認知症にオススメの入れ歯と知っておくべき注意点 | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2017年10月16日

認知症は、脳の神経細胞が何らかの理由で破壊されてしまい、記憶力・判断力・身体能力などに障害を起こしてしまう症状です。
近年、認知症を予防したり進行を止めたりするには、噛むことが有効だということがわかってきています。
入れ歯などを作ってしっかり噛めるようになると、脳神経細胞を活性化したり、免疫力を高めたり、身体のバランスを保ったりすることができるようになるのです。 詳しくは、「認知症には入れ歯が有効?入れ歯が認知症を予防する4つの理由」を御覧ください。 今回は、認知症にオススメのしっかりと噛める入れ歯や、認知症の方が入れ歯をいれる際の注意点についてまとめました。

認知症を予防する入れ歯

ただ入れ歯を入れるだけでは、意味がありません。一人ひとりの形にあった、よく噛める入れ歯であることが大切です。また、本人や介助者がお手入れしやすいものが良いでしょう。
認知症予防のための高齢者向けの入れ歯として、次のような選択肢があります。

コンフォート義歯

快適でない入れ歯は、食事をストレスに感じてしまう原因となります。食欲が落ちると体力や免疫力が落ち、認知症悪化にも繋がります。
コンフォート義歯という入れ歯は、歯茎との接触部分に柔らかい生体用シリコンが使用されています。噛んだ時の痛みが緩和され、吸着性も良いため外れにくく、快適に使用できます。ただし作成は自費になりますので、保険内の入れ歯よりも高価になってしまいます。

インプラント義歯

インプラント義歯という、インプラントを固定源とした総入れ歯があります。メリットとしては、通常の入れ歯よりも高い安定感が得られることと、インプラントがあることで骨の吸収を抑えられるという点があります。
入れ歯部分とインプラント部分が完全に固定されているタイプと、任意に取り外しができるタイプがあります。
オールオン4(オールオン6)などと呼ばれている固定タイプの入れ歯は、取り外しの必要がないため、天然歯と同じようにお手入れができ、紛失のリスクがありません。
インプラントオーバーデンチャーなどと呼ばれる取り外しができるタイプは、インプラントによる安定感を維持しつつ、取り外しもできるため、清掃性に優れています。
ただしインプラント義歯の治療は、骨の厚みが十分でなかったり、高血圧、糖尿病などの全身疾患を患っていたりする場合には適応できません。また、自身や介助者による清掃の他にも、歯科医師や歯科衛生士による定期的なメインテナンスが必要です。定期的な通院や訪問歯科診療を受けられる環境下であることが望ましいでしょう。

認知症の入れ歯の注意点

入れ歯は認知症を予防するだけではなく、進行を遅らせることができるため、認知症になってからでも入れ歯をいれても遅くありません。ただし認知症になる前に入れ歯を入れた方が断然に適応しやすいため、できるだけ早期に入れたほうが良いでしょう。

医師との連携が必要

認知症では医科からの薬の処方があるため、歯科で薬剤の処方がある場合には、医師との連携を図って慎重に治療を進めなければなりません。
また、認知症の症状により、思い通りに歯科診療が行えないケースもあります。口を開けてくれない、閉じてくれない、印象や咬合採得が安定しない、何より患者自身が嫌がっていて抵抗するなど、診療に入ること自体が困難なことがあります。
その際にも、医師との連携のもと精神的に安定する投薬を行ってからの治療を行ったり、緊急時にすぐに対応ができるよう、予め医師と連絡を取り合える状況を作っておいたりするなどの対策を取る必要があります。
歯科診療に対する患者の理解が得られない状態にまで症状が進んでいる場合には、診療ができないこともあります。そうなる前に、入れ歯作成をしておきたいところです。

口腔ケアを怠らない

加齢とともに唾液量の分泌が減り、口内環境はますます悪化します。入れ歯の不衛生により、口内の粘膜が感染症にかかってしまうリスクは大きくなります。また残存歯がある場合には歯周病や虫歯にもなりやすくなってしまいますので、歯や口腔粘膜を丁寧にブラッシングする必要があります。入れ歯自体にもたくさん汚れが付きますので、口内だけでなく入れ歯の清掃も入念に行わなければなりません。
認知症患者の場合には、自分では十分に口腔ケアを行えないことがほとんどですから、介助者や歯科衛生士による定期的な口腔ケアが不可欠です。逆に口腔ケアさえできていれば、夜つけたまま寝ることも可能になってきます。

こまめに調整する

歯を失ってしまうと、時間経過とともに歯を支えていた歯槽骨という骨が吸収されていき、顎全体が痩せてきてしまいます。歯茎が平坦になってくると入れ歯の形も合わなくなってきますので、痛みが出たり外れやすくなったりしてしまいます。入れ歯は一度作成したら終わりではなく、定期的な調整が必要な補綴物です。
認知症患者は、痛みが出ていることや入れ歯が合わないことを、うまく表現できません。急に食べるのが遅くなった、食べる量が減ったなど、何らかの変化があった場合には、入れ歯が合わないことでうまく噛めなくなっているのかもしれません。ちょっとした変化に気づいてあげることが大切です。

基本的に夜は外して寝る

夜間は口内の細菌が繁殖しやすくなるため、入れ歯をつけっぱなしにすると、口腔カンジタ症など不衛生によるトラブルが発生しやすくなります。また歯茎を休ませるという意味でも、一定時間の開放が必要です。寝ている間に何処かへ行ってしまう可能性もあるため、夜間は介助者が洗浄し保管しておくのが良いでしょう。
ただし残存歯がある人で、食いしばりグセがあったり、口内を傷つけてしまう恐れがあったりする場合には、夜間も装着したままにしておきます。就寝前の取り外しが難しい場合には、無理のない機会に取り外し、しっかりと清掃を行えば問題ありません。

入れ歯の紛失に注意する

認知症になると、入れ歯を紛失してしまうことが多くなります。保険適用で制作した場合には、半年に一度にしか制作できないというルールがあるため、再制作は自費になってしまう可能性もあります。
入れ歯が入っていることの定期的な確認を行う、固定式の入れ歯を使用するなどの対策をする必要があります。
部分入れ歯のように小さい入れ歯の場合には飲み込んでしまうリスクもあります。テレスコープデンチャーなどの外れにくいタイプの部分入れ歯をすることで、誤飲を防ぐことができます。テレスコープデンチャーについて詳しくはこちらを御覧ください。若い人にもおすすめ!30代からの部分・総入れ歯「テレスコープデンチャー」
入れ歯が合わない不快感から、何度も取り外してしまうことも考えられますので、定期的に歯科医師に調整してもらう必要があります。

嚥下障害がある

嚥下障害がある場合、入れ歯があることでかえって誤嚥の可能性を高めてしまうことがあります。よくむせる、よく食べ物が口から出る、うまく飲み込めないなどの症状がある場合には、嚥下機能障害が疑われます。
通常の入れ歯ではなく、嚥下機能を補助するための、舌接触補助床や軟口蓋挙上装置といった特殊な入れ歯の装着や、嚥下機能訓練が必要となります。

昔の入れ歯はとっておく

新しい入れ歯作成の時に、もう使っていない古い入れ歯を持っているととても役に立ちます。歯科医師が古い入れ歯の形状から情報を得てブラッシュアップすることで、より精密な入れ歯を作ることができるようになるからです。
また、認知症により治療に協力が得られずに、新たに印象や咬合採得が難しい場合にも、古い入れ歯を利用することで作成が可能になることもあります。
古い入れ歯は捨てずに保管しておくことをおすすめします。

天然歯に優るものはありません

入れ歯をいれてしっかり噛めるようになることで、認知症の予防や進行を止めることに繋がります。認知症の方にとって良い入れ歯は、噛んだ時の安定感や快適さの他にも、介助者の清掃のしやすさが重要なポイントとなります。
認知症の方が入れ歯を作成する場合には本人の協力が得られなかったり、作成後もつけ心地についての感想をもらえなかったりなど、通常にはない多くの困難が予想されます。できるだけ元気な内に入れ歯の作成を行っておく必要があります。
どんなに良い入れ歯でも天然歯の使い心地に優るものはありません。また天然歯を多く残せている人は、残っていない人よりも認知症になるリスクが低いことがわかっています。
認知症にならないように、歯のお手入れをしっかり行っておくことが大切です。