【衝撃】歯科用タービンの7割は使い回し?歯科業界の衛生管理問題 | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2017年3月11日

2014年5月18日付の読売新聞一面に掲載されたことで話題になった、歯科用タービン使い回し問題。恐ろしいことにその記事の内容は、約7割を超える歯科医院で、歯を削る医療機器の使い回しの疑いがあるというものでした。この記事をきっかけに、歯科医療業界の衛生管理問題について一気に注目されることとなりました。
使い回しの危険性、対策が行われないワケ、衛生管理が行われている歯科医院の特徴についてまとめました。

院内感染

歯科は院内感染のリスクが高い?

歯科領域で問題となるウイルスには、HIV、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルスなどがあります。これらは唾液や血液を介して感染するウイルスです。
歯科では日常的に外科的な処置が行われるため、唾液や血液といった体液が多く排出されます。器具使い回しによる患者間の感染リスクはゼロではありません。
記事で問題となった歯を削る歯科用タービンは直接口の中に入れるため、唾液、血液、膿などが付着する可能性があります。また器具の構造上、これらの体液が逆流して中に入り込んでしまうため、表面を拭くだけなど適切な処理をせず次の患者に使うと、前の患者の体液が口内に入ってしまう恐れがあるのです。
歯科用タービンだけでなく、その他歯科診療で用いられる器具の多くが同じ状況であるといえるため、通常歯科診療では徹底した衛生管理が求められます。

どのような予防が行われているのか

衛生管理に力を入れている医院では、標準予防策(スタンダードプリコーション)といって、すべての患者が感染症である前提での対策が行われています。仮に無自覚な感染症患者の診療を行ったとしても、患者同士の感染を防ぐことのできる患者のための対策です。
医院によって様々ですが、具体的には次のような感染対策が行われています。

・患者ごとに診察用ゴム手袋、エプロン、コップ、マスクなどを換えている
・高圧蒸気滅菌器で滅菌を行った器具の使用
・滅菌された器具をパッキングし、患者の目の前で開ける
・口腔外バキュームを使用した飛沫物の除去
・予め患者ごとにすべての器具を準備し、診療中に戸棚を触らないようにする
・診察台やライトのパッキングと患者ごとの取替
・院内の水質改善

なぜ十分な対策ができないのか

上記の対策がどこの医院でも当たり前に行われている、と思いたいところですが、記事で取り上げられたように多くの歯科医院でできていないのが実情です。その理由には、コストと日本の保険医療制度の問題があります。

莫大なコスト

院内感染対策のためには、滅菌機器や予備分の器具購入など莫大な投資が必要となってきます。今やコンビニよりも多いといわれる歯科医院ですが、競争激化による経営難で廃業に追い込まれるケースも少なくありません。

医療制度の限界

また日本の保険医療制度も、歯科医院の経営難を助長しています。歯科における保険診療費は安く設定されているため、患者にとっては良い反面、保険診療を行う医院にとっては非常に苦しい経営を強いられることになります。
さらに、院内感染対策に対しての国の補助はすずめの涙程度であるため、新たに莫大な費用をかけて対策をしようという医院は少数になってしまうのです。

器具の滅菌が追いつかない

一人あたりの単価が安い場合、利益をあげるには一日に何人もの患者を診察しなければなりません。すると使用する器具も増え、滅菌に時間もコストもかけることができなくなり、洗浄しただけの使い回しがされるというような事態になってしまうのです。わたしたちにとって保険診療は安いという恩恵がある一方で、コストをかけられないがためのリスクも確実に存在します。

感染経路の特定が難しい

仮に何らかの感染があった場合、歯科診療が原因であったかどうかの特定は難しいとされています。そのため問題が顕在化されず、業界全体として対策意識が広がりにくいというのも理由の一つとして挙げられます。

衛生管理のしっかりした歯科医院とは

これが歯科業界の現実です。もちろんすべての歯科医院ではありません。厳しい経営を強いられる中で、地道な努力によって感染対策を達成している歯科医院があるのもまた事実です。
経営を優先するか感染対策を行うかは、もはや歯科医師のモラルの問題になってきてしまいます。積極的に感染対策を行っている歯科医院は患者にとって良心的な歯科医院だと言えるかもしれません。
感染対策に力を入れている医院の多くは、ホームページ内に医院としてどのような取り組みを行っているのか明記していたり、院内設備として高圧蒸気滅菌器などの感染対策機器を載せているなど、何らかの情報を発しています。
または、「歯科外来診療環境体制」という国の安全基準を満たしている医院として認可を受けていることも、力を入れているという判断材料の一つになります。
もちろん、十分に対策を行っていても、必ずしもホームページに載せているとは限らないし、基準を満たしているのにも関わらず申請していないだけの可能性もあります。医院側の事情として、保険診療の加点を受けられる制度ではありますので、自費診療の歯科医院は必要性がないのかもしれませんね。
腕の良い歯医者、信頼できる歯医者というのは、これらの衛生管理含めすべてを総合して良い歯医者、と呼ばれるものです。良い治療を行うためには、衛生管理は必要不可欠になってきます。歯医者を選ぶ上で、衛生管理に力を入れているかどうか判断材料の一つとして考えてみてくださいね。