年をとると歯並びが悪くなる!歯が動いてしまう6つの原因 | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2018年6月11日

昔と比べて、歯並びが悪くなったと感じることはありませんか?
咀嚼、嚥下、発音、呼吸など、日常の正常な機能活動によって歯は少しずつ動くため、加齢によって歯並びの変化を顕著に感じることがあります。歯が動くのは、老化現状の一つといってもよいかもしれません。
しかしときには歯並びが大きく変わる程に、歯が病的に動いてしまうケースがあります。今回は、歯が動いてしまう6つの原因について紹介します。
歯並びの悪化は虫歯や歯周病のもとです。気のせいかな?で済ませずに、一度真剣に向き合ってみましょう。

歯が動いてしまう6つの原因

歯が動いてしまうと、審美性が悪くなるだけでなく、食べ物が詰まりやすくなったり、歯ブラシが届きにくい部分ができたりと、口腔環境の悪化も招きます。
なぜ加齢とともに歯並びが悪くなるのか、歯が動いてしまう6つの原因を紹介します。歯並びが変わるくらいに大きく動くのは、複数の原因が重なって起こることがほとんどです。

生理的な移動

人間の歯は、常に近心方向(1番方向)に移動していく性質があります。歯列矯正で歯を動かした後も、半永久的にリテーナーで固定し続けなければならないのはこのためです。
近心方向に動くということは、歯列が奥歯から前歯方向にぎゅっと縮まるように動くということですから、前歯の歯と歯が重なり合う叢生を起こしやすくなります。

この歯の生理的な移動は、年々加速する傾向にあります。下記に挙げるような病的な原因もありますが、経年的に歯が動きやすくなる原因として、コンタクトポイントとよばれる歯と歯の接触部の緊密さがなくなっていくことが挙げられます。

コンタクトポイントは歯並びの安定に関わる重要な要素の一つです。デンタルフロスで歯間を掃除するときに引っかかる部分と考えてください。正常な歯並びのコンタクトポイント※は「点」で接していて、隣接歯同士を緊密に支え合っています。
しかし、咬合の度に擦れ合うことで徐々に平らにすり減っていき、やがて面状で接するようになります。すると歯と歯の間の緊密さがなくなり、歯が動きやすくなってしまうのです。

※正常なコンタクトポイントの位置
前歯部・・・頬舌方向で中央部、上下方向では歯の先から1/3の位置
臼歯部・・・頬舌方向で頬側1/3、上下方向では歯の先から1/3の位置

もともと歯並びが悪い

もともと歯並びが叢生の人は、加齢でさらに悪化しやすい傾向にあります。叢生の人は、隣接歯とのコンタクトポイントが正常な位置で接していないために、歯並びが変わりやすいのです。
逆にもともと歯並びが良く、コンタクトポイントが正常な位置で接している人は、歯が動きにくく歯並びが良いままであることが多いでしょう。

歯を抜けたままにしておく

歯を抜けたまま放置すると、コンタクトポイントが失われて歯並びが乱れてしまいます。このとき両隣の歯は、抜けた部分の隙間を埋めるような動きをします。
また抜けた歯の対合歯も、噛み合わせる歯がないために少しずつ伸びてきてしまいます。

親知らずの萠出

親知らずが曲がって生えてきて、隣の歯を押すことで歯並びが崩れることもあります。痛みや腫れを起こすため、早めに抜いてしまった方が良いでしょう。

口腔習癖(こうくうしゅうへき)やブラキシズム

舌で歯を押してしまう癖、下唇を吸い込む癖、片側でばかり噛んでしまう癖、頬杖をつく癖など、日々の無意識の悪い癖が、少しずつ歯を動かしてしまいます。このような口腔領域に影響を及ぼす悪い癖を口腔習癖といいます。
口呼吸も歯並びを悪くする口腔習癖の一つです。口呼吸の人は舌が下顎にだらりと落ちがちになるため、無意識に歯を押し出してしまっている可能性があります。

また、歯ぎしり癖、グーッと噛み締めてしまう癖、カチカチと歯を鳴らす癖も、歯を動かす原因になります。このような不必要に歯を接触させてしまう癖をブラキシズムといいます。歯周組織に大きな負担をかけるため、ブラキシズムの症状を持つ人の多くは、歯周病を併発しています。

歯周病

歯周病は生活習慣病の一つで、加齢とともに発症するリスクは大きくなります。35歳を超えると半数以上の人が歯周病にかかっているといわれています。
歯周病が進行すると、歯を支える歯槽骨が溶かされて、歯が動きやすくなります。ブラキシズムなど別の歯が動く要因と重なることで、さらに歯並びが悪化します。

生理的な原因ではなく、歯周病などの病的な原因で歯が動いてしまうことを、病的歯牙移動といいます。病的歯牙移動では、まず奥歯が近心方向(前歯方向)に倒れてきて、下顎の前歯部分が叢生になり上に伸び始めます。そして下の歯に押し出される形で上顎の前歯部分が出っ歯になります。下顎の前歯部が叢生、上顎の前歯が出っ歯、という特徴的な歯並びは、重度歯周病患者の多くにみられます。

噛み合わせのズレ

歯の治療や咬耗(歯のすり減り)で歯の高さが変わり、噛み合わせにズレが生じると、ブラキシズムや咬合性外傷を起こして歯が動いてしまうことがあります。咬合性外傷とは、生理的な範囲を超えた咬合力によって、歯周組織を痛めてしまう歯周疾患をいいます。歯周病のように歯周組織が破壊され、歯が動きやすくなる原因になります。

歯並びを安定させる方法

生涯変化し続ける歯並びを安定させるには、下記のような方法があります。

歯列矯正とリテーナーでの保定

歯並びを安定させるには、まず歯列矯正で悪い歯並びを治す必要があります。歯列を整えることで、歯ブラシも届きやすくなり歯周病リスクを減らすことにも繋がります。
歯列矯正後も継続してリテーナーを付けることで、美しい歯並びを保ち続けることができます。歯並びは変わり続けるので、リテーナーも定期的な調整が必要となります。

口腔習癖の治療

口腔習癖が原因で歯並びが悪くなっている場合、歯列矯正をしても、またすぐに元の歯並びに戻ってしまうことがあります。根本的に治療する方法として、口腔筋機能療法(MFT)という口腔周りの筋力トレーニングが挙げられます。MFTは歯科医院で指導が受けられますが、治療のメインは自宅でのトレーニングです。患者は指導を受けたプログラムを、毎日自宅で実践していかなければなりません。

歯周病の治療

歯並びの安定に、歯周病の治療は不可欠です。矯正治療を行うにも、まずは歯周病の治療が一段落していなければ始めることはできません。
矯正は歯周組織に負担をかける治療です。歯周病患者がむやみに矯正を行うと、歯周病を悪化させてしまい、最悪の場合抜歯になってしまう可能性もあります。
歯周病が安定すれば矯正治療を行うことはできますが、矯正中は口内の清掃性が悪くなるため、歯周病が再発しやすくなります。矯正期間中も並行して歯周病のメインテナンスが必須になるでしょう。
矯正専門医と歯周病専門医がどちらもいる歯科医院での治療を受けることをおすすめします。

抜歯や補綴治療

歯並びを安定させるためには、ときには抜歯してスペースを確保することも必要になります。また抜けたままの歯や、高さの合わない修復物がある場合には、補綴物を新たに作ったり再調整したりして、噛みあわせを安定させましょう。

まとめ

歯は生涯動き続けるため、年齢とともに歯並びが変化するのは誰にでも起こりうることだということがわかりました。ただし歯並びが大きく変わるくらいに歯が動いてしまうのは、歯周病、叢生、口腔習癖など、複数の病理的原因が絡み合っていることがほとんどです。病理的な原因については、歯科医院での治療が可能です。原因に対応する適切な治療を受けましょう。