歯ブラシを水で濡らすか濡らさないか「結論:気持ちの問題」 | 歯医者の選び方
2018年6月23日

「実は歯ブラシは水で濡らしてはいけない」
「磨く前に水で洗わないと汚い気がする」
歯磨きのときに歯ブラシを濡らすか濡らさないか問題は、テレビや本などでこれまで何度も議論されてきました。歯磨き意識の高い人が一度は思い悩んだ経験があるこの問題ですが、結論としては「どちらでも良い」という歯科医師の意見が意外に多いのをご存知でしょうか。
実はどっちでもいい理由について、歯ブラシを濡らす派と濡らさない派の意見を挙げながら説明していきます。長年に渡り多くの歯磨き好きを苦しめてきた問題に、終止符を打ちましょう。

濡らす派にありがちな2つの意見

まず歯ブラシを濡らす派に多い意見として、次の2つの理由が挙げられます。

「泡立ちが良くなるから」

歯ブラシを水で濡らす理由として多いのが、「歯磨き粉の泡立ちが良くなるから」という意見です。ボディーソープや洗顔料で皮膚を洗うときには、きめ細かい泡ほど汚れが落ちると言われていますが、歯磨きの場合は事情が全く異なります。
歯磨きの最大の目的は、歯についた歯垢(プラーク)を落とすことです。プラークは細菌や汚れの塊であり、虫歯や歯周病の原因となります。
このプラークは、皮脂とは違い泡の力で溶かしたり浮かしたりすることは一切できず、歯ブラシで擦ることでしか落とすことができません。では何のために歯磨き粉に泡立ち成分(発泡剤)が入っているかというと、研磨剤やフッ素などの他の成分を拡散して隅々まで行き渡りやすくするためです。発泡剤自体に洗浄効果はなく、プラークを落とすにはしっかりとブラッシングをしなければなりません。
しかし口の中が泡で一杯になると、それだけできれいになった気がしてしまうために、隅々までブラッシングをしないまま歯磨きを終えてしまう人が多いのです。また、泡を流すために何回も口をゆすがなくてはならなくなり、せっかく歯に行き届いたフッ素成分(虫歯予防になる)も一緒に流れてしまいます。
発泡剤が多く含まれている歯磨き粉は、歯磨きの効果を半減させてしまう恐れがあるのです。
歯科医院でおすすめされている歯磨き粉の特徴も、発泡剤や研磨剤が少なく、その代わりにフッ素成分が多く含まれたものです。
水で濡らす濡らさない以前の問題で、発泡剤の入っていない歯磨き粉を選んだほうが良いでしょう。

「衛生面が気になる」

歯ブラシにホコリがついている気がする、雑菌を洗い流したいから、という理由で歯磨き前に歯ブラシを濡らす人もいるようです。
しかし実際には、少し水で流しただけで歯ブラシの殺菌や汚れが取れるわけではないので、あまり意味はありません。むしろ歯ブラシよりも口内の方が何倍も汚いという見方もあります。
このあたりは気持ちの問題ですので、気になるのであれば水で濡らしても問題ないのではないでしょうか。歯ブラシの衛生面が気になるのであれば、歯ブラシの保管方法を気にしたほうが建設的です。詳しくは下記の項を御覧ください。

濡らさない派にありがちな2つの意見

歯ブラシを濡らさない派の人は、おそらく人よりもデンタルIQが高い人なのかもしれません。実際に、濡らさないほうが良いと主張する歯科医師もいます。
歯ブラシを濡らさない理由として挙げられることが多いのは、次の2つのような意見です。

「泡立ちが多くなるから」

すでに上記で挙げている理由に関連していますが、発泡剤が含まれている歯磨き粉は、唾液の水分にも反応しますので、結局は泡立ちます。泡立つのを避けたいのであれば、歯ブラシを濡らす濡らさないではなく、発泡剤が含まれていない歯磨き粉を選んだほうが良いでしょう。

「フッ素成分が弱まるから」

歯ブラシを水で濡らすと、歯磨き粉の中に含まれるフッ素成分が弱まるからよくない、という意見もあるようです。
確かに多少は薄まるかもしれませんが、磨いている最中に唾液も出るため結局は薄まります。ある程度想定されて作られているはずなので、そこまで影響が大きいとはいえないでしょう。また、どこから磨き始めるのかも大切です。
フッ素成分が薄まることを心配するのであれば、ブラシについた少量の水よりも、歯磨き後の口をゆすぐ回数を気にした方が良いでしょう。
さらにフッ素をできるだけ歯に留めたいのであれば、普段磨く用の歯磨き粉と、フッ素成分が多く含まれたコーティングジェルを、2回に分けて使うのがよいでしょう。普段通りの歯磨き粉を使ったブラッシング後に、歯に塗りたくるイメージでフッ素成分入りのコーティングジェルを使ってください。その後、一回だけ軽くゆすぎます。一日一回、夜寝る前がベストなタイミングでしょう。
歯に塗りたくる用のコーティングジェルは、ライオンから出ているクリニカアドバンテージ コートジェルが、コストパフォーマンスもよく、オススメです。

歯ブラシの正しい保管方法

歯ブラシを水で濡らすか濡らさないか、ということよりも、歯ブラシの保管方法の方が重要ということを上記で述べました。ここでは、歯ブラシを清潔に使うために大切な4つのことを紹介します。

歯磨き後によく洗う

歯磨き前にサッと洗うよりも、歯磨き後にしっかりと洗うことの方が重要です。ブラシを水にさらすだけでなく、指でこすって洗いましょう。

風通しの良い場所に保管する

歯ブラシに雑菌を繁殖させないためには、使っていない間にしっかりと乾燥させることが大切です。湿気がこもりやすいお風呂やユニットバスに保管するのは避けましょう。
使用後に毎回ブラシを軽くティッシュで拭うと、乾燥しやすくなります。

同じコップに入れない

複数の歯ブラシを同じコップに入れて保管すると、ブラシの先が触れ合って細菌が感染ってしまう恐れがあります。虫歯も歯周病も感染症です。家族間での感染が多い病気なので、ブラシの先が触れ合わないよう別々のコップで保管しましょう。

月に1回は交換する

歯ブラシは一回でも使用すれば、細菌が繁殖してしまいます。繰り返し使っていくうちにブラシが広がってきて、汚れも落としにくくなってきますので、最低でも月に1回は新しい歯ブラシに交換しましょう。

大切なのは磨き方

歯ブラシを水に濡らすか濡らさないかは、さほど大きな問題ありません。より自分が快適に思う方で構わないのです。
大切なのは磨き方です。虫歯や歯周病に悩んでいる人は、自己流の磨き方に問題がある可能性があります。一度歯科医院でプロによる指導を受けてみてはいかがでしょうか。歯磨き方法だけでなく、自分にあった歯ブラシや歯磨き粉も処方してくれるはずです。