インレーとクラウンの違いとは? | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2017年9月2日

削った歯を修復する方法として、インレー(詰め物)とクラウン(被せ物)という2つの方法があります。どちらの方法が用いられるかは、残っている歯質の量や形状、噛み癖などを見て、歯科医師が総合的に判断します。
インレーとクラウンの違いについて、それぞれのメリットとデメリットからまとめてみました。

インレーとは

インレーとは、虫歯などで削った歯を元の形に修復するための、人工の詰め物のことをいいます。

インレーの素材

詰め物として使用される素材は複数あり、保険適用内のものであればレジンとメタル、保険外であればレジンにセラミックを混ぜたハイブリッドセラミック、オールセラミック、ジルコニア、ゴールドなどがあります。

インレー装着の流れ

インレーは、都度型を取ってオーダーメイドで作られます。初日は歯の型を取り、数日間は仮の詰め物をして過ごします。その後完成したインレーを装着して治療が完了します。

メリットとデメリット

インレーのメリットは、何より削る量が少なくて済む点です。削った部分だけを埋める補綴物なので、健康な歯を多く残すことができます。
またインレー自体が小さいものなので、作成に必要な材料費もクラウンと比較すると安価で済みます。保険外の素材でも、大体5~6万円以内で可能です。
インレーのデメリットは、強度面と治療の予後にあります。インレーは基本的に歯の咬合面の穴を埋めるものなので、歯と素材の境界が表面に露出します。境界面で力を受け止めると、歯と素材の硬度の差によりどちらか一方に負担がかかり、割れてしまうことがあります。インレーの厚みも場所によって異なってくるため、強度を保つことが難しいのです。
またインレーの不適合や破折や劣化により、歯とインレーにわずかでも隙間ができると、二次カリエスのリスクが高まります。 さらにレジンなど変色しやすい素材を使用すると、経年により歯との色の差が顕著になり、審美的な問題も発生してきます。

インレーのメリット インレーのデメリット
・削る量が少ない
・比較的安価
・強度がない
・劣化、変色する
・二次カリエスのリスクが高い

インレーが用いられるケース

インレーは、基本的には前から4番目以降の臼歯や大臼歯と呼ばれる歯に適応されます。咬合面のない3番以前の前歯には、レジン充填などのダイレクトボンディング法が用いられることが一般的です。ダイレクトボンディング法については下記を御覧ください。

ダイレクトボンディング法
前歯や虫歯の穴が小さい場合には、インレーではなく、ペースト状の素材を直接歯に詰めてしまうダイレクトボンディング法が用いられます。削る量は最小限に済ますことができ、即日充填が可能です。
ダイレクトボンディング法では、レジンやハイブリッドセラミックが用いられます。レジンを使ったダイレクトボンディング法は保険適用となり、コンポジットレジン充填(CR充填)と呼ばれています。ハイブリッドセラミックは高価なセラミックが混じっているため、保険外での診療となってしまいます。ダイレクトボンディング法というと、一般的にハイブリッドセラミックを用いた方法を指していることが多いようです。

またインレーが適応できるのは、ある程度の歯質が残った歯です。神経に達していない初期から中期の虫歯の修復に適しています。ただし歯の側面に出来た虫歯にはインレーではなく、アンレーと呼ばれる詰め物が使用されます。

インレーが用いられるケース
・4番以降の小臼歯や大臼歯
・神経に達していない虫歯

クラウンとは

クラウンは、歯を人工の素材ですっぽりと覆って修復する方法です。いわゆる被せ物です。また、神経のない歯にはコアという土台を根に差し込むことから、差し歯ともよばれます。

クラウンの素材

クラウンはインレーのように1種類の素材だけを使用して作られるものもあれば、強度を高めるために2種類の素材を組み合わせて作られるものもあります。
例えば保険適用であれば、金属の土台の前面だけにレジンを被せた硬質レジン前装冠があります。レジンだけを使用した硬質レジンジャケット冠もありますが、強度に問題があるため、使用されるケースは限られてきます。すべて金属でできた銀歯は耐久性がありますが、審美性に欠けます。
レジンにセラミックを混ぜて強度を上げたハイブリッドセラミッククラウンは、小臼歯に使用したときのみ保険適用が認められています。さらに金属アレルギーの場合には、6番以降の大臼歯にも保険適用が認められます。ただしCAD/CAMという装置を使用して制作されたものに限られます。
詳しくはこちらの記事を御覧ください。→「金属アレルギーの方必見!保険で白い歯にしよう【平成28年度診療報酬改定】」
保険が適用されない素材には、オールセラミッククラウン、金属の土台の前面にセラミックを被せたメタルボンド、ジルコニアクラウン、ゴールドクラウンなどがあります。

クラウン装着の流れ

まずは歯の形を台形に整えて、その上から型取りをします。後日型を元に製作したクラウンを装着していきます。神経の治療後など、残っている歯質の量が少ない場合には、コアという人工の土台を根に装着して、その上からクラウンを被せていきます

メリットとデメリット

クラウンのメリットは、ある程度の強度が期待できることです。あらかじめ歯の形を整えて、その上から人工歯ですっぽりと覆うため、力が分散されて歯やクラウンが欠けてしまうことも少なくなります。
また歯と素材の境界面が滑らかなため、インレーに比べると接している面積が少なくなり、二次カリエスのリスクも少なくなります。ただし全くないというわけではなく、クラウンの出来によっては隙間から虫歯になってしまうこともあります。
デメリットは、歯を削る量です。クラウンを装着するためには、歯を全体的に削って小さくする必要があります。中にはクラウンと装着するために、抜髄をしなくてはならないケースもあります。セラミックなどある程度クラウンの厚さが必要な素材を用いる場合には、歯を大きく削らなければならないため、痛みを感じなくするために神経を抜いてしまうことがあるのです。
もう一点のデメリットは、経済的な面です。保険外の素材となると多くが10万円を超える価格になってしまいます。審美性を求めようと思うとそれなりの出費を覚悟しなくてはなりません。

クラウンのメリット クラウンのデメリット
・強度がある
・予後が良い
・削る量が多い
・高価

クラウンが用いられるケース

神経に達した虫歯など、歯質をある程度以上削る必要があるような場合には、クラウンが適応されます。また、出っ歯の治療など、審美的に問題のある前歯の治療にもクラウンが用いられることがあります。クラウンは前歯にも奥歯にも適応可能な修復法です。

クラウンが用いられるケース
・神経に達している大きい虫歯(根管治療)
・全ての歯に適応可能
・審美的歯科

インレーとクラウンの違いまとめ

歯に詰めて補修するインレーは削る量が少ないのに対して、歯に被せて補修するクラウンは多く削る必要があります。その分インレーは耐久性に難があり、外れてしまったり割れてしまったりすることも珍しくありません。二次カリエスのリスクも大きくなります。一方で、クラウンは厚みもあるためある程度以上の強度が期待できます。
費用面では、大きさの関係もありインレーよりもクラウンの方が高価になります。まとめると下記の表のようになります。

インレー クラウン
削る量
少ない
×
多い
強度 ×
低い

高い
二次カリエスリスク ×
高い

比較的低い
費用
比較的安価
×
高価

ただし、歯科医師や歯科技工士の技術によっては、強度や二次カリエスのリスクは大きく変わってきます。インレーやクラウンを入れる際には、良い歯科技工士を抱える歯科医院でお願いしましょう。
とはいえ自然の歯に勝るものはありません。自分の歯を長く使っていけるように、日常のケアと定期的な歯科医院への通院を怠らないようにしましょう。