歯の構造・組織について【図解】 | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2017年8月20日

歯は、表面の硬いエナメル質や、内側の少し柔らかい象牙質など、異なる複数の組織で構成されています。また歯を支える歯槽骨や歯根膜といった歯周組織もそれぞれに役割を持った大切な組織であり、その役割を知ることで、より歯科治療を深く理解することができます。
この記事では、歯の構造や、歯を支える歯周組織の構造について紹介します。

歯の構造

歯は上部の歯冠と下部の歯根で構成されており、臨床的な定義と解剖学的な定義、2つの観点で区別することができます。 臨床的な観点では、口内に露出している部分を歯冠、歯肉に埋まっている部分を歯根と定義されています。
解剖学的な観点では、エナメル質で覆われているのが歯冠、セメント質で覆われているのが歯根と定義されています。
解剖的な歯冠と歯根の境目は、歯の萠出状況に関係なく一定ですが、臨床的な歯冠と歯根の境目は、加齢とともに歯根側に動いていきます。

歯冠

歯冠部分は、厚いエナメル質で覆われています。その内側に象牙質、最も内部には歯髄が詰まっています。
エナメル質の厚みのため、健康な歯は触ってもほとんど感覚がありません。虫歯や摩耗などでエナメル質が薄くなると、知覚過敏を起こし、冷たいものや刺激物がしみるようになります。

歯根

歯根部分は、表面がセメント質、その内側に象牙質、歯髄で構成されています。セメント質は骨と同じくらいの硬さがありますが、エナメル質よりも薄いため、露出すると知覚過敏を起こします。
歯根の数は歯の種類によって異なります。基本的には切歯・犬歯・小臼歯は1本、下顎の臼歯は2本、上顎の臼歯は3本となります。しかし、人によっては臼歯の根の数が多かったり少なかったりすることが稀にあります。

歯の組織

歯を構成する組織は、歯冠表面のエナメル質や歯根表面のセメント質、その内側の象牙質、歯髄で構成されています。それぞれについて下記で説明します。

エナメル質(歯冠部)

エナメル質は歯冠部の表面を覆っている組織です。人間の部位でもっとも硬く、90%以上の無機質と少しの水分や有機質で構成されています。歯の部位によって厚みや硬さが異なり、噛み合わせの部分が最も厚くて硬い構造になっています。その代わり割れやすく、内部の象牙質があってはじめてものが噛めるほどの強度になります。一番薄いのは歯頸部(歯冠と歯根の境界部分)です。
エナメル質は歯の組織の中で最も虫歯になりにくく、虫歯菌によって溶けかけたとしても(脱灰)、唾液と反応する再石灰化によってある程度修復することができます。しかし歯磨きをしなかったり、間食を多く取ってしまったりすると、再石灰化が追いつかずに穴が空き、虫歯になってしまいます。特に歯頸部はエナメル質が薄いため、虫歯になりやすい箇所でもあります。
エナメル質の色は半透明であり、歯の色は内部の象牙質の色が反映されています。オフィスホワイトニングでは、エナメル質を漂白するだけでなく、エナメル質の表面をあえてすりガラスのように濁らせて象牙質を見えにくくすることで、歯を白く見せています。しかし時間経過とともに、再石灰化などで表面の構造が元に戻ってしまうため、白さを保つためには再度ホワイトニングが必要です。

セメント質(歯根部)

セメント質は歯根部の表面を覆う組織です。歯根膜を挟んで歯を支える骨(歯槽骨)に固定する役割を持っています。60%の無機質と25%の有機質、15%の水分で構成されており、骨と同じくらいの硬さがあります。加齢と共に徐々に厚さを増していきます。エナメル質に比べると薄くて柔らかいため、歯茎下がりなどで露出すると、虫歯がすぐに進行してしまいます。
歯根部の象牙質の全体を覆う無細胞セメント質と、根尖(根の先)部分1/3程度をさらに覆う有細胞セメント質に分けられます。無細胞セメント質の方が歯根膜に強く付着する性質を持ち、一方で有細胞セメント質は破壊されても再生できる性質を持っています。
歯周組織再生治療のエムドゲイン法は無細胞セメント質の再生、GTR法は有細胞セメント質の再生を促す治療法です。歯と歯肉の付着をより強固にしたい場合には、エムドゲイン法が有効であるといえます。

象牙質

象牙質はエナメル質、セメント質に覆われた歯の中層に位置する組織です。歯の大部分を構成する組織であり、70%の無機質と20%の有機質、10%の水分でできています。骨やセメント質よりもやや固く、エナメル質よりは柔らかい性質を持っています。虫歯の進行が早く、神経に刺激を伝達する象牙細管という細い管が通っているために、露出するとしみたり痛みを感じたりします。
個人差はありますが黄味がかった白色をしており、エナメル質の摩耗や加齢によってだんだん色が濃くなっていきます。

歯髄

歯髄は、歯の最下層・内部に存在する組織であり、多数の神経や血管によって構成されています。歯に必要な栄養を伝達し、歯への刺激に対する防御反応を司る重要な組織です。虫歯が進行して歯髄にまで細菌が感染すると、感染歯髄を取り除く根管治療が必要となります。歯髄がなくなった歯は失活歯と呼ばれ、強度が下がったり黒く変色したりするといった問題が発生します。

歯周組織

歯を支える組織を歯周組織といい、歯肉、歯根膜、歯槽骨で構成されています。

歯肉

歯肉は歯根部分を覆う組織で、大部分を占める付着歯肉、歯間の乳頭歯肉、歯頸部を囲む遊離歯肉に分類することができます。 付着歯肉は歯根部分のセメント質や歯槽骨に付着している不動の部分です。歯にピッタリとくっつくことで、内部への細菌の侵入を防いだり、ものを噛んだ時の衝撃を和らげたりする役割があります。
遊離歯肉は歯冠部分のエナメル質を囲う部分で、歯と歯の間に隙間(歯肉溝)を発生させています。歯肉溝が3mm以上になると「歯周ポケット」と呼ばれるようになり、歯周病の進行に悪影響を与えます。
健康な歯肉はピンク色ですが、炎症を起こすと赤く腫れたり、できものができると白く変色したりします。

歯根膜

歯根膜は、歯根部分の表面のセメント質と歯槽骨に挟まれた薄い組織であり、噛んだ時のクッションの役割を担う大切な組織です。
また歯根膜には常に厚さを保とうとする性質があり、この性質を利用して矯正治療が行われています。歯を動かした時にギュッと潰された歯根膜は、元に戻ろうと骨吸収を促します。逆に引っ張られた歯根膜は、新たに骨を再生することで元の状態に戻ろうとします。このように、歯根膜の働きと骨の代謝によって、少しずつ歯を動かしていくのです。

歯槽骨

歯槽骨は、顎骨のうち歯根が埋まっている部分をいいます。その名の通り、歯を入れる容器(槽)という意味があり、歯を支える働きがあります。また歯根膜とともに、物を噛んだ時の圧力を受け止める重要な組織です。歯周病などで歯槽骨が破壊されてしまうと、歯を支えることができなくなり抜け落ちてしまいます。
身体の骨は絶えず吸収と形成が繰り返されていますが、歯槽骨の代謝は特に活発であることが特徴です。適度な運動(咀嚼)によって、健康な状態を保つことができます。柔らかいものばかり食べていると、骨の退化が進んでしまいますので、良く噛んで食べることが大切です。

永久歯と乳歯との構造の違い

乳歯は永久歯と比べると大きさも小さく、歯のエナメル質や象牙質が薄い構造をしています。そのため虫歯の進行が早く、色味も白いことに特徴があります。特に表面のエナメル質は水分量が多く、部位による厚さの違いも無いため、硬度が劣り欠けやすい傾向にあります。
乳歯は悪い影響を受けやすいため、普段の歯磨きをしっかり行う必要があります。その半面、良い影響も受けやすいため、フッ素塗布などによる歯質強化を積極的に行うことも大切です。