「親知らず」は泣ける歌詞が多い?関取花、チャットモンチー | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2018年5月24日

NHKみんなのうたで流れた関取花さんの「親知らず」が、泣ける歌だと話題になっています。百害あって一利なしとの呼び声高い親知らず。一見、泣ける歌詞とはまったく無関係そうなワードですが、実は親知らずだからこそ生まれるドラマがあったのです。
今回は、泣けると話題の親知らずの曲、関取花さんとチャットモンチーさんの2曲の「親知らず」を例にしながら、なぜ親知らずをテーマにした曲が人々を感動させるのか、理由を紹介します。

泣ける親知らずの曲2選

親知らずをテーマにした楽曲として、関取花さんとチャットモンチーさんの「親知らず」を紹介します。

関取花「親知らず」

シンガーソングライター関取花さんの「親知らず」は、NHKみんなのうたにもなっている曲です。思春期に抱えていた心の痛みと親知らずの痛みをリンクさせた、ズキンと響く歌詞になっています。

あなたの知らないうちに 大きく育ってしまった親知らずが

ズキンズキンとうずくたび あなたのせいにしたくなり 扉の鍵を締めました

親知らずは言葉の通り、親の知らぬうちに生えることからその名がついています。永久歯が増える度に親子一緒に喜んでいた幼い頃とは違い、親知らずが生えたのは思春期真っ只中。すでに歯が生えたことを親に報告する年齢ではなくなっているのですね。
さらに親知らずは真っ直ぐ生えないことが多く、隣接歯を圧迫したり歯茎を腫らせたりと、痛みを起こすことの多い歯です。思春期の不安定さに歯の痛みが合わさって、憂鬱な気持ちが増幅されてしまっているのでしょう。

あなたに言えないうちに 大きく育ってしまった親知らずが

ズキンズキンとうずくたび あなたの顔を思い出し 夜に紛れて泣きました

親知らずの痛みで心無い態度をとってしまったことを思い出し、悔やんでいる様子が描かれています。それがつい先日のことなのか、それとも数年経ってからの回顧なのかは明らかではありませんが、親知らずの痛みが思春期の心の痛みを鮮やかに思い出させるきっかけとなっています。

親知らずがズキンズキンとうずくのは

あなたに言えない言葉をぎゅっと噛みしめるからでした

本当は「ありがとう」「ごめんなさい」を言いたいのに言えない心の葛藤を、親知らずの痛みにリンクさせて巧みに表現しています。

大丈夫と聞かれては放っておいてと言った

という歌詞が曲中にありますが、親知らずの痛みは放っておいてはいけません。放置して悪化させると余計に痛い思いをします。親知らずの抜歯は、顎の骨が柔らかい若いうちに済ませた方が楽にすみます。後になればなるほど骨が硬くなってしまい抜くのも大掛かりになってしまうのです。思春期の子供のように、いつの間にかサッパリ治っていることはないのです。
年齢を重ねると歯周病のリスクも高まりますので、忘れた頃に親知らずが悪さをするということもありえます。
とはいえ、親知らずは全員が全員抜かなければならないわけではありません。他の永久歯と同じように真っ直ぐに生えているのであれば、抜く必要はありません。むしろ真っ直ぐに生えた親知らずは、将来的に別の歯を失った際の移植歯として利用できる可能性もあります。

チャットモンチー「親知らず」

親知らずが生えてきたよ 怖いから歯医者には行かない

という印象的なフレーズで始まるチャットモンチーさんの「親知らず」も、親や家族を想う心に響く内容の歌詞になっています。

大きく口を開いて仕上げのブラシを 膝枕に頭乗せて見上げるのが好きだった

親知らずが生えてきたことをきっかけに、まだ一人では十分に歯磨きができなかった子供の頃を思い出したのでしょう。
歯磨き練習が始まるのは、乳歯の生え揃う2~3歳頃です。子供の歯磨きだけでは磨き残しが出るため、必ず大人による仕上げの歯磨きが行われます。ただでさえ子供の歯は柔らかく大人よりも虫歯ができやすいため、仕上げのブラシは非常に大切になってきます。そうして小学校低学年くらいまでは、毎日お母さん(お父さん)による丁寧な仕上げ歯磨きが行われるのです。

家族写真はいつだって 和やかに色あせず

ひとりで暮らす部屋の中 微笑んでいるのです

仕上げの歯磨きは5年以上続く習慣ですから、幼い頃の親子の思い出として強く記憶に残るのかもしれません。「ひとりで暮らす部屋の中」という歌詞からは、家族を想い一人寂しく郷愁に浸る様子が浮かびます。

あっという間に時が過ぎ いつの日か優しくなって

明日明日と気長なふりで「ありがとう」とか何を今更

たまに帰ればご馳走 もう子どもじゃないのにね

ああ だけどやっぱり あなたの子でよかった

反抗することの多かった思春期が終わり、社会人として自立すると、日々の生活の大変さを知るようになります。同時にこれまで育ててくれた両親の偉大さを実感したりもします。感謝の気持ちは感じるものの、恥ずかしくて素直に「ありがとう」とは伝えられない、まだ子供の部分が少しだけ共存している、そんな時期なのかもしれません。

私もいつかこんなふうに人を愛せるだろうか

幸せの意味を誰かとわかりあえるだろうか

幸せそうな家族写真を眺めながら、家族でない誰かと生きていくこれからについて思いを馳せています。不安と期待が入り混じったような気持ちが現れています。

親知らずが生えてきたよ 誰も知らない間に

そして曲は冒頭と同じ歌詞で締めくくられます。親も自分も知らぬ間に生えてきた親知らずをきっかけに、思い出された幼い頃の懐かしい記憶。郷愁の念にかられながらも、温かい記憶を胸に独り立ちをしようとする主人公の心の成長が、見事に描かれています。
親知らずの別名「智歯(wisdom tooth)」、つまり物事の分別がついた頃に生えてくる歯、という意味にも納得できますね。巣立ちの歌として結婚式にもぴったりな曲です。
ちなみに、前述の通り「怖いから歯医者には行かない」のは絶対やめましょうね。

子供と大人の間の時期に生える親知らず

親知らず以外の永久歯は、中学に進学する11~13歳頃には生え揃います。しかし親知らずが生えるのは、人によって個人差はありますが、10代後半~20代前半までの時期です。
10代後半~20代前半というと、ちょうど大学進学や就職をきっかけに、家を出て一人暮らしを始めることが多い時期ですね。親元から離れて自由な生活を送ることができるようになった一方で、一人で生きていくことの大変さを実感し、親のありがたさを知る時期でもあります。親知らずをテーマにした曲に、親や家族を想う感傷的な歌詞が多いのはこのためでしょう。さらに環境の変化によるストレスは、歯の痛みを起こす原因にもなります。弱った心に親知らずの痛みが加わり、余計に人を感傷的な気持ちにさせるのかもしれません。
関取花さんの「親知らず」では思春期の親子関係の葛藤が、そしてチャットモンチーさんの「親知らず」では親からの自立が描かれています。どちらも親知らずを通して、子供が精神的に大人へと変わろうともがいているようなそんな様子が描かれているといえます。親知らずが生える時期特有の歯の痛みと心の痛み、誰しも経験のあることだからこそ、多くの人の共感を呼ぶのかもしれません。
どちらの歌詞も、痛む親知らずが治療される様子までは描かれてはいませんが、皆さんは怖いからといって放っておかずに、歯医者で治療を行いましょうね。