歯槽膿漏と歯周病の違いとは?微妙な違いを解説します。 | 歯医者の選び方
2018年6月22日

「潰れたトマト」のイメージとともに、テレビでも時々使われている歯槽膿漏という言葉ですが、最近では歯周病と表現される方が一般的になってきました。そもそも2つの言葉にどんな違いがあるのか、一度は疑問に思った方もいるのではないでしょうか。
今回は、歯槽膿漏と歯周病の違いに注目してみました。それぞれがどんな病気なのか、そして歯槽膿漏という言葉があまり使われなくなった経緯について紹介していきます。

歯周病とは

歯周病とは、歯茎に炎症を起こす細菌感染症のことをいいます。成人の8割以上がかかっていると言われ、世界で最も患者が多い病気として、ギネスにも登録されています。

歯周病の症状

歯周病は、細菌感染によって歯を支える周辺の組織がどんどんと破壊されていく病気です。歯肉が歯から剥がれたり、歯を支える骨が吸収されたりすることで、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。
初期症状としては、歯茎が腫れて、歯磨きの際にブラシでこすったりすると簡単に血が出るようになります。出血はありますが痛みが伴わないため異常に気づきにくく、治療を遅らせてしまう原因となります。
歯周病に気づかずに放置して症状が進行すると、何もしなくても歯茎から血や膿が出るようになります。この膿が悪臭を放ちますので口臭が出てきます。
さらに歯茎下がりも起きてきて、歯周病にかかっている歯は正常な歯よりも長く伸びたように見えてきます。歯を支える力も弱くなってくるので、歯にグラつきが出てきて、噛んだときに痛みを感じるようになります。
最終的には歯茎で歯を支えきれなくなって、抜け落ちてしまいます。

歯肉炎と歯周炎

歯周病は進行度(炎症の範囲)によって歯肉炎と歯周炎に分けることができます。歯肉炎は、炎症の範囲が歯肉にまでにとどまっているものを指します。炎症の範囲が歯茎の奥の骨(歯槽骨)にまで広がると、歯周炎と呼ばれるようになります。

歯肉溝(歯周ポケット)

歯茎を外から眺めてみても、炎症がどこまで広がっているのかはわかりません。歯周病の進行度は、歯と歯茎の間の溝(歯肉溝)の深さを図ることである程度把握することができます。炎症が広がれば広がるほど、歯肉溝もどんどん深くなっていきます。
歯茎の腫れと軽い出血があるものの、歯肉溝が2mm以下であれば、歯肉炎です。歯肉溝が3mmを超えると歯周炎となります。 なお、3mmを超えた歯肉溝は、歯周ポケットと呼ばれるようになります。

歯周病の原因

歯周病の原因はプラーク(歯垢)です。プラークはたくさんの細菌や細菌の代謝物の集合体であり、その中で歯周病の原因菌も繁殖します。
プラークは歯磨きのブラシでこすれば落とすことができますので、理想的な歯磨きができていれば歯周病は防ぐことができます。しかし実際には、歯並びの問題や歯磨きテクニックの問題で、プラークは残ってしまいます。
特にブラシが届きにくい歯肉溝には細菌が繁殖しやすい環境のためプラークが停滞しやすく、放っておくと歯肉の辺縁に炎症を起こします。これが歯周病の始まりです。
さらに取り切れなかったプラークは、48時間以内に歯石に変わります。歯石になってしまうと歯ブラシでは取れなくなってしまいますので、歯科医院で専用の道具を使って落としてもらわなくてはなりません。
歯石自体に病原性はありませんが、軽石のような構造をしているためプラークや細菌が付きやすくなり、歯周病になるリスクが高まってしまうのです。

歯周病になりやすい人

世の中には、普通の人よりも歯周病になりやすい人や悪化しやすい人がいます。下記はすべて歯周病の危険因子です。

歯周病の危険因子
●30代以上(歳を取れば取るほどリスクは大きくなる。)
●歯並びが悪い
●喫煙者
●唾液量が少ない
●妊婦
●ストレスが多い
●噛み締めや歯ぎしりグセがある
●歯周病の同居人や血縁者がいる
●糖尿病、心臓病、骨粗鬆症などの全身疾患がある

歯周病の治療方法

歯周病のうち、歯肉炎の範囲であれば、毎日しっかりとブラッシングをしてプラークを落とせば改善することができます。 歯周炎にまで進行してしまうと、歯科医院に通わなくてはなりません。歯科医院では、歯科衛生士によってスケーリングやルートプレーニングというプラークや歯石を取り除く治療が行われます。
それでも改善しない場合には、歯肉を切開する外科的な方法を用いて感染組織を取り除いていきます。 歯周病は検査と処置を何度も繰り返して、長期的に治療していく病気です。

歯槽膿漏とは

歯槽膿漏とは、歯が埋まっている穴(歯槽)から膿が流れ出ている状態(膿漏)を指します。歯周病と同じ意味で使われることの多い歯槽膿漏ですが、正確には重度の歯周炎のことを意味しています。
歯周病は今でこそ国民的な生活習慣病ですが、一昔前までは虫歯で歯を失う人がほとんどでした。問題になるとしても、膿が出てくるまで重症化した歯槽膿漏の状態で、痛みなく進行する初期の歯肉炎には、関心が向いていなかったのです。
当時は、歯周病=歯槽膿漏=歯が抜ける不治の病、という認識が一般的でした。
しかし人々の口腔意識が高まるにつれて虫歯も減り、高齢になってからも歯が残る人が増えていくと、今度は歯周病に注目が集まるようになってきます。歯周病は少しずつ進む病気であり、歯槽膿漏になる前に症状を止められることがだんだんと明らかになってきたのです。
歯槽膿漏という言い方は昔の歯周病に対する認識の名残であり、病気の理解への高まりとともに、今度は歯周病という言い方が一般的になってきた、という経緯があったのです。

歯周病と歯槽膿漏の違い

歯周病は、初期の歯肉炎から重度の歯周炎まで、すべての炎症の進行度を含んだ慢性歯周疾患の総称です。
歯槽膿漏は歯周病の古い俗称で、特に重度の歯周炎を指す言葉でした。ただし、明確に定義されているわけではないので人によって認識が異なり、今でも歯周病と全く同じ意味で使われていることもあります。歯周病という言い方よりも危機感を感じてもらえるという理由で、歯槽膿漏の方を好んで使う歯科医師もいるようです。

曖昧さ回避には

歯周病は総称、歯槽膿漏も曖昧な言い方です。正確な進行度を表すには、歯肉炎や歯周炎という言葉や、GO、G、P1、P2、P3のようなアルファベットと数字で表した進行度が用いられたりします。
病気への深い理解は、早期の改善にも繋がります。歯周病の進行度や治療方法についてまとめた下記の記事もぜひ参考にしてみてください。

参考:歯周病治療の流れと進行度別の治療内容【図解】