悪い噛み合わせの矯正方法と放置してはいけない8つの理由 | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2017年7月12日

噛み合わせや歯並びに問題があると、見た目の印象が悪くなるだけでなく、食べ物が食べづらい、うまくしゃべれないといった口腔機能の障害が生じます。さらに頭痛や肩こりなどの全身症状にまで発展するため、早急に矯正治療を行う必要があります。
今回は、悪い噛み合わせを放置してはいけない8つの理由と、その矯正方法について紹介します。

噛み合わせ

8種類の悪い噛み合わせ

歯並びや噛み合わせが悪いことを不正咬合といいます。不正咬合にも様々な種類があり、次の8つに分類することができます。単独で起こしているケースもあれば、複数の症状が併発していることもあります。

叢生(そうせい)

歯が横に綺麗に並ばずに、凸凹に生えている状態を叢生といいます。乱杭歯、八重歯ともいわれます。顎が小さくて歯の生えるスペースが狭すぎるために、歯が曲がって生えてきてしまうのです。歯の清掃性が悪く、様々な口内疾患のリスクが高くなります。

空隙歯列(くうげきしれつ)

歯と歯の間に隙間が空いているすきっ歯を、難しく表現したものが空隙歯列です。乳歯が生えている子供の時期によく見られますが、むしろ顎がしっかりと成長している証なので問題はありません。
大人になってから空隙歯列となってしまうのは、叢生と同じく顎と歯の大きさのバランスが悪いために起きることもありますが、幼少時のおしゃぶりなどの悪癖や、生まれつき歯の少ない先天性欠如が原因となっていることもあります。

上顎前突(じょうがくぜんとつ)

上の歯や上顎全体が前に出ている、いわゆる出っ歯の状態が上顎前突です。歯が出ているために口内を傷つけやすかったり、噛み合わせが悪く食べ物がうまく噛めなかったりします。骨の成長異常や、幼少時のおしゃぶり癖、口呼吸が原因で起こります。

反対咬合(はんたいこうごう)

下の歯や下顎が上顎よりも前に出て受け口になってしまっている状態を反対咬合といいます。下顎への負担が大きく、放置すると顎関節症となってしまう恐れがあります。
上顎前突と同様に、顎の成長の問題であったり、幼少時の悪癖や口呼吸が影響していると考えられます。

交叉咬合(こうさこうごう)

交叉咬合は、噛み合わせた時に上下の歯が互い違いに噛み合う状態をいいます。すれ違い咬合、クロスバイトともよばれます。下の臼歯が上の臼歯よりも内側(舌側)に入ってしまう臼歯部交叉咬合や、上の前歯が下の歯よりも内側(舌側)に入ってしまう前歯部交叉咬合があります。
不正咬合の中でも治療の難しい症状であり、顎関節症や身体の歪みからくる頭痛や肩こりを起こす可能性があります。

鋏状咬合(はさみじょうこうごう)

下の臼歯が内側(舌側)に、上の臼歯が外側(頬側)に傾いていて、奥歯だけ完全に噛み合っていない状態です。はさみのような噛み合わせになることから鋏状咬合(シザーズバイト)とよばれます。前歯は正常な咬合なので、見た目には気づきにくいですが、奥歯が噛み合わないため常に左右に動かしながら咀嚼(そしゃく)しなければなりません。顎への負担が大きく顎関節症のリスクが高い症状です。

開咬(かいこう)

開咬とは、しっかりと噛み合わせても前歯が噛み合わずに上下に隙間が開いてしまう状態のことをいいます。オープンバイトともいいます。開咬は奥歯しか噛み合わないために、咀嚼機能障害や発音障害を起こします。また、口が閉じにくくなるため口呼吸になりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。
幼少時のおしゃぶり癖や舌を出す癖、遺伝などで起こります。

過蓋咬合(かがいこうごう)

過蓋咬合は、前歯を噛み合わせた時に、上の歯が下の歯を覆い隠してしまいます。噛み合わせが深すぎてもよくありません。下顎の発達不足や、歯の生える方向に問題があると考えられます。
下の歯が上の歯茎の内側に常にあたってしまうことで、その部分の骨の吸収が起きてしまうこともあります。また、下顎の動きが制限されるために、顎関節症を起こす可能性もあります。

悪い噛み合わせの6つの原因

不正咬合を起こす原因には、先天的なものと後天的なものがあります。先天的な要因による不正咬合は防ぎようがありませんが、後天的な原因については幼少時からの習慣に関連することが多く、気をつけていれば不正咬合となるのを防ぐことができます。

顎の成長異常

上顎と下顎のどちらかが異常に発達してしまうなど成長バランスが悪いと、歯が詰まって生えたり、逆に隙間が空いて生えてきたりして、噛み合わせに異常を起こします。顎の骨格の形は、遺伝的要素も関係してくると考えられます。特に上顎前突や反対咬合は親から遺伝しやすい症状です。

歯の先天的な異常

歯の本数が先天的に少ない先天性欠如歯や、人よりも多く生えてきてしまう過剰歯が、不正な噛み合わせを起こしてしまう原因となります。

口腔習癖

幼少時のおしゃぶり癖や舌を前に出す舌突出癖、唇を噛んだり吸ったりする癖(咬唇癖・吸唇壁)は、歯列や噛み合わせに悪影響を及ぼします。また口呼吸も顎の成長を阻害する要因となります。
頬杖や偏った姿勢、うつ伏せ寝、横向き寝、いつも同じ側で噛むなど、大人になってからも無意識に行ってしまう様々な態癖によっても、徐々に歯列は動かされ噛み合わせを悪くしてしまいます。

食生活

柔らかいものばかり食べていると顎の骨が退化し、歯の生えるスペースが確保できずに噛み合わせや歯並びに影響を及ぼします。

不適当なタイミングでの生え変わり

虫歯などが原因で早期に乳歯が抜け落ちてしまうと、隙間に歯が移動してきて永久歯が生えるスペースがなくなり曲がって生えてきてしまいます。
逆に乳歯の抜けるタイミングが遅すぎても、やはり生えるスペースが無いために曲がって生えてきてしまいます。適切な時期に乳歯から永久歯への生え変わりが行われないと、叢生の不正咬合を起こしやすくなるのです。

外傷

幼少時に口元を強くぶつけると、永久歯が曲がって生えてきたり、異常な位置に生えてきたり、全く生えてこないこともあります。また事故などにより顔面が骨折したり歯が破損すると、顎の骨のズレから歯列や噛み合わせの異常が発生します。

悪い噛み合わせを放置すると起こる8つのこと

歯並びや噛み合わせの問題は、口内のトラブルだけでなく全身症状にまで発展します。うまく噛めないストレスともあいまってブラキシズム(歯ぎしり)を起こし、さらに歯並びを悪化させてしまうことも少なくありません。
主な症状として次の8つの事柄が考えられます。

虫歯や歯周病になる

歯並びや噛み合わせが悪いと歯に汚れが詰まりやすく、また歯も磨きにくいので、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。清潔な口内が保ちづらくなり口臭も発生してしまいます。

口呼吸になりやすい

不正咬合で上下の歯がうまく噛み合わず口が閉じにくいために、口呼吸になりやすいことも問題です。口呼吸はドライマウスを引き起こし、口内の衛生環境を悪化させます。細菌が繁殖しやすいために、虫歯や歯周病、口臭を引き起こします。

見た目が悪い

出っ歯や受け口など、噛み合わせの悪さは見た目の印象も悪くします。歯だけでなく顔貌全体の雰囲気を左右してしまいます。歯並びや噛合せが気になると笑顔も自然と減り、気持ちも沈みがちです。

滑舌が悪くなる

歯並びや噛み合わせが悪いと、息が漏れて発音に障害が出たり、舌や唇がうまく機能せずに滑舌が悪くなってしまうことがあります。長年同じ状態が続くと癖がついてしまうため、できるだけ早期の矯正が必要となります。

食べ物が噛めない

上下の歯の噛み合う面積が少ないと、食べ物がうまく噛めない咀嚼機能障害を起こします。また、舌や顎の動きも悪くなることから、唾液が正常に分泌されずに、食べ物が飲み込みづらい嚥下障害を招いてしまうこともあります。

咬合性外傷

噛み合わせのバランスが悪いと特定の歯だけに偏った力がかかり、歯を支える歯槽骨や歯根膜などの歯周組織にダメージを与えます(咬合性外傷)。歯の摩耗や破折だけでなく、噛んだ時に痛みを感じたり、知覚過敏を起こしたりします。また歯周病の進行を急激に進めてしまう要因にもなります。

顎関節症

噛み合わせが合わないと、噛む度に顎がずれて骨に負担がかかります。不安定な咬合が続くと顎関節症を引き起こします。顎関節症は、開口時に痛みを感じる、関節から音がなる、口が開かないといった症状を引き起こします。
顎関節症のリスクが高い不正咬合として、開咬、上顎前突、交叉咬合、鋏状咬合などが挙げられます。

肩こり・腰痛・頭痛

顎関節症の一連症状として、肩こり、腰痛、頭痛を起こすこともあります。関連症状として、耳鳴りや腕のしびれもみられます。噛み合わせのズレは、顎の骨や周囲の筋肉にも影響を及ぼします。頭蓋骨の歪みと関連して自立神経失調症のリスクも考えられます。ひどい場合には、全身のバランスが崩れることによって、歩行障害に発展する可能性もあります。

噛み合わせの矯正方法

悪い噛み合わせや歯並びの矯正方法には、矯正器具を使って歯を少しずつ動かす方法と、器具だけでは治せない場合に行われる外科的処置の2つに大分されます。
矯正器具を使用した方法には、ワイヤー矯正、インプラント矯正、マウスピース矯正があります。
それらの矯正に加えて、不正咬合が深刻な場合や矯正期間を短縮したい場合には、外科的処置が行われます。顎の骨を切除して歪んだ骨を治す方法や、歯槽骨に切り込みを入れて歯の動きを良くする方法などがあります。

ワイヤー矯正

歯に直接接着したブラケットという矯正装置をワイヤーで繋ぎ、歯と歯を引っ張り合いながら歯を動かす方法です。 歯を動かすスペースがない場合には、抜歯する必要があります。また抜歯したスペースに奥歯が移動してこないようにヘッドギアを装着することもあります。
ワイヤー矯正は最も症例の多い矯正方法であり、幅広い不正咬合の矯正に対応できる確実性の高い方法です。ただし矯正期間中、装置の取り外しはできないため虫歯になりやすくなってしまいます。歯の表側に矯正装置をつける表側矯正と、裏側につける裏側矯正(舌側矯正)があります。

適した症例:不正咬合全般

インプラント矯正

インプラント矯正は、ワイヤー矯正と同じくブラケットを使用しますが、アンカーと呼ばれるネジを歯茎に埋め込み、そこを固定源に歯を動かす方法です。
歯同士を引っ張らないため、任意の歯だけを短期間で効率的に動かすことができます。また、奥歯を更に後方に動かしたり、歯を下げたりといった、従来のワイヤー矯正では不可能な方向へも動かすことができるようになりました。歯を動かすスペースがない場合には奥歯を後ろに下げられるため、非抜歯での矯正が可能です。
デメリットは、インプラントを埋める際に外科的処置が必要になることと、インプラントによって歯周組織に炎症を起こしてしまう可能性があることの2点が挙げられます。

適した症例:不正咬合全般

マウスピース矯正

マウスピース型の矯正器具を装着し、少しずつ歯を動かしていく矯正法です。1日の装着時間は、マウスピースや矯正の種類によって異なりますが、8~20時間と長時間となります。ただし食事や歯磨きの時には取り外しができるので、口内の清掃性を保てる点でメリットです。また、マウスピースは透明で薄型なので目立ちません。
歯が動く度に型取りをするタイプもあれば、インビザラインのように初回のみで済むシステムもあります。 マウスピースでの矯正は、左右・上下・垂直の噛み合わせのズレや抜歯が伴うような矯正など、広範囲に歯を大きく動かす必要がある場合には向いていません。
ワイヤー矯正など別の矯正方法と併用することで、幅広い症例に適応することができます。

適した症例:不正咬合全般(単独の場合は軽度の症例に限られる)

外科矯正

顎骨の成長異常など、骨格的な問題で不正咬合を起こしている場合、通常の矯正にプラスして外科的な手術が行われます。
具体的には、前歯の歯槽骨を引っ込める上下顎前歯部歯槽骨切り術や、下顎の骨を切って全体を引っ込める下顎枝矢状分割術、下顎枝垂直骨切り術などがあります。
外科矯正は顎変形症という疾患の治療にあたるため、健康保険が適用されます。ただし保険での手術を受けることができるのは、国の定める指定自立支援医療機関に限られます。

適した症例:上顎前突、反対咬合

コルチコトミー(ヘミオステオトミー・コルチコトミー)

コルチコトミーやオステオトミーは、ワイヤー矯正・インプラント矯正と併用することで矯正期間を大幅に短縮できる外科手術です。コルチコトミーは、歯槽骨の硬い部分を切除して歯を動かしやすくする処置です。派生したものに、ヘミオステオトミー・コルチコトミーがあります。歯槽骨の切除に加え、内部の骨にヒビを入れて歯の移動を促す方法です。
これらの外科処置によって歯が早く動くだけでなく、矯正後の後戻りが少ないためリテーナーの着用期間も短縮されます。 骨を切除する外科的な手術ですので、術後の腫れや痛みがあります。また扱っている歯科医院が少ないために受診の機会が限られてしまいます。

適した症例:不正咬合全般

まとめ

遺伝的な原因もありますが、悪い噛み合わせの多くの原因は、幼少時からの悪癖や生活習慣が関係してします。これまで積もりに積もった自分の悪癖や習慣が、今の歯並びに表れているといっても過言ではありません。
小児矯正において、歯列や骨格の矯正だけでなく、悪癖の矯正や生活習慣の改善も重要な要素となっているのはこのためです。 大人になってからも歯は少しずつ動いています。できるだけ早い段階での矯正を行うことで、不正咬合の弊害を防ぐことができます。今はインプラント矯正やコルチコトミーなどのスピード矯正や、目立たないマウスピース矯正や裏側矯正もありますので、この機会に是非矯正を検討してみてください。