治療後にトラブルが起こらないこと)に影響を与えるのは明白であり、特に唾液の分泌が活溌な小児の場合は、必須といってもいいレベルです。
ただし治療する歯の場所によって唾液の侵入リスクは変わってきます。例えば、唾液の混入リスクが高い下顎の奥歯にはラバーダムを使用するけれども、最もリスクが少ない上顎の前歯には使用しないという歯科医院もあります。

乾燥を保てる

歯科治療の多くで用いる歯の接着剤は、唾液や呼気による湿気で接着力を大きく失います。接着力が足りないと、補綴物の隙間や脱落の原因となりますので、再治療のリスクがぐっと高まります。
唾液や呼気による湿気を防ぐことは、根管治療はもちろんのこと、多くの歯科治療において重要なことなのです。

術野の確保

ラバーダムをすると、治療箇所の歯だけが露出する形になります。治療中に舌が邪魔してくることもありませんし、呼気でミラーが曇ることもありません。術者にとっても、ストレスのない環境で治療を行うことができます。

口内粘膜を守る

治療中、苦い薬液が口内に流れてくればうがいが必要になります。しかし根管治療ではうがいは絶対にNGです。うがいによって唾液が口内全体に行き渡る様子を想像すれば、だめな理由もわかりますよね。ラバーダムを使用すれば薬剤が口内に流れ出ることもないため、うがいが不要になります。
また根管治療で消毒に使用する薬剤は、口内の粘膜や舌にとって刺激の強いものです。ラバーダムで保護することで、直接薬剤に触れたり、飲み込んでしまったりする危険もなくすことができます。
さらに治療には先の尖った器具を使うこともあり、誤って患者の口内を傷つけてしまう可能性もあります。ラバーダムをつけていれば、治療器具が治療する歯以外の口内の組織に触れることはありません。
安全性の面でも、ラバーダムの使用は必須ともいえるのです。

誤飲・誤嚥を防ぐ

前項に関連しますが、破折した器具の破片や治療に使用する薬剤、削った人工素材の粉塵などの誤飲を防ぐことができます。ラバーダムの使用は、少ないとはいえゼロではない、医療事故の危険性を減らすことが出来るのです。

ラバーダムをやっただけではダメ?

ラバーダムの有用性について述べてきましたが、ラバーダムだけを使用していれば良いという問題でもありません。治療の成功率を上げることのできる重要なファクターの一つであることは確かですが、別の要素も大きく関わってくることも忘れてはいけません。

滅菌を徹底している

ラバーダムで唾液の侵入を防ぐことができても、ラバーダム自体が汚れていたり、使用する器具の滅菌が十分でなかったりすれば使っている意味がありません。歯科医院内の衛生環境もまた、治療の成功率に大きく影響します。

感染源を取り残さない

ラバーダムで無菌的な治療を行っていても、感染源の取り残しがあれば、再感染してしまいます。また、器具の破片を根管内に残してしまうことも起こりえます。
感染源を見逃さないようマイクロスコープを使って治療を行ったり、歯科用CTの立体映像で根管の形状を正確に把握したりすることも、治療の成功には大切な要素です。

インフォームドコンセント

精神的な不安をなくすためにも、治療前に十分な説明を行うことも大切です。
ラバーダムはとても有用的なものですが、そのつけ心地は快適とはいえません。口が塞がれることから息苦しさを感じたり、歯や歯茎を締め付けられる恐怖を感じてしまったりすることもあるでしょう。いきなりラバーダムをつけるのではなく、目的やメリットを説明することで、患者も必要性を理解した上で治療に臨むことができます。

まとめ

ラバーダムの使用によって、無菌的治療、防湿、安全性、治療のしやすさなど治療の成功率に大きく関わるメリットを得られます。ただしすべての問題をクリアできるわけではないことに注意が必要です。ラバーダムを使用していても、別の要素で台無しになっている可能性もあります。逆に、ラバーダムを使用していなくても、歯科医師の技術的な面でカバーできているようなケースもあります。
とはいえ、根管治療を専門とする多くの先生がラバーダムを使用しており、成功率に有意に働くことは明らかです。また誤飲誤嚥を防ぐ点で、安全な治療の実現ためには不可欠のものであるといえます。ラバーダムを保険診療内、つまり無償で提供している歯科医院は、患者思いの良心的な歯科医院ということも間違いなさそうです。