交通事故の損害賠償でインプラント治療は認められるの? | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2017年3月22日

不運にも交通事故に巻き込まれてしまい、歯を失ってしまったあなた。どうせ治療するならインプラントにしたいと考えました。インプラントは将来的にも長持ちしますし、事故前の状態に近づけるには最も適した治療法といえます。しかし治療費は高額です。すべて自費で行うには到底支払えない額でした。
対人事故の治療費は、通常加害者側の保険会社から支払われますが、今回のように自費診療の高額なインプラント治療費についても全額請求することはできるのでしょうか?

交通事故でインプラント

インプラントとは

インプラントは人工の歯根を顎の骨に埋め込み、その上に義歯を取り付ける治療法です。顎の骨にしっかりと固定されるため噛みごたえも自然で、見た目も普通の歯より美しくなります。審美性が優れているのは良い素材を使っているためで、その分材料費は高額になります。また治療には高度な技術を要するため、どの歯科医院でも安定したクオリティの治療を受けられるわけではありません。高額な医療費がかかる、安全な治療が保証できないといった理由によりインプラントは保険適用外の自費診療となっています。

交通事故の補償について

インプラント治療は自費診療であるため、総額で数百万に及ぶこともあるような非常に高額な治療法です。そのため、交通事故の賠償金にインプラントの治療費を含めるか含めないかは、非常に大きな問題となってきます。
歯の機能性の回復という観点では、インプラントの他にも、保険適用可能なブリッジや入れ歯という方法があります。
ブリッジは隣の歯を削って土台とし橋渡しのように義歯を被せる方法です。自分の歯と固定するため、少ない違和感で噛むことができますが、健康な歯を削る必要があります。入れ歯はバネによって義歯をはめ込む方法です。グラつきがあるなど、ある程度の違和感が伴ってしまいます。
審美性の回復という点では、保険診療のブリッジと入れ歯ともに使える材料も限られてくるため、インプラントと比べると劣ってしまいます。

メリットの多いインプラント

インプラント ブリッジ
(保険適用)
入れ歯
(保険適用)
費用/本 20万円~ 10,000円~ 5,000円~
機能性 自然 違和感なし 違和感あり
審美性 優れている ほとんど違和感が
ない
入れ歯とわかる
他の歯への
影響
なし 両隣の歯を削る必要がある バネをかける歯に
負担がかかる

事故の補償をどこまで行うのかという問題になりますが、機能性の回復だけでいうとブリッジや入れ歯でも十分であると判断されることもあります。高額なインプラント治療によって、過剰な審美性回復までも保障する必要はないとして、治療費は賠償の内容として認められないケースもあるのです。

インプラントが認められる場合

ただし、インプラントが治療法として最も適した方法であると判断された場合には治療費の補償が認められています。
ブリッジや入れ歯治療と比較し、インプラント治療の合理性や必要性を証明できれば、治療費の請求ができるという判例もでています。合理性や必要性の証明には、歯科医院での診療を受けた上で、証明書を作成してもらう必要があります。
また、事故により顎の骨の1/3以上が連続して欠損してしまっている場合などは、インプラントが保険診療として認められますのでより治療を受けやすくなります。

歯の後遺障害

交通事故の場合、将来の治療費も賠償の一部として請求することが可能です。インプラントの場合はメンテナンス費用などがこれにあたります。
補償を受けるには、歯科医院にて後遺障害診断書が必要です。この診断書をもとに保険会社によって後遺障害等級の認定がされ、等級に応じた補償を受けることができます。歯牙の喪失や破損による後遺障害等級は下記のように定められています。最低でも3歯以上の補綴治療を受けている必要があります。なおブリッジの場合は土台となる両隣の歯もカウントされます。

歯牙の後遺障害

等級 後遺障害の内容 慰謝料
(自賠責基準)
慰謝料
(裁判所基準)
第10級4号 14歯以上に対し歯科補綴を
加えたもの
187万円 550万円
第11級4号 10歯以上に対し歯科補綴を
加えたもの
135万円 420万円
第12級3号 7歯以上に対し歯科補綴を
加えたもの
93万円 290万円
第13級5号 5歯以上に対し歯科補綴を
加えたもの
57万円 180万円
第14級2号 3歯以上に対し歯科補綴を
加えたもの
32万円 110万円

慰謝料の相場には、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判所基準の3つの基準があります。上記には比較のために2つを載せていますが、3つの中で最も相場が高いのは弁護士に依頼した際の慰謝料です。

専門家への相談を

交通事故の賠償金としてインプラントの治療費を請求するためには、歯科医師による証明書が必要となります。後遺障害等級の認定にも歯科医師による診断書が必要となってくるため、歯を失った際には信頼できる歯科医院に相談してみましょう。
また、証明書や診断書が有効な書類となるかの確認を含め、一連の保険会社との交渉については弁護士へ依頼することで、裁判所基準の慰謝料を得られるなどより有利な条件で進めることが可能です。