顎がない「アデノイド顔貌」の治療法!歯科矯正で治る? | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2017年9月10日

顎がひっこんだ顔つきを指すアデノイド顔貌をご存知ですか?アデノイド顔貌は、イケメンや美女の芸能人にもいることから、現代人には珍しくない顔つきではありますが、一方で「顎がない」「締まりのない顔」などと言われることもあり、コンプレックスになっている人も多いのではないでしょうか。
今回はそんなアデノイド顔貌の原因や、治療法について紹介していきます。大人のアデノイド顔貌は治るのでしょうか?

アデノイド顔貌の原因

アデノイド顔貌とは、下顎が後退して常に口を開けているような顔つきのことをいいます。アデノイド顔貌は、アデノイドという鼻の奥にあるリンパ組織の腫れにより、鼻呼吸が難しくなり、口呼吸が慢性化することによって起こります。
アデノイドの腫れは生理的な免疫反応であり、幼少時には珍しくない症状です。しかし口呼吸が癖として慢性化してしまうと、口を閉じる筋肉や顎の発達にも影響を与えてしまい、顔面の骨格変形を引き起こします。
アデノイドの腫れが原因ではなく、別の理由から口呼吸が慢性化しても、アデノイド顔貌のような顔つきになってしまいます。

アデノイド顔貌の弊害

アデノイド顔貌になると、次のような弊害が生じます。すべて口呼吸による弊害であるともいえます。

コンプレックスになる可能性がある

アデノイド顔貌の特徴として挙げられるのは、顎がない、下頬が膨れる、二重顎、出っ歯など、どれもマイナスなイメージのものばかりです。見た目がコンプレックスになってしまう可能性もあります。

いびきをかく

睡眠時にも口呼吸になっているため、いびきをかきやすくなってしまいます。寝ている時に無呼吸状態を繰り返す、睡眠時無呼吸症候群を引き起こし、慢性的な倦怠感や記憶力の低下などの弊害が生じることもあります。幼少時の睡眠時無呼吸症は、脳の発達にも影響を及ぼします。
さらに、高血圧、脳卒中、心筋梗塞などの循環器病にも繋がることもあります。

滑舌が悪くなる

口呼吸によって舌や口唇の筋肉発達も阻害され、滑舌が悪くなる恐れもあります。円滑にコミュニケーションが取れないために、精神的なストレスも抱えてしまいます。

口内環境が悪化しやすい

口呼吸は口内環境の悪化を招きます。口呼吸によって口内が乾燥すると、細菌の量が増えて口臭を発したり、虫歯や歯周病になりやすくなってしまいます。口内炎などのできものができやすかったり、治りにくくなってしまったりもします。

歯並びが悪くなる

口呼吸の弊害は、歯並びにまで及びます。下顎の発達不全によって、歯の生えてくるスペースが小さくなり凸凹した叢生という歯並びになってしまったり、相対的に上顎が前に突出しているように見えることで、出っ歯になってしまったりすることもあります。
また舌を前に押し出す癖によって、上下の前歯が噛み合わない開咬という歯並びになり、発音障害や食事がしにくいといった問題も起こります。
悪い歯並びは、虫歯や歯周病のリスクを高めたり、歯に必要以上の負担をかけてしまいます。

猫背になりやすい

アデノイド顔貌の人は、猫背になりやすいという特徴もあります。呼吸がしにくいために、頭を突き出すような形で背骨が曲がってしまうのです。猫背になることでさらに呼吸が浅くなり、代謝機能の低下や自律神経の乱れを引き起こします。疲れやすいだけでなく精神的にもストレスを抱えやすい状態になってしまいます。

中耳炎を起こしやすい

アデノイドは耳と鼻を繋ぐ耳管の開口部に位置するため、腫れると耳管が塞がれて滲出性中耳炎を引き起こします。原因であるアデノイドを除去しない限り、何度でもかかってしまいますので、多くの場合でアデノイド切除術が行われます。

アデノイド顔貌の治療法

まだ成長過程にある子どもの場合は、原因であるアデノイドを切除し、口呼吸を治していくことで、アデノイド顔貌も改善できる見込みがあります。しかし大人の場合はすでに骨格も定まってしまっているので、そう簡単に治すことはできません。次のような方法で治療をしていくことになります。人によって治療法は変わってきますので、下記の方法で必ずしも改善するわけではありません。

アデノイド切除

通常大人になるにつれてアデノイドは小さくなっていきますが、まれに成人してからも持続してアデノイド肥大が起こるケースもあります。アデノイド増殖症であると耳鼻科などで診断された場合には、アデノイドの切除術が必要となります。
術後は楽に鼻呼吸ができるようになりますが、癖になってしまっている口呼吸の改善は意識して行わないと難しいかもしれません。また、定まってしまった骨格については、別途歯列矯正や外科矯正が必要となります。
アデノイド増殖症と関連した疾患として、上咽頭ガンがあります。日本ではまれな疾患ですが、アデノイド増殖症と症状が似ていますので注意が必要です。

歯列矯正

子どもの場合は、床矯正で顎骨の成長をサポートすることで、アデノイド顔貌となってしまうのを防ぐことができます。 しかし大人になってからの歯列矯正では、軽度の症状でない限り、単独での改善は難しいでしょう。
例えば、単に歯の生え方に問題があって上下のバランスが崩れているのであれば、歯列矯正のみの治療で改善が見込めます。しかし、顎骨の発達不全が原因でアデノイド顔貌になっている場合には、歯列矯正だけでなく、口腔外科での外科的な手術が必要になってきます。
発音障害やうまく噛めないなど口腔機能に問題が発生している場合には、顎変形症という疾患として、保険での歯列矯正や外科矯正が可能となります。ただし対象となるのは、顎口腔機能診断施設に認定された一部の歯科医院に限られます。

オトガイ形成術

オトガイという下顎の先端部分を、前方に移動させることで下顎を形成していく手術です。下顎・上顎の移動術などの外科的矯正だけでは改善できない場合に併用して行われます。又は歯列に問題がない場合には単独で行われることもあります。
顎変形症と診断され、外科矯正の一環として手術をする場合には、保険適用となります。

口腔癖の矯正

アデノイド顔貌となってしまった原因である、口呼吸や舌癖などの口腔癖の矯正も合わせて行う必要があります。口を常に開けていると口唇周りの筋肉が発達せず、ダラっとした締まりのない顔つきになってしまいます。口や舌の筋肉を鍛えていくことで、徐々に改善していきます。
まずは正しい舌の位置を意識しましょう。正しい舌の位置は、舌先が上顎の歯の付け根についていて、舌全体が上顎にくっついている状態です。下にダランと下がっているのが通常状態の場合には低位舌が疑われます。
低位舌については「舌の位置が口臭の原因に!正しい舌の位置はどこ?」を御覧ください。
普段から意識して正しい位置に舌を置くだけでも鍛えられます。
また舌のトレーニングとして、舌をよく口の中で動かしたり、鼻下に向かってベーっと何回か突き出しだす動きを繰り返しましょう。舌全体を上顎にくっつけたまま口を開き、「ポンッ」と音を立てながら離すポッピングも有効です。
口全体の筋肉トレーニングとして有名なのは、「あいうべ体操」です。舌の筋肉にも効果があり、口呼吸が改善されます。

あいうべ体操
1.「あ」の口の形で口を大きく開けます。
2.「い」の口の形で口を横に広げます。
3.「う」の口の形で口を前に突き出します。
4.「べ」の口の形で舌をすべて出します。

1~4を10回繰り返します。これを一日3回行うと効果的です。声は出しても出さなくてもどちらでも問題ありません。 これらのトレーニングは、歯科医院で口腔筋機能療法として指導を受けることができます。

まとめ

アデノイド顔貌の治療は、原因(アデノイド肥大)の除去、歪んだ骨格矯正、問題のある口腔癖の改善の三本柱で進めていく必要があります。
見た目だけを解決するような外科的な整形を行っても根本的な解決にはならず、また新たな問題を起こしてしまう可能性もあります。また、アデノイドを除去したからといって骨格まで変わるわけでもありません。
長年の積み重ねで形成された大人のアデノイド顔貌は、そう簡単には治りません。大人になってから苦労しないためにも、子どものうちのアデノイド除去や小児矯正が大切となってきます。