虫歯と頭痛はなぜ同時に起きるの?切っても切り離せない関係とは | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2017年8月19日

口内にはたくさんの神経が通っているため、虫歯が引き起こす痛みは、歯だけではなく顔面全体や頭部にまで飛び火することがあります。特に虫歯と頭痛は同時に起こることもあり、二重の痛みに苦しめられることになります。
痛みの伝染の原因は、大きくわけて細菌感染によるものと、筋肉痛によるものがあります。前者は感染源を取り除く治療、後者は噛み合わせの調整などをすることで痛みをなくしていきます。細菌感染によるものは、深刻な病気に発展している可能性もありますので、そのまま放置せずに直ちに歯科医院で診てもらう必要があります。
今回は、虫歯と頭痛の関係についてまとめました。

虫歯が原因で頭痛になる?

初期や中程度の虫歯が直接的な原因となって、頭痛を引き起こすことはそうそうありません。虫歯が重症化して起こった別の疾患が頭痛として表れたり、虫歯治療をきっかけに何らかの不具合が生じて、結果的に頭痛を起こしたりすることはあります。
次の項で、それぞれについて説明していきます。

虫歯が発展して頭痛を起こす3つのパターン

虫歯は細菌による感染症です。放置することで歯だけでなく、ごくまれに顔面や頭部、全身にまで感染が広がることがあります。
重症化した虫歯が原因となって頭痛を引き起こすケースとして次の3つが考えられます。上顎洞炎については珍しい症状ではありませんが、脳にまで感染が広がる髄膜炎や脳膿瘍については、非常にまれなケースであることを前提としておきます。

上顎洞炎

上顎の奥歯の虫歯を放置すると、虫歯菌の感染が歯根のさらに先、鼻の横にある上顎洞粘膜にまで広がり、上顎洞炎を起こすことがあります。上顎洞炎は、頭痛、目の奥の痛み、鼻づまり、頬の圧迫感、発熱などを引き起こします。
上顎洞は左右にあるため、頭痛が左右どちらかにのみ起きている場合には上顎洞炎が疑われます。また運動した時に膿がたまった部分が痛むのも特徴です。

【治療】
虫歯が原因の上顎洞炎は、歯科口腔外科で治療が行われます。投薬で炎症を抑えた後、原因となった歯を抜歯してしまいます。歯の保存が可能であれば根管治療によって治療することもあります。
上顎洞内に溜まった膿は抜歯の際に空いた穴から除去していき、洗浄を繰り返すことで改善されます。穴が空いていない場合には、外科的な手術で歯肉を切開し、膿を除去する必要があります。
口内と上顎洞を貫通してしまった穴は、時間経過と共に自然と塞がりますが、大きい場合には塞ぐための縫合手術が行われることもあります。

髄膜炎

免疫力が下がっていたり、別の全身疾患を患っていたりすると、ごくまれに虫歯菌の感染が髄膜という脳を覆う膜にまで広がってしまうことがあります。上顎洞炎の感染が直接脳にまで達したり、細菌が血液を通して髄膜に達したりすることで感染します。
髄膜炎の症状として、発熱、激しい頭痛、嘔吐、項部硬直(首の後ろが固くなる症状)が見られます。仰向けに寝た状態で頭を持ち上げられた時に、顎が胸部につかず上半身が上がってしまうのであれば、項部硬直を起こしている可能性があり、髄膜炎が疑われます。

【治療】
髄膜炎は最悪の場合死に至る病です。軽度の場合は自宅療養となりますが、重度の髄膜炎と診断された場合、ただちに入院となります。原因となる細菌を突き止め、薬剤投与を中心とした治療が行われます。

脳膿瘍

虫歯菌が血液を通じて脳の内部にまで達してしまった場合、脳に膿がたまる脳膿瘍を引き起こします。髄膜炎の二次的炎症によって起こる病気でもあります。脳膿瘍の主な症状は、激しい頭痛、嘔吐、意識障害、けいれんです。

【治療】
脳膿瘍の治療は、外科的治療と薬剤投与による治療が行われます。別の疾患により免疫力が大幅に低下していない限りは完治が見込める病気です。ただし脳自体への細菌感染のため、損傷の部位によっては後遺症として言語障害や身体的な麻痺が残ることもあります。

虫歯治療をきっかけに頭痛を起こす4つのパターン

虫歯治療をきっかけに、何らかの問題が生じて頭痛を引き起こすことがあります。次の4つのパターンが考えられます。

噛み合わせの悪化

虫歯治療後の歯冠修復で行った、詰め物や被せ物の高さが合わないために、噛み合わせに異常を起こすことがあります。噛み合わせがうまく合わないと、常に筋肉が緊張した状態となり、緊張が肩や首、頭部にまで伝わり頭痛を引き起こしてしまいます。
顎の骨にも負担がかかることで顎関節症にも繋がるため、頭痛だけでなく、顎や耳の辺りの痛みが伴うこともあります。

【治療】
詰め物や被せ物を作り直したりして、噛み合わせの調整を行います。必要に応じて歯科矯正によって全体の調整を行います。もともとの骨格に大きく問題がある場合には、外科的な手術を行って顎の骨を削って調整することもあります。

抜髄後の根尖病巣

神経にまで達した虫歯の治療は再感染を起こしやすく、歯根の先に膿がたまる根尖病巣を作ってしまうことがあります。再感染してしまう原因として、感染した神経の取り残し、不十分な根の消毒、破損器具の混入などが挙げられます。初回の根の治療に何らかの不備があると、高い確率で起こる疾患です。上顎の奥歯の場合、上顎洞炎に発展することもあります。
根尖病巣ができると初めは痛みもなく気付かないことも多いですが、症状が急性化すると、歯茎の腫れや強い痛みが表れます。何もしなくてもズキズキと痛み、発熱や頭痛を伴うこともあります。

【治療】
前回の根の治療で詰めた薬剤をすべて取り除き、再度根の中を洗浄していきます。ラバーダムを使用して完全に無菌状態で治療を行ったり、レントゲンやマイクロスコープなどを駆使して細部まで取り残しがないように治療を行っていきます。
根管治療だけでは症状の改善が難しい場合には、根尖病巣を歯茎側から取り除く歯根端切除術を行います。外科的に根の先の方からアプローチしていく手術です。
歯根端切除術でも回復が見込めない場合には、抜歯となってしまいます。

抜髄後の神経痛

歯の痛みと頭痛はリンクすることがあります。まれに抜髄時の神経損傷によって、痛みを伝える神経が知覚過敏になり、脳に痛みを伝えやすい状態になることがあります。歯痛が頭部にまで広がり、頭痛を起こしてしまっている可能性があります。
繰り返し治療しても痛みが治まらないために、ストレスから頭痛が悪化してしまい痛みのスパイラルに陥ってしまうこともあります。

【治療】
神経痛の治療では、主に薬物療法と神経に麻酔をかける神経ブロックによって痛みを抑えていきます。心因性のものである可能性もあるため、心療内科と連携して治療が行われることもあります。
歯科では解決できない原因のはっきりしない歯痛や広い範囲の痛みについては、ペインクリニックへの受診をすることで症状改善が期待できます。原因を解明することで、適した診療科への紹介も行ってくれます。
詳しくは→「原因不明の歯痛を扱うペインクリニックとは」

デンタルショック

歯科治療に対して強い不安がある場合に、麻酔など治療中の痛みを引き金にショック状態を起こしてしまうことがあります。著しい血圧の低下、頭痛、めまい、吐き気、虚脱感などの症状が起きます。一過性のものなので、数分安静にしていれば回復します。

【対策】
精神的ストレスと肉体的ストレスが原因なので、信頼した歯科医師に治療をしてもらう、痛みの少ない麻酔を行う、静脈内鎮静法を併用して気持ちを和らげるなどの対策が有効です。

まとめ

虫歯は、頭痛をはじめとしたあらゆる病気のリスクファクターとなりえますが、通常の免疫力をもった人であれば、虫歯が単独で原因となることはそうそうありません。まずは虫歯以外の原因を調べた方が現実的であるといえます。
脳に関わるため、深刻な病気を起こしている可能性もあります。虫歯治療のためにまずは歯科へ、それでも頭痛が治まらない場合にはペインクリニック、頭痛外来、脳神経外科、神経内科などの選択肢があります。
虫歯治療後に頭痛などの不良を起こさないためには、根管治療を得意とする歯科医院や、精巧な補綴物を作成してくれる歯科医院で受診することをおすすめします。