歯科の保険診療が複雑な5つの理由 | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2017年4月28日

同じ診療内容のはずなのに、歯科医院を変えた途端に高くなった!なんてことはありませんか?
保険診療は、治療の内容ごとに全国一律の点数が定められています。ということは保険診療で同じ治療を受けた場合、どこの歯科医院でもかかる治療費は同じになるはずですよね。しかし実際は医院ごとにかかる費用が異なることがほとんどです。明細をみてもどの項目がどの治療に当たるのかも判断がつかないし、わざわざ聞いたりもしないので結局よくわからないまま支払っているのではないでしょうか。 この記事では歯科の保険診療が複雑な原因について5つの観点から説明しています。5つのことを知っていると、歯科の保険診療についての理解が少しだけ深まるかもしれません。

保険診療の複雑なところ

施設基準による加算がある

歯科医院には国に定められている様々な施設基準があります。この施設基準の認定を受けるには、所定の条件を満たし、国に届け出る必要があります。保険診療にはこの施設基準の認定を受けていることで、特定の診療項目について所定の点数にプラスαの点数を加算できるというルールがあります。
例えば、「歯科外来診療環境体制」という施設基準(歯科衛生士が1名以上在籍している、緊急医療機器が備え付けてある、感染対策を行っている等)の認定を受けている医院では、通常の初診料234点にプラス25点の加算、再診料45点にプラス5点の加算が可能となります。一定水準以上の施設で診療を受けるために、ほんのすこし割高になると考えるとわかりやすいかと思います。 ただし国への届け出は任意によるものであり、施設基準の条件を満たしていても認定を受けていない歯科医院もあります。歯科医院の方針によって異なってきますので、認定機関かどうかで良し悪しが判断できるわけではありません。
このように特定施設ごとの加算があるために、同じ診療メニューでも金額に差がでてきてしまうのです。

医療費負担割合

下記のように患者の年齢によって保険の負担割合が変わってきます。

医療費負担割合

年齢 負担割合
6歳未満 2割負担
6歳以上 3割負担
70~74歳 2割負担
(ただし現役並所得者は3割負担)
75歳 1割負担
(ただし現役並所得者は3割負担)

また6歳未満の患者や著しく歯科診療が困難な患者(要介護者や障害者など)に対しての診療は、所定の点数×1.5の点数が設定されています。

治療の選択肢が複数ある

歯科診療は一般歯科、矯正歯科、小児歯科、歯科口腔外科の4つの科に大別することができますが、多くの歯科医院ではインプラント、ホワイトニング、予防歯科、歯周病治療など、診療内容ごとに高い専門性を持っています。さらに一つの診療に対しても多くの学会があり、考え方や治療へのアプローチは千差万別です。歯科医院の方針についても、院長が所属している学会によって大きく変わってくることになります。
保険診療ではある程度治療内容が限られてくるとはいえ、例えば虫歯治療一つとってもすぐに削る医院もあれば削らない判断をする医院もあります。欠損補綴についてもブリッジを得意とする医院もあれば入れ歯を得意とする医院もあります。
歯科の治療には選択肢がたくさんあり、同じ症状をみても医院の方針によっては異なる判断をする可能性があるのです。

歯科医院の設備環境が限られている

歯科医院に備え付けてある設備や材料によっても、算定できる点数が変わってきます。例えばレントゲンの種類にも複数あり、アナログのレントゲンを使用している場合とデジタルのレントゲンを使用している場合で点数が異なります。当然ですがアナログのレントゲンしかない医院ではアナログの点数しか算定できません。
また、希望の保険診療がどこの医院でも受けられるとは限りません。小さな虫歯除去に保険適用のレーザーを使ってほしくても、レーザーを扱っていない医院では不可能です。医院でできる範囲の診療内容となってしまいます。
保険診療に定められている診療点数は、基本的にとても安く設定されています。行うだけで赤字になる診療内容もあります。歯科医院にも経営がありますから、原価の高い医療行為を、進んで保険診療で扱いたいとは思わないのです。

病名判定をしなければならない

保険診療とするには、必ず何らかの病名が必要です。例えば歯石除去は歯周病という疾患に対する処置です。検査によって歯周病と判断されてはじめて保険で歯石除去を行うことができます。つまり保険の歯石除去は、必ず検査とセットで行われるものであるため、歯石除去を単独で受けることはできません。どうしても単独で行いたい場合は、保険外となります。
保険明細で一見必要ないと思われる診療項目は、実は保険適用のためのルールに則って行われたものである可能性があります。思っていたよりも高いな、と感じてしまうのもこのためかもしれません。嫌な思いをしないためにも、診療内容についての説明はしっかりと受ける必要があります。

まとめ

このような複雑な保険診療ルールを逆手にとって、架空請求を行う悪質な歯科医院もあります。明細を見たときにわからない項目があった際には、勇気を出して説明を求めることが一番です。
例えば月に1度の頻度で算定できる歯科疾患管理料(100点)という診療項目がありますが、内容をざっくりといえば治療計画の説明というものです。この歯科疾患管理料を1分程度のさらっとした説明をもって算定する歯科医院もあれば、実際の計画書をもとに丁寧に説明する歯科医院もあります。300円(100点の3割負担)を高いと感じるか安いと感じるかは、歯科医院によって大きく変わってきてしまうのです。