歯と骨の違いとは?骨粗鬆症と歯の関係 | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2017年9月27日

見た目も似ている歯と骨、二つは同じものだと思っている人も多いのではないでしょうか。実は歯と骨は全く別物なのをご存知ですか。歯は欠けてしまえば二度と再生しませんが、骨は折れても自然に治りますよね。このように性質に明らかな違いがありますし、そもそも発生の過程からそれぞれ別の道を歩んできているのです。
歯と骨にどのような違いがあるのか、それぞれの役割や発生過程の違いから説明いたします。また、歯と骨の関係性についても合わせて見ていきましょう。

歯と骨の違い

歯と骨はカルシウムなどの無機質を中心に構成されていますが、全くの別物です。機能や発生の過程に違いがあります。

歯の機能

歯は、食べ物を咀嚼するための器官です。消化器官の入り口であり、食べ物を消化しやすくする機能があります。人間の場合には発音や見た目にも関わってくる器官です。
外側は、リン酸カルシウムの一種であるハイドロキシアパタイトを主成分とするエナメル質、象牙質、セメント質の3つの硬組織で囲まれており、人間の身体で最も硬い部分となります。
内部には、歯髄という神経や血管が通っている軟組織が存在し、脳に痛みを伝えたり、歯に栄養や酸素を供給したりしています。歯の表面は絶えず脱灰と再石灰化が繰り返されていますが、代謝機能はなく、虫歯などで欠損しても修復することができません。 また、動物によっては咀嚼機能だけではなく、獲物を引っ掛けたり、敵を攻撃したり、穴をほったりなど、生態に合わせた形に進化しています。リスやネズミのように一生歯が伸び続ける動物や、何度も歯が生え変わるサメのような動物もいます。詳しくは「サメの歯は無限に生え変わる!様々な動物の歯」を御覧ください。

骨の機能

骨は、身体を構成する組織の一つです。リン酸カルシウムなどの無機質とコラーゲンなどの有機質で構成されています。歯のエナメル質と比べると、有機物を多く含んでいますので硬さでは劣ります。
骨には、身体を支えたり動かしたりする運動機能や、脳や内臓などの弱い器官を保護する機能、血液中のカルシウムを貯蔵したり、血液の元となる細胞を作ったりする機能など、様々な役割があります。
骨は常に新陳代謝をしているため、骨折をしたときには自然に治癒します。他の体内の組織と同じように少しずつ生まれ変わっており、約3年のサイクルで全身の骨が新しくなっています。
なお骨には神経は存在せず、骨折の痛みは表面の骨膜が破壊されることによって生じます。

歯と骨の発生の違い

人間は、初期の発生段階において、外胚葉、中胚葉、内胚葉という3つの胚を形成します。歯のもとである歯胚は、このうち最も表層の外胚葉からできたものです。外胚葉は表皮系や神経系の器官へと派生する細胞群であり、歯の他にも表皮、髪の毛、爪、脳、神経などを形成します。
また歯のエナメル質の起源は、古代の魚類の鱗であると考えられています。エナメル質はもともと体表に発生していて、それが後に歯に移っていったと考えられているのです。
一方で、骨は中胚葉という中間層にある細胞群からできたものです。中胚葉は、内臓系(内胚葉)や表皮系(外胚葉)以外の部分、つまり筋肉や骨を形成します。大まかに言えば、歯は体を守る表皮組織、骨は表皮と内臓の隙間を埋める組織として発達しているのです。
このように、歯と骨は大元の発生段階から異なることがわかります。

カルシウムの摂取について

カルシウムを摂取すると骨が強くなるといいますが、歯の強さそのものにはあまり関係しません。ただし歯が作られる幼少期については、カルシウムの摂取が歯質の強化に繋がります。カルシウムだけでなく、リンやマグネシウム、エナメル質を強化するビタミンAや、象牙質を強化するビタミンC、カルシウムの吸収を助けるビタミンDなどを、バランス良く摂取することが大切です。
大人になってからの歯質の強化には、フッ素の塗布や唾液の質の改善が有効です。フッ素や唾液は、歯のエナメル質の再石灰化を促し、歯を修復したり強化したりする働きがあります。唾液の質の改善には、よく噛んで食べる、禁煙する、口呼吸の改善、規則正しい生活を心がけるなどの方法があります。

歯と骨の関係

歯と骨は別物であるということがわかりましたが、歯を支えているのは骨であり、骨が弱ると歯も抜けやすくなってしまうように、相互に影響をしあっています。ここでは歯と骨が密接に関係していることがわかる例を紹介します。

歯と骨の健康

骨が健康であるほど、歯の残存本数が多いという傾向にあります。歯を支える歯槽骨がしっかりしていれば、歯も抜けにくくなります。また、歯がないと歯槽骨はどんどんと吸収されて痩せていってしまいますので、歯と骨は相互に影響しあっているといえます。

歯周病と骨粗鬆症

骨粗鬆症は、閉経後の女性に好発する骨の病気です。エストロゲンという女性ホルモンの減少により、骨の代謝が退化してしまい、骨密度が著しく低下することで起きます。骨が弱くなることで骨折しやすくなり、寝たきりの原因となってしまいます。
歯周病は、歯茎が細菌に感染して炎症を起こす病気です。歯周病菌が徐々に歯周組織を破壊していき、やがて歯が抜けてしまいます。
歯周病と骨粗鬆症は一見無関係に見えますが、様々な研究によりその関連性が報告されています。
骨粗鬆症により全身の骨がもろくなると、歯を支える歯槽骨ももろくなるため、歯周病による骨の吸収が早まってしまいます。また、エストロゲンには炎症を抑える機能もあるため、分泌が減少することで歯周病菌による炎症が広がりやすくなります。まだ歯周病を起こしていなくても、歯周病になる可能性が高まり、そして悪化させやすいということが起きるのです。
実際に骨粗鬆症の人は、歯周病を併発している人が多く、また病状の進行が早いという傾向があります。

歯科診療と骨粗鬆症

骨粗鬆症の治療薬に、ビスホスホネート製剤という骨吸収を抑える薬があります。ビスホスホネート製剤の服用中に歯科診療を行うと、顎の骨に炎症が生じて、やがて顎骨が壊死してしまうことがあります。顎骨壊死が起こると、歯茎の骨の露出や顎の腫れや痛み、歯の動揺、下唇のしびれなどの症状が起こります。
ビスホスホネートによる副作用は、口内を不衛生にしていると起こりやすくなります。必ずしも起きるわけではありませんが、骨粗鬆症の治療中に歯科診療を受ける場合には、医師や歯科医師への情報共有を怠らないなど注意が必要です。