歯の根元が茶色く欠ける「くさび状欠損」とは | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2017年9月22日

歯の根元がV字にえぐれている状態を、くさび状欠損といいます。歯の根元がえぐれるなんて、あまり考えたくない症状ですが、実は誰にでも起こりうるものなのです。歯の根元が凸凹していたり、知覚過敏を起こしていたりしていませんか?放っておくとくさび状欠損を作ってしまうかもしれません。
くさび状欠損が生じるとどのような症状が起きるのか、できてしまう原因や治療法についてまとめてみました。

くさび状欠損とは

くさび状欠損とは、歯の表面にできるくさび状、つまりV字の形をした欠損のことをいいます。好発部位は犬歯や小臼歯の根元部分です。様々な原因によって、歯と歯茎の境目が徐々にえぐれるように削れていってしまう症状です。くさび状欠損は次のような症状を引き起こします。

知覚過敏が起きる

初期症状としては、エナメル質が削れて神経が近くなることにより、知覚過敏を起こします。冷たいものや温かいものを口に含んだときに、しみたり痛みが出たりします。我慢できない程の痛みが出た場合、神経を取る処置が必要となります。
逆に時間経過により第二象牙質が形成されて、知覚過敏の症状がなくなることもあります。症状がなくなると、治ったと思い込み、悪化させてしまうケースもあります。

茶色く変色する

エナメル質の層がなくなり象牙質が露出すると、黄色く変色したようにみえます。凸凹としているため着色もしやすく、虫歯との区別がつきにくいこともあります。

虫歯になりやすい

くさび状欠損ができている歯は汚れも溜まりやすく、虫歯になりやすくなってしまいます。また、表面の固いエナメル質がなくなってしまったことにより歯質が弱くなっているため、虫歯が進行しやすい状態にもあります。
神経の位置も近いため、放置すると虫歯が歯髄に達し、神経を取る処置が必要になることもあります。

歯の動揺・破折

欠損が大きくなると、歯を支えられなくなり歯の動揺が起きます。更に症状が進むと、歯が破折してしまったり、抜け落ちてしまったりすることもあります。ここまでくると見た目にも大きく欠損していることがわかります。

くさび状欠損の原因

くさび状欠損は虫歯以外の原因による歯の欠損です。以前は、歯磨き時のブラッシング圧による摩耗が原因であると考えられてきましたが、現在では、過剰な咬合力による欠損(アブフラクションといいます)であるという見方が強くなってきています。
アブフラクションによって歯の根元の部分のエナメル質が崩壊し、そこへブラッシングなど別の刺激も加わることによって、柔らかい象牙質がどんどん削れてしまうのです。
歯科医師によって見解が別れますが、くさび状欠損の原因として次のようなものが挙げられます。

噛み合わせ

噛み合わせが悪いと、特定の歯に過剰な咬合力がかかり、歯に亀裂が入ってしまうことがあります。亀裂から少しずつ欠損が生じ、やがてくさび状欠損を作ってしまいます。

歯ぎしり癖

歯ぎしりによって歯が横に揺れると、歯頸部(歯の根元)に負担が集中し、構造上薄くなっているエナメル質が細かく破壊されていってしまいます。さらに弱くなったところに長期的に歯ぎしりのストレスがかかることにより、歯が欠けていってしまいます。隣接した数本の歯や、全周に及ぶくさび状欠損がみられることもあります。
悪い噛み合わせや歯ぎしり癖など、強すぎる咬合力が原因のくさび状欠損は、欠損の角度が鋭利であるという特徴があります。

オーバーブラッシング

異常な咬合力による負担に、さらにオーバーブラッシングという機械的な刺激が加わることで、さらにくさび状欠損の症状は進行してしまいます。
エナメル質が破壊され、ただでさえ弱くなってしまった歯質に強くブラッシングをすれば、歯は摩耗してしまいます。合わせて歯茎の後退も起きますので、象牙質が露出し、ますます摩耗が進みます。
ヤスリで擦ったように削れるため、オーバーブラッシングによる欠損は、噛み合わせや歯ぎしり癖による欠損と比べると、なめらかな削られ方をしているのが特徴です。

歯周病

歯周病による歯肉の後退も、くさび状欠損の一因となります。歯肉が後退すると、柔らかい象牙質が露出するため、刺激に弱くなります。歯周病はプラークの除去が大切なので、より一層ブラッシングに力が入ってしまった結果、摩耗が進んでしまうということもありえます。

くさび状欠損の治療法

くさび状欠損の治療は、審美的な回復だけでなく、欠損ができた原因の治療が必要です。見た目だけをきれいにしても、根本から改善しないとまた同じことが起きてしまうからです。
根本的な治療として、噛み合わせの調整、歯ぎしりの改善、歯周病治療、歯磨き指導が挙げられます。合わせて詰め物や被せ物によって審美的な回復が行われます。

噛み合わせの調整

くさび状欠損が見られる歯の噛み合わせの強さを調べます。異常がみつかれば、全体の歯で噛み合うように噛み合わせを調整していきます。マウスピースを使ったスプリント治療や、補綴物を使用しての高さの調整をしていきます。
また歯列全体に歪みがあれば、歯列矯正によって治療していきます。

歯ぎしりの改善

歯ぎしりの治療は、意識的に歯が噛み合わないようにコントロールしたり、夜間などの無意識の歯ぎしりを防ぐためにマウスピースの着用をしたりすることで改善していきます。
また心的ストレスが原因になっている場合には、薬物療法を併用するなど心療内科と連携して症状を改善していきます。

歯周病の治療

歯周病の症状があるようであれば、合わせて治療していきます。自宅での口腔ケアやスケーリングやスケーリング・ルートプレーニングという歯科医院での歯の清掃をすることで、歯茎の炎症を治療していきます。炎症が治まり腫れが引くことで、歯茎が後退することがありますが、歯周病が改善すればそれ以上後退することはありません。

歯磨き指導

歯や歯茎を傷つけないように、歯科医院で正しいブラッシングを学ぶことも大切です。歯磨きが上達することで虫歯や歯周病になるリスクも減らすことができます。
研磨剤入りの歯磨き剤を使用している場合には、使用を控えましょう。歯ブラシの毛の硬さはやわらかめのものを選ぶと良いでしょう。

詰め物をする

欠損部位に知覚過敏が出ている場合には、レジン充填や詰め物をして修復していきます。素材の変色や劣化による二次カリエスのリスクもあるため、痛みもなく欠損が小さい場合には、あえて手を加えずに経過をみる場合もあります。

被せ物をする

欠損が大きい場合には、詰め物ではなく被せ物によって修復していきます。歯の強度を保つためにも、全体を削って人工歯を取り付けていきます。
不正な噛み合わせや歯ぎしり癖が治っていないと、歯が破折してしまうこともあるので、必ず同時に治療を進めていきます。

まとめ

歯の根元がえぐれてしまうくさび状欠損は、多くの場合で歯への異常な咬合力が原因となって起きています。はじめは知覚過敏の症状が現れますが、症状がなくなると放置しがちになり、気づいたら大きく欠損してしまっていたなんてこともありえます。
歯に異常な咬合力がかかっているということを、自分で気づくのはとても難しいことです。知覚過敏や見た目の変化によっておかしいなと思った時点で歯科医院に駆け込むのがベストですが、少ない情報では正しい原因を見つけてもらえないケースもあります。くさび状欠損の状態や原因は人によって大きく異なるため、正しい判断ができるかは歯科医師の知識や経験に委ねられてしまうからです。さらに、くさび状欠損の原因については、歯科医師によって意見が別れることもあります。信頼できる歯科医院で見てもらう必要のある、難しい症状であるといえます。