妊娠中は歯医者で治療を受けられる?受けても良い治療と注意するべき治療 | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2017年10月11日

妊娠中の歯科診療は、胎児への影響もあるため、受けても良い治療、注意したほうが良い治療に分けられます。歯科医師と産婦人科医の判断にもよりますが、基本的には虫歯治療も歯周病治療も、普通の人と同じように治療が可能です。
ただし外科的な治療や、薬の服用が伴う治療については、多くのケースで制限されるため、妊娠前に済ませておく必要があります。
妊娠中は口腔トラブルを抱えやすいため、歯科医院への通院が非常に大切です。特に歯周病は母子の健康に影響を及ぼしますので、積極的に治療を行わければなりません。
今回は、妊娠中に受けても良い治療と、胎児への影響が心配されるような要注意な治療について紹介します。

妊娠中でも受けて良い歯科治療

妊娠中でも、胎児や母体に影響の少ない歯科治療について紹介します。一般的には問題がないとされていますが、個人の状態によっては難しい場合もあります。治療の可否については、必ず歯科医師や産婦人科医の指示を仰いで下さい。

レントゲン

妊娠中のレントゲン撮影による放射線の被爆を心配する方も多くいますが、実際の放射量は非常に微量であり母子ともにほぼ影響がないと考えて問題ありません。また撮影の際には防護エプロンもしますので、胎児への被爆は限りなく0に近い量になります。
また、デンタルレントゲンは通常のフィルム現像によるレントゲン撮影と比べるとさらに被曝量が減りますので、心配な方はデンタルレントゲンを導入している歯科医院を受診しましょう。

麻酔

歯科診療で使われている表面麻酔、浸透麻酔、伝達麻酔のいずれの局所麻酔も、胎児にまでは届きません。これまで胎児に何らかの悪影響を及ぼしたという報告もありません。
歯科恐怖症の人に用いられる笑気麻酔や静脈内鎮静法といった鎮静麻酔も、局所麻酔と同様に具体的な胎児への影響は報告されていませんが、推奨しない歯科医院も多く、使用の判断については各歯科医師に委ねられています。
また、全身麻酔は呼吸機能など全身の様々な機能を停止させてしまうので影響が大きく、緊急時以外には使用が避けられます。

虫歯治療

レントゲンや麻酔の影響はありませんので、妊娠中の場合でも通常の人と同じように虫歯治療を受けることができます。神経を取り除く根管治療に使われる薬剤も、身体に悪さをするような物質ではないので、安心して治療受けて下さい。
虫歯を放置すると、産後に虫歯菌の母子感染させてしまうリスクが高まります。出産前に虫歯は必ず治しておきましょう。

歯周病治療

歯周病は胎児へ悪影響を及ぼすことがわかっているため、妊婦への歯周病治療は積極的に行われています。歯周病治療は、歯科医院でのスケーリングやルートプレーニングという歯周ポケットのお掃除が中心となります。
妊娠初期のつわりが酷い時期には、歯磨きでさえ気分を害する原因になります。ブラッシングがうまくできずに、余計に虫歯や歯周病になりやすい環境になってしまいます。
自宅でできるケアとしては、歯間のお掃除ができるデンタルフロスや、ブラシが小さく圧迫感のすくないワンタフトブラシを使ったケアがおすすめです。
参考:「初心者におすすめのY字型デンタルフロス」
参考:「ワンタフトブラシで「磨けたつもり」を卒業!テクニックいらずで隅々まできれい」

詰め物治療

妊娠中に歯の詰め物が取れてしまった場合でも、治療は可能です。麻酔が必要となっても問題はありません。むしろ詰め物が取れてしまったまま放置すると、虫歯もできやすいですし、また神経を取るような大きな虫歯に発展しやすくなってしまいます。ひどい虫歯に発展してしまうと治療にも時間がかかってしまうので、早めに治してもらいましょう。
仮の詰め物で応急処置をして産後に改めて作成することも可能です。歯科医師と相談しましょう。

妊娠中は注意したほうが良い歯科治療

妊娠中に避けた方が良いとされる治療について紹介します。多くは、薬剤の服用が必須となる治療です。

矯正治療

歯科矯正中に妊娠が発覚した場合でも、基本的にはそのまま治療を継続することができます。ただしつわりの時期には矯正器具があることで気分が悪くなったり、ブラッシングがままならなくなってしまったりすることもあるため、一時中断することもあります。
また、抜歯を伴うような矯正については、妊娠中は行われません。妊娠性歯肉炎を起こしているなど歯茎の状態が良くない場合には、矯正の前に歯周病の治療が必要となります。
妊娠中は虫歯や歯周病のリスクが高まりますので、念入りなブラッシングや歯科医院での定期清掃が必要です。矯正器具がついているとブラッシングもしにくくなるため、意識してケアしないとすぐに虫歯を作ってしまいます。
このように妊娠中の矯正は問題も多いため、一時中断を選択することも少なくありません。また妊娠がわかってからあえて矯正を始めることもあまりないでしょう。

痛み止め服用

妊娠中はあらゆる薬剤の服用に注意が必要です。歯科の治療でも、妊娠中に鎮痛剤の服用が必要となるような治療は避けられます。鎮痛剤によっては、胎児へ悪影響を及ぼす可能性がある成分が含まれているためです。
妊婦にも使用されるアセトアミノフェンは、副作用も少なく、安全性に優れている鎮痛剤です。胎児への影響も少ないとされていますが、用法用量を守り濫用は避けましょう。
アセトアミノフェンが含まれている処方薬としてカロナールがあります。市販されているものについては、タイレノール錠というものがありますが、必ず医師に相談した上で服用しましょう。
市販の鎮痛剤の妊娠時の扱いについて下記にまとめました。基本的には服用を避けるか、医師に相談という注意書きがあります。

商品名 注意書き
ロキソニンSシリーズ 出産予定日12週以内の方及び授乳中の方の服用は避けて下さい。
新セデスシリーズ 妊娠中及び授乳中はできるだけ避けて下さい。
ノーシンシリーズ 妊婦又は妊娠していると思われる人は医師や薬剤師に相談して下さい。
イブシリーズ 出産予定日12週以内の方は服用を避けてください。授乳中の方は、医師や薬剤師にご相談ください。
バファリンシリーズ 妊娠中及び授乳中は服用を避けて下さい。特に出産予定日12週以内は服用しないで下さい。

親知らず抜歯

親知らずの抜歯など、術後に鎮痛剤が必要になる治療については、妊娠中避けられる傾向にあります。抜歯はせずに、消毒や影響の少ない抗生物質の服用によって、炎症を抑えていきます。どうしても痛い場合には、安定期に入ってから抜歯が行われます。痛みによる妊婦へのストレスもリスクになるからです。

インプラント治療

親知らずの抜歯と同様に、インプラント治療も術後に鎮痛剤など複数の薬剤の服用が必須となるため、避けられる傾向にあります。また、長時間の手術になることも多く、妊婦の身体の負担も大きくなってしまいます。
インプラント治療が出来ない期間は、部分入れ歯を入れるなどして一時的に補綴することも可能です。

ホワイトニング

ほとんどの歯科医院は、妊娠中にオフィスホワイトニングやホームホワイトニングといった、薬剤を使用して歯を漂白する方法でのホワイトニングは推奨していません。
オフィスホワイトニングもホームホワイトニングも、過酸化水素水という薬剤を使用していますが、妊婦への安全性がはっきりと確認されていないため、万が一のリスクを避けるためにも妊娠中には使用されないのが通常です。
妊婦への影響がわからない薬剤に関しては、薬剤を使用することのメリットが、薬剤を使用することで起きるリスクを上回る時に限って使用するものとしています。例えば命に関わるようなケースにはやむを得ず使用されることもありますが、審美性を高めるためのホワイトニングについては優先度も低く、わざわざ妊娠中に行う必要もないと判断されているのです。
マタニティ婚など、妊娠中にどうしても歯を白くしたい場合には、歯に直接白いコーティングをするマニキュア(ホワイトコート)という方法もあります。市販のマニキュアを使って自分で塗ることもできますが、歯科医院でやってもらったほうが綺麗になりますし、長持ちもします。(1~3ヶ月程度)

安定期に治療しましょう

妊娠中は虫歯や歯周病のリスクも大きくなるため、歯科医院への通院は積極的に行いましょう。
ただし、抜歯やインプラントなど、外科的な手術が伴う治療については、身体への負担が大きいため避けられる傾向にあります。特に、妊娠4週~10週の期間は、胎児の器官が作られるために非常に大切な時期です。できれば麻酔や薬の服用、手術は避けたほうが良いでしょう。また妊娠初期はつわりにより、大きく口を開けていることも辛く感じることもあります。
歯科治療を行うには、安定期の時期が最適とされています。妊娠後期も治療が可能ですが、大きくなった腹部が圧迫されて診療中に苦しくなることもあります。
妊娠中の歯科治療は、歯科医師と産婦人科医に相談の上、慎重に行いましょう。