認知症には入れ歯が有効?入れ歯が認知症を予防する4つの理由 | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2017年10月14日

平均寿命が伸びたことで認知症となる人も増えています。2025年には65歳以上の人の5人に1人、そして2060年には3人に1人が認知症になると予想されています。
一度発症すると後戻りが難しく、特効薬もない認知症ですが、意外な予防法として「入れ歯をいれる」ことが挙げられます。入れ歯をいれてしっかりと噛める歯を作ることは、健康な体を作り、脳を活性化させることに繋がるため、認知症を予防したり、進行を遅くしたりすることができると考えられているのです。
今回は、入れ歯が認知症予防になる4つの理由について紹介します。

認知症とは

認知症とは、人間のすべての行動を司る脳の細胞が、何らかの理由で次々と死んでしまい、記憶力、見識力、判断力、運動能力、精神状態に障害が出てしまう状態をいいます。

アルツハイマー型認知症

認知症にもいくつか種類があり、もっとも多い症状であるアルツハイマー型認知症は、記憶力に顕著に障害が表れます。ヒントがあれば思い出せるような加齢に伴う記憶力の低下とは異なり、アルツハイマー型認知症の場合には、出来事すべてを丸々忘れてしまうことが特徴です。夕飯のメニューが何だったかを思い出せないというレベルではなく、食事をしたこと自体を忘れてしまうのです。

原因はタンパク質の蓄積

アルツハイマー型認知症は、脳神経細胞の老廃物であるアミロイドβやタウタンパク質の蓄積によって起こります。アミロイドβやタウタンパク質は、健康な脳であれば分解されてなくなっていきますが、老化によって分解機能が衰えると、どんどんと蓄積されていき、脳神経細胞を傷つけたり死滅させてしまったりします。

生活習慣病と認知症

加齢も一因ではありますが、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の人は、そうでない人よりも、アルツハイマー型認知症にかかるリスクが高くなることがわかっています。
またアルツハイマー型認知症の他にも、脳卒中など脳の血管の病気がきっかけで起こる脳血管性認知症があります。血管が詰まってしまうことで酸素が送られなくなり、脳神経細胞が死滅してしまうのです。脳血管疾患も生活習慣病との関係が深いため、認知症の予防には生活習慣の改善が鍵となっているといえます。

入れ歯が認知症を予防する4つの理由

生活習慣の改善には歯の健康が深く関わってきます。入れ歯をいれることで、次のようなメリットがあり、生活習慣の改善やQOLの向上、認知症の予防にも繋がります。

脳が活性化する

よく噛むことで脳が活性化し、記憶を司る海馬の細胞も回復することがわかっています。顎を動かすと、口の周りの20以上の筋肉が使われることをご存知ですか。たくさん筋肉を動かすと、血流もよくなり脳に酸素や栄養が届きやすくなります。
また食べ物を五感で味わうことでも脳が刺激されます。よく噛んで食べると唾液が分泌されて味覚も冴えてきますので、食べ物がより美味しいと感じることができるようになり、脳への刺激も増えます。
入れ歯をいれてよく噛むことが、死んでしまった脳細胞を生き返らせ、記憶力低下の防止に繋がります。意識して噛むことで、効果が上がります。

生活習慣病の予防になる

よく咀嚼して食べることで、唾液が出て食べ物も細かくなり、胃や腸にも負担をかけずに消化することができます。栄養が効率よく吸収され、全身の健康状態もよくなります。
また、よく噛むことで満腹感が得られ、血糖値も上がりにくくなることから、肥満や糖尿病を予防することができます。 入れ歯を入れることで生活習慣病の予防になり、認知症のリスクを下げることができます。

転倒を防止する

歯は、身体全体のバランスや運動能力に関係しています。歯がきちんと噛み合うことで、顔の位置が固定され、腰の位置も安定します。また、運動する時には無意識に奥歯を噛みしめることで、瞬発力を発揮したり踏ん張ったりすることができるといわれています。
しかし歯を失うと、片方の歯だけで噛むようになり、噛合せもズレて顔も歪んでいきます。やがて顔の歪みは身体全体に広がり、バランスの悪い姿勢を作ってしまいます。身体のバランスが崩れてもうまく踏ん張ることができず、転倒することが多くなってしまいます。
高齢者の転倒は、寝たきり生活のきっかけになります。そして寝たきりになると脳への刺激が減り、認知症の発症と進行を促してしまうのです。
転倒のリスクを減らすためにも、身体のバランスを安定させる入れ歯が大切になってきます。

残存歯をより長く残すことができる

天然の歯が残っている人は、ほとんど歯が残っていない人よりも認知症になるリスクが低くなることがわかっています。 天然の歯と人工歯の違いは、歯根膜の有無です。歯根膜とは、歯と歯を支える骨の間にある組織のことで、噛んだ時の衝撃を和らげるクッションの役割があるだけでなく、噛んだ刺激を脳に伝えて、脳を活性化する働きがあることもわかっています。
歯を失ってしまうと、この歯根膜を失ってしまうだけでなく、隣接した天然歯にも負担をかけるようになります。歯の穴を埋めようと上下左右の歯が動いてしまうため、噛み合わせに異常をきたし歯の寿命を縮めてしまうのです。一本失うことで、他の歯もだめになってしまい、噛めなくなって脳の活性化が阻まれてしまいます。
入れ歯をいれることで失った歯の空いた穴を埋めることができるため、噛み合わせのバランスを保ったまま噛むことができるようになります。しっかりと噛んで脳を活性化しつつ、残った歯(歯根膜)をより長く残すこともできます。

口腔ケアへの関心を高めよう

注意しなければならないのは、入れ歯をいれたからといって魔法のように認知症にならなかったり、進行を止めたりすることができるわけではないということです。また単に入れ歯といっても、しっかりと噛める自分にあったものでないと意味がありません。
そして入れ歯は選択肢の一つに過ぎず、ブリッジやインプラントなど、別の方法でも機能回復は可能です。入れ歯だけに固執せず、それぞれのケースにあった方法を選択していけば良いでしょう。
大切なのは、口腔機能が健康にどれだけ影響を与えるかを知っておくことであり、そして口腔機能を保つためにいかに努力を行えるかということです。口腔ケアに関する知識や関心を高めることで、自分には何が一番適した方法なのかもわかってくるはずです。
その手段の一つとして、ぜひ入れ歯治療を検討してみてください。