全部インプラントにすることはできる?無歯顎のインプラント治療法 | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2018年6月1日

すべての歯を失くしてしまった場合、最大何本までインプラントを入れられると思いますか?8本、10本、それとも28本でしょうか?
インプラントの魅力は、何より安定して噛めることと審美性に優れていることですよね。入れ歯が合わなくてカパカパしてしまうということもありません。
今回は、インプラントは最大何本入れられるか、そして歯を失った際のインプラントを使用した治療方法について紹介します。

すべての歯をインプラントにすることはできない?

歯をすべて失くしてしまった場合、入れるスペースさえあれば、親知らずを含む上下32本分のインプラントを入れることは可能です。しかし、すべての歯をインプラントにするケースは稀であり、普通は行われません。
その理由として次の事情が挙げられます。

必要性がない

全歯欠損の場合、咬合機能を回復するには、片顎あたり4~8本のインプラントを入れれば足りるとされています(もちろん個人差はあります)。必要本数以上のインプラントを入れることは無意味であり、過剰と言わざるを得ません。
ただし患者の強い希望があれば、行うケースもあるのかもしれません。

経済的な理由

インプラントは一本あたり数十万円かかる高価な治療法です。当然たくさん入れれば入れるほど費用も膨れ上がりますので、患者の経済的な理由でも、全歯インプラントにするのは現実的ではありません。またそれだけの費用を払ってまで得られるメリットは少ないということです。

骨の状態

インプラントは顎の骨に人工物を埋め込むため、治療を行うには十分な骨の量が必要です。歯を失う大抵の原因は歯周病です。すべての歯を失っているような人に、大量のインプラントを埋めるほど骨の量が残っているとは考えにくいでしょう。
例えば若い人が交通事故などで歯を失った場合で、骨の状態が良ければ可能性はあるかもしれません。しかし交通事故の治療費は保険で支払われますので、全歯インプラントのような、過剰に費用がかかる治療を選択することは難しいでしょう。

インプラント周囲炎のリスクが大きくなる

インプラントにもプラークは付着します。人工の歯なので虫歯になることはありませんが、歯茎の病気である歯周病にはなります。むしろインプラントには歯根膜がないために、天然の歯よりも細菌が感染するリスクが高いのです。
プラークがインプラントの根本に溜まると、天然の歯と同じように歯周ポケットが作られ、徐々にインプラントの周囲の骨が溶かされてしまいます。これをインプラント周囲炎といいます。インプラントをたくさん入れれば入れるほど、インプラント周囲炎のリスクも高くなります。
インプラント周囲炎になると、インプラントが動揺したり、脱落してしまったりします。インプラントは術後のメインテナンスがかかせません。

すべての歯を失った場合のインプラント

インプラントを使用した治療は、粘膜で固定する入れ歯とは異なり、自然な噛みごたえを得ることができます。また固定力にも優れているのも特徴です。
すべての歯を失った(無歯顎)場合の、インプラントを使った補綴方法には下記のようなものがあります。

ボーンアンカードフルブリッジ

ボーンアンカードフルブリッジとは、5~8本のインプラントを支台にした、12~14本の歯が一塊になったブリッジ(フルブリッジ)です。骨だけで咬合力を支えるためインプラントを比較的多く挿入する必要があります。その分どこか1本抜けてしまっても、残りのインプラントでのリカバリーが容易となります。 ボーンアンカードフルブリッジは、昔からある方法で治療法が確立されており、長期的な安定性もあります。一般的なブリッジと同じように固定式なので、歯ブラシが届きにくい箇所が出てきてしまいます。歯科医院での定期メインテナンスは必須です。
粘膜が弱く入れ歯を入れると痛い、という人に推奨される方法です。

オールオン4

オールオン4とは、ボーンアンカードフルブリッジよりも少ない4本のインプラントを支台にした、固定式のフルブリッジのことをいいます。インプラントは、骨がしっかりしている下顎オトガイ孔間や上顎洞前壁間に挿入されます。審美性のために、義歯部分には歯肉がついています。
4本しかインプラントを入れないため、患者の負担が少なく、手術を行った当日に仮歯を入れることができる「即時負荷(即時荷重)」が特徴です。ただし必要最低限の本数で支えていることもあり、1本でもインプラントがダメになってしまうと再度使うことは難しくなります。

ザイゴマインプラント

ザイゴマインプラントとは、上顎に頬骨(ザイゴマ)まで貫通する長いインプラントを挿入して、フルブリッジを固定する方法です。頬骨は歯槽骨のように骨吸収しないため、インプラントの安定した維持が可能になるとされています。 ザイゴマインプラントシステムは、インプラントが適応外となるような、先天的・後天的な原因で骨の量が極端に少ない人に対して行われます。主に骨吸収の著しい高齢者が対象となります。 ザイゴマインプラントは、限られたごく一部の歯科医院でしか扱っていない方法です。

インプラントオーバーデンチャー

インプラントオーバーデンチャーとは、数本のインプラントを支台にした取り外し式の入れ歯のことをいいます。インプラントを棒で繋いでクリップで挟むバーアタッチメント、磁石を埋め込む磁石アタッチメント、ボール状の凹凸で固定するボールアタッチメント、角度がついたインプラントにも適応できるロケーターアタッチメントなど、様々な維持方法があります。最小2本のインプラントで支えることができる方法です。
インプラントオーバーデンチャーは簡単に義歯部分の取り外しができるため、清掃性に優れています。

まとめ

インプラントは入れようと思えば全本数入れられますが、メリットがないために実際に行われることは少ないことがわかりました。現在は、オールオン4やインプラントオーバーデンチャーなどの、患者の費用面や身体への負担の少ない、できるだけ少ない本数でのインプラント治療が主流になっています。
通常の粘膜に吸着するタイプの入れ歯がどうしても合わない場合には、インプラントを使用したフルブリッジや入れ歯を検討してみてはいかがでしょうか。