歯の土台の種類や素材ごとのメリット・デメリットを紹介します | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2017年9月9日

大きく穴の空いた歯にクラウンを装着するためには、事前にコアやポストとよばれる土台を形成する必要があります。クラウンだけに注目されがちですが、実はこの土台も、クラウンの寿命を左右する大切な役割を果たしているのです。
歯を支える土台とはどのようなものなのか、また土台に使われる素材ごとのメリットやデメリットについて紹介します。

歯の土台とは

歯を修復する方法にクラウン(被せ物)がありますが、根管治療によって神経を取り除いてしまった場合、歯に大きな穴が空いてしまいますので、そのままではクラウンを取り付けることができません。
そこで登場するのが、コアやポストとよばれる土台です。コアは歯冠部分の土台のことをいい、ポストは歯根に入れられる棒状の支柱のことをいいます。このコアやポストを組み合わせて、失った歯質に代わってクラウンを支えるための土台を作っていきます。
鋳造コアとレジンコアの2つに大別でき、歯の欠損具合や構造によって適切な方法が使い分けられています。

鋳造コア

鋳造コアは、コアとポストが一体となった金属の土台です。歯冠部分がほとんど残っていない場合に選択されることの多い方法です。
はじめに印象を取り、後日装着していく間接法が用いられます。診療回数が多くなってしまうことに加え、土台作成までの間に歯が細菌感染してしまうリスクもあります。
印象の正確性や歯科技工士の技量によって、歯への適合の良し悪しが決まります。

レジンコア

レジンコアは、レジンを使用した土台です。歯冠部分がある程度残っている場合に用いられます。
型取りをして作成する間接法だけでなく、直接口内にレジンを盛り付けていく直接法が多く用いられます。直接法は即日充填するため、間接法に比べると感染リスクが低くなりますが、レジンを扱う歯科医師の技量によって治療の予後が大きく左右されます。 レジンを盛り付けるだけのタイプと、レジンとポストを組み合わせて作成するタイプがあります。

歯の土台の種類

歯の土台となるコアやポストに使われる素材は複数あり、大きく分けて保険内の素材と保険外の素材に分けることができます。クラウンが保険内の素材の場合には、基本的にコアも保険内の素材が使用されることになります。どちらかが保険外の素材の場合には、混合診療となってしまうのを防ぐため、どちらも保険外の費用となってしまいます。
保険適用内で使用できるのは、金属製のメタルコアと、プラスチック製のレジンコア、2016年1月から新しく保険適用となったファイバーコアがあります。保険外の素材には、ゴールドコアがあります。
歯を補強するコアやポストの素材に求められるのは、天然の歯に近い強度と弾性です。硬すぎても歯の破折を招いてしまいますし、弾性がなければ内部で割れてしまうことも考えられます。
それぞれの素材の特性について下記で説明します。

メタルコア(保険内の鋳造コア)

メタルコアはコアとポストが一体となった金属の鋳造コアです。メタルコアは強度があるため、負担の大きい奥歯にも使用できます。しかし天然の歯よりも硬くて弾性がないため、歯根破折を起こしてしまう可能性があります。
素材に透過性がないため、前歯に使用した際には、光に透けたときに不自然に見えてしまうこともあります。また、金属の溶け出しにより周辺の歯や歯茎が黒っぽく変色してしまう恐れもあります。金属アレルギーの人には適応できません。

レジンコア(保険内のレジンコア)

保険で用いられるレジンコアは、金属のポストにプラスチック素材のコアを組み合わせた土台です。残っている歯質が比較的多い場合には、ポストを用いずにコア部分だけを被せることもあります。
レジンコア自体は白いため、白いクラウンを被せたときにも自然な見た目になります。ただし中心部分が金属のポストで補強してある場合には、透かしたときにやや影がかかってしまうこともあります。
メタルコアほど硬すぎないために、歯根破折のリスクが少なくなりますが、レジン部分の強度が低いため、力のかかる奥歯には向いていません。
レジンコアでは、レジンを直接口内に充填して即日コアを作成する、直接法が多く用いられます。

ファイバーコア(保険内のレジンコア)

ファイバーコアとは、グラスファイバーというガラス繊維のポストにレジンコアを組み合わせた土台です。ファイバーコアは弾性に優れているため、歯の破折を招きにくいという特徴があります。また見た目も白く、審美性に優れています。非金属ということもあり、金属の溶け出しによる変色やアレルギーの心配もありません。
優れた素材なので多くの歯科医院で使用されていますが、保険適用となっているのは一部の国内のメーカーに限られています。海外メーカーのファイバーコアは変わらず保険適用外です。すべての医院で保険適用となるわけではない点で注意が必要です。

ゴールドコア(保険外の金属のコア)

ゴールドコアは金合金や白金加金を使用した鋳造コアです。金は生体親和性が高く、歯茎の変色やアレルギー反応が起きにくい素材です。また鋳造性が高く、精密な形成が可能なため、歯根破折のリスクも低くなります。
ただし白いクラウンを被せた時に色が透けてしまうこともあるため、審美性には劣ります。また保険外のため、費用が高くなってしまいます。

歯根破折の原因

歯根破折は、クラウンの土台形成後に起きてしまうトラブルの一つです。素材によって歯根破折のしやすさはありますが、その他にも次のような理由で起きてしまいます。

根管治療の成否

いくら良い素材を使用して土台やクラウンを形成しても、そもそもの根管治療において不備があっては意味がありません。 根管治療によって歯根破折が起こる原因として、根管治療中の歯髄除去の過程で根管内の壁を傷つけてしまった、充填中の加熱・加圧操作のミスによって根管にヒビを作ってしまった、などということが考えられます。

残存歯質の状態

破折の起こりやすさは、残っている歯の量や形にも関係してきます。歯冠部分の残存歯質(フェルール)がある程度ないと、無理にコアを作成しても歯根破折や歯茎の吸収が起こってしまう可能性が高くなります。フェルール確保のために、歯を引っ張り出したり、歯茎の高さを下げて歯を露出させたりしてから、土台を形成することもあります。

土台の精密さ

間接法で鋳造によって作られたコアにしろ、直接法でレジンを盛って作成するコアにしろ、精密な形成ができていなければ素材に関係なく歯根破折は起こってしまいます。
素材にこだわるよりも、精密な土台やクラウンを作成できる技術のある歯科医院で治療を受けましょう。

悪い噛み合わせや歯ぎしり癖

クラウンを入れた歯に負担のかかる噛み合わせや、強い歯ぎしり癖によっても歯根破折が起こりやすくなります。歯ぎしりに対しては自己コントロールやマウスピースによる治療を行っていきます。悪い噛み合わせに対しては、必要に応じて矯正治療や外科的な手術を行っていきます。

まとめ

クラウンの土台に使用される素材のメリットとデメリットは次のようにまとめることができます。

保険適用 保険適用外
メタルコア レジンコア ファイバーコア ゴールドコア
強度 ×
歯根破折のリスク ×
審美性 × ×

素材によって優劣がありますが、歯科医師の扱いの得意不得意や歯の状態によっては、希望とは異なる素材が選択されることもあります。しかし本当に精密に作成されたものであれば、素材の優劣を超えて長持ちすることもあります。
また根管治療の成否や、どの土台を入れるべきかの判断、本人の癖や噛み合わせの状態も、クラウンの寿命には大きく関わってきます。クラウンや土台の作成は、症例が多く、信頼のおける歯科医院で行いましょう。