虫歯を放置すると痛みがなくなるのは神経が死んだから | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2017年8月18日

虫歯の痛みを極限まで我慢すると、まるで治ったかのように痛みが治まることがあります。しかし実際には治ったわけではなく、歯を失うカウントダウンは着々と進んでいるのです。
今回は、虫歯が急に痛くなくなる理由と、放置するとどうなるのか、またその他にも痛みもなく進んでいく口内の病気についてまとめてみました。

痛みがなくなる虫歯とは

虫歯が神経にまで達すると、何もしなくてもズキズキと痛むようになります。普通の人は痛みを我慢できずにこの時点で歯科医院に行きますが、さらに放置するとやがて痛みが治まってきます。治ったと勘違いしてしまいそうですが、実は痛みがなくなるのは歯の神経が死んでしまったからなのです。痛みはなくても、症状は着々と進行していってしまいます。

歯の構造と虫歯の進行

歯は、外側からエナメル質、象牙質、歯髄で構成されています。虫歯は外側から内側に向かって侵蝕していくため、最終的には歯髄に達します。歯髄は血管や神経が集まった組織であり、虫歯による歯の痛みは、歯髄への刺激が原因で起きます。
エナメル質を少し溶かした程度の虫歯ではまだ痛みを感じませんが、象牙質にまで達すると歯髄へ刺激が伝わるため、冷たいものを食べた時にしみたり痛みを感じたりします。虫歯が歯髄まで達すると、神経組織に炎症を起こし何もしなくても強い痛みを感じるようになります。

なぜ神経が死ぬのか

通常身体の組織が炎症を起こすと、たくさんの血液が集まり血管が膨張します。血管からは滲出液が漏れ出て、損傷した部分を修復する働きをします。この時患部は腫れ、神経が圧迫されることで痛みを感じます。
しかし歯髄の炎症の場合、硬い組織に覆われているため、血管の膨張や滲出が十分に起きません。歯髄内の内圧が高まり神経が圧迫されて強い痛みを感じます。血流が滞って組織の修復もうまくできないため、そのまま壊死してしまうのです。

神経が死ぬと起こること

死んだ歯髄を放置すると細菌が感染し、歯髄壊疽という状態になります。歯髄が腐り、歯の中でかなりの悪臭を放つようになります。やがて歯根の先に根尖病変を作り、膿を出し始めます。
また神経が死んでしまってしまった歯は栄養が回らなくなってしまうため、歯の色が黒っぽく変色し耐久性が下がります。今までと同じような噛み方には耐えられずに、歯が割れてしまうこともあります。歯が割れると多くの場合で抜歯となってしまいます。
治療後も、二次カリエスなどの再感染が起きた時に、痛みによって症状に気づくことができないため、重症化を許してしまう恐れがあります。治療を繰り返すと費用も時間もかかってしまいます。
このように虫歯を放置すると多くのデメリットがあるため、早急に治療を行う必要があります。

神経が死んだ歯の治療法

神経が死んでしまった歯には、歯の根の治療である根管治療を行っていきます。基本的には歯髄を取り除く抜髄処置が行われますが、放置期間が長く重度の根尖病変ができている場合などには、歯根部と根尖病変部を外科的に取り除いていく歯根端切除術を行うこともあります。
また一時的に抜歯して感染部位を取り除き再植する、意図的再植術が選択されることもあります。これらの治療が難しい場合には、抜歯となります。

抜髄

歯を削り、根管内の歯髄を綺麗に取り除いて根管内を洗浄してから、薬剤を充填していく治療方法です。削った部分の修復にはクラウンが用いられます。
歯根の形状により治療の難易度が変わってきます。いかに無菌状態で治療ができるかが大切です。少しでも感染部位の取り残しがあれば、再感染の確率が上がってしまいます。

歯根端切除術

抜髄だけでは根尖部の病変や感染部の除去が難しい場合には、歯根端切除術を行っていきます。
歯肉を切開し、根尖病変を根の先ごと除去していきます。MTAなどの充填材で根尖封鎖をした後、歯茎を縫合してもとに戻していきます。
歯根端切除術は、肉眼での治療に限界があるため、多くの場合でマイクロスコープを使っての手術が行われます。特に見えにくい奥歯(6番以降)の治療は難しいため、歯根端切除術ではなく意図的再植術が適応されることもあります。

意図的再植術

歯根端切除術ができない場合には、意図的再植術が選択されることがあります。意図的再植術は、一時的に抜歯を行い、感染部位を取り除いてから再び歯を戻す治療法です。
歯根端切除術も意図的再植術も、どこの歯科医院でも扱っているわけではないため注意が必要です。また手術を受ける際には、できるだけ症例数の多い実績のある歯科医院での受診をおすすめします。

痛みがなく進む怖い口内の病気

神経が死んでしまった後の虫歯の他にも、口内には痛みもなく症状が進む病気があります。歯周病、根尖病変、粘液嚢胞、口腔癌について紹介します。

歯周病

痛みもなく症状が進む口内の病気といえば歯周病です。成人の大多数がかかる病気であり、歯を失う3大要因の一つでもあります。
加齢とともに唾液量が少なくなったり、口内の清掃性が低くなったりすると、プラーク内の細菌量が増えて歯肉に炎症を起こします。歯肉が腫れたり赤くなったりはしますが、痛みがないことが特徴です。
細菌は徐々に歯周組織を破壊し、歯を支える骨までも溶かしていきます。やがて歯を支えることができなくなり、抜け落ちてしまうのです。痛みの症状がないため、気づいたら手遅れということも珍しくありません。
歯周病の治療はプラークの除去や、プラークが溜まりやすくなっている原因の除去が中心となります。歯周病菌は常在菌の一つなので、完全な除去はできません。プラークが少ない状態を保たない限り何度でも再発してしまうため、定期的な治療と日常のセルフケアが大切になります。

根尖病変

歯根の先に膿ができる病気です。虫歯を放置したり、根管治療が不完全であったりすると、歯根の先に膿袋ができ歯茎にできた穴(フィステル)から膿を排出することがあります。神経が死んでいるため、痛みなどの症状がなく進行します。
免疫力が下がったときに、急に大きく腫れて痛みがでることもあります。放置すると細菌の感染が別の部位にも広がり全身疾患に繋がることもあるため、定期的な診断などでできるだけ早く気づく必要があります。

粘液嚢胞

口内の粘膜にある唾液腺が傷つけられたりして、唾液の排出が阻害されると、小さい水ぶくれを作ることがあります。触っても痛みはなく、白っぽい透明の色をしています。
自然治癒することもありますが、再発を繰り返すため、基本的には原因となる唾液腺ごと摘出するのが良いでしょう。悪性化することはありませんが、何度も繰り返すうちに徐々に大きく固くなることもあるため、小さいうちに治療をしてしまうことをおすすめします。

口腔癌

口腔癌は、口内にできる癌の総称です。できる部位によって、舌がん、歯肉癌、頬粘膜癌、口底癌、口蓋癌、口唇癌と呼ぶことができます。
前癌病変である白板症や、ガンの初期は痛みの症状がありません。痛みが出るころには、かなり進行してしまっている可能性もあります。口内炎と間違えやすいですが、いつまで経っても治らない場合には癌の恐れがあります。

まとめ

痛みもなく症状が進む病気の怖いところは、気づかぬうちに進行を許してしまう可能性がある点です。痛みは身体のSOSですから、放置することなくできるだけ早く医療機関で診てもらいましょう。
また痛みもなく進む病気は、定期的な診断を行っていれば重症化を免れることができます。目視で異常を確認することもできるため、普段から口内の様子を気にかけてチェックすることが大切です。