QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を向上させるために、歯科医療でできる5つのこと | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2017年10月13日

歯の健康は、美味しいものを食べたり楽しく会話をしたりと、いつまでも若々しくいるために重要なものです。また、歯と全身の健康は密接に関係しており、命が関わるような病気においても、歯科医療はQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上のために重要な役割を担っています。
小林麻央さんも行っていた、QOL向上のための治療とはどのようなものなのでしょうか。また、一見無関係にも思える歯科医療とQOLとの関係性についてまとめました。

QOLとは

QOL(クオリティ・オブ・ライフ)とは、直訳すると「人生の質」という意味になりますが、ここでいう質とは、年収などを元にした生活水準とは異なり、その人がどれだけ幸せに人間らしく生きているか、という社会生活における幸福度を指します。
一般的に、自由に自分らしい生き方ができている人はQOLが高く、逆に何かに制限された窮屈な生活を送っている人はQOLが低い、と表現することができます。
QOLという言葉は、医療や介護の発展とともに生まれた言葉です。

医療とQOL

QOLは、主に医療上の概念として使われる言葉です。医療とは元来「病気の治療」を第一の目的としてきました。しかし無理な延命治療や、副作用の強い薬物治療などは、患者に新たな苦痛を与えてしまったり、社会生活を送れなくなったりと、患者の人間らしい生活を阻害するとされ、疑問視されるようになってきました。
そこで近年では、患者の生活の質、つまり「QOLを高めること」を重点にした治療方針が注目されています。
例えば、末期がんの患者が、わずかな治癒の可能性にかけて毎日薬の副作用に苦しむのではなく、治癒は望めないが苦痛のない余生を過ごせるようにするなど、QOLを損ねない治療方針が重要視されるようになってきたのです。このような終末期の患者に対するケアのことを、ターミナルケア(終末医療)といいます。ステージ4の乳がんを患っていた小林麻央さんも、根治治療ではなく、QOLの向上を目的とした治療を行っていたことがブログに綴られていましたね。

介護とQOL

介護の分野で使われる言葉に、ADL(アクティビティ・オブ・デイリー・リビング)というものがあります。ADLは日常生活動作と訳され、人間が日常的に行っている最低限の動作、移動、着替え、食事、排泄、入浴などを表します。
従来の介護では、このADLの回復や介助などを目指していました。しかし1970年代の自立生活運動をきっかけに、ADLの自立だけでなく、他者の介助を通して本人の思う通りの生活を叶えること、つまりQOLの向上に重点が置かれるようになってきました。
例えば、怪我をきっかけに障害を負い、家に引きこもりっきりになってしまった場合、食事、排泄、入浴などADLの回復や介助だけでなく、介助に依存しつつも、本人が希望する趣味や旅行などに積極的に参加できるようサポートすることが目指されます。
もちろんADLの回復がQOLに繋がることもありますので、2つは切っても切り離せない関係であるといえます。

緩和ケアと歯科衛生士

QOLは、緩和ケアにも深く関わってきます。緩和ケアとは、がんなど生命を脅かす病気の患者に対して行われる、QOLの向上を目的とした、身体的な苦痛や精神的な苦痛を取り除くアプローチのことを言います。治療と並行して行われる点で、ターミナルケアとは異なります。
緩和ケアを受ける患者は、全身症状により口腔環境も悪化し、歯周疾患など様々なトラブルを起こしやすくなります。口腔の乾燥により口腔粘膜に付着物が増え、咀嚼や嚥下が困難になったり、発音にも支障をきたすようになったりしてしまうのです。 患者のQOLを低下させないためにも、歯科衛生士による口腔ケアは不可欠なものとなっています。緩和医療チームの一員に歯科衛生士がいることも珍しくありません。
歯科衛生士の90%が歯科診療所へ就職しています※。しかし残りの10%は、病院でチーム医療の一員として働いたり、また地方自治体、介護保険施設、保健所などへ就職して、在宅歯科医療をサポートしていたりと、地域医療においても重要な役割を担っています。
「厚生労働省 平成28年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」より

歯科医療で叶えられる5つのこと

お口の健康と全身の健康は、非常に密接に関係していることがわかっています。例えば歯周病は心疾患や脳血管疾患にも繋がりますし、妊婦の場合は早産や低体重児出産のリスクが高くなります。
そしてQOLという観点でも非常に重要な役割を持っています。歯科医療によって、次の5つのことを叶えることができます。

食事が楽しくなる

歯科医療によって咀嚼や嚥下機能が回復すると、自分の口から栄養を取れるようになるだけではなく、咀嚼によって唾液の量も増えて、口腔乾燥が改善され、味覚も回復します。またしっかりとした歯があれば固いものも食べられるようになり、食べ物の食感を楽しむことができるようになります。
口腔機能の回復によって、食べ物を美味しいと感じる事ができるようになるのです。毎回の食事が楽しみになり、食欲が増え、体力の増加にも繋がります。

円滑なコミュニケーション

歯があることで、しっかりと発音することができ、他人とのコミュニケーションを円滑に進めることができるようになります。 また口腔ケアによって口臭を気にすることもなくなるため、人との接触も活発になり、挨拶やたわいのないおしゃべりも増えます。会話が増えることで脳が活性化され、認知症の予防にも繋がります。
自分の意志を滞りなく伝えることができることから、精神的なストレスも緩和されます。

誤嚥性肺炎の予防

高齢者の死因第一位が、誤嚥性肺炎です。咀嚼や嚥下機能が落ちると、食べ物や唾が誤って食道ではなく気道に入ってしまう誤嚥を起こすことがあります。誤嚥を起こした際に口内環境が悪いと、口内の細菌も一緒に気道や肺に入ってしまい、誤嚥性肺炎を引き起こします。
口腔ケアを行い、口内を清潔にしておくことで誤嚥性肺炎を防ぐことができます。また義歯の調整を行うことで、口腔機能も回復し、栄養状況も改善され、免疫力の向上にも繋がります。

転倒防止

QOLを著しく低下させるきっかけとなる高齢者の転倒が問題になっています。歯があることで身体のバランスが安定し、転倒を防止することができます。

素敵な笑顔

歯が揃っていると、口元にハリが出て見た目にも健やかな印象になります。笑顔に自信も出ることから、表情も明るくなり、自然と笑うことが多くなります。

まとめ

歯科医療は、ターミナルケアや緩和ケアにおいて重要な役割を果たしていることがわかりました。
口腔機能の回復によって食欲が出ると、体力も向上します。さらに人とのコミュニケーションも増えると、外で活発に行動したいと思うようになります。新しい友人ができて毎日が楽しくなり、趣味もできます。美味しいものを食べるため、綺麗な景色を見るために旅行にも行きたいと思うようになります。
歯科医療は、美味しい、楽しい、綺麗だ、そんな人間として当たり前の感情を取り戻すことのできる、QOLの向上に欠かせない手段なのです。