顎が外れたら歯医者がいい?顎関節脱臼の原因と治療法 | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2017年10月19日

笑った拍子に顎がガクッと外れてしまった!すごく驚きますよね。顎が外れることを顎関節脱臼といい、肩の脱臼と同じように一度外れると癖がついてしまうこともあります。顎が外れるのを心配して、大きく口を開くことができないという人もいるのではないでしょうか。
この記事では、顎関節脱臼はなぜ起きてしまうのか、顎が外れやすい原因ついて探っていきます。また顎が外れてしまった場合には何科を受診したら良いのか、外れにくくするための治療法についても紹介します。

顎が外れる顎関節脱臼とは

顎が外れることを、専門用語で「顎関節脱臼」といい、可動域を超えるほど大きく口を開けたり、顔を強く殴られたりすることで起こります。
顎が外れると口が閉じられなくなるため、嚥下(飲み込むこと)ができなくなったり、うまく発音ができなくなったりしてしまいます。外れた際には、関節や周囲の軟組織を痛めてしまうため、強い痛みを生じることもあります。見た目には、下顎がダランとして、耳の前あたりにある顎関節が窪んでいることがわかります。

顎関節脱臼の分類

下顎がずれる方向によって、前方脱臼、後方脱臼、側方脱臼の3つに分類することができます。
もっともよく起こるのが前方脱臼です。あくびなど、能動的開口などをきっかけに下顎が前に脱臼してしまいます。力を加えて、関節を正しい位置に戻すことで治ります。
後方脱臼と側方脱臼については、転倒や交通事故、または格闘技などで、顔に強い外的衝撃を受けることで起こります。後方脱臼は口が開かなくなり、側方脱臼は口が閉じなくなることが特徴です。どちらも骨折など別の外傷を伴っていることが多く、治療には時間がかかる傾向にあります。

何度も繰り返す顎関節脱臼

本来であれば、痛めてしまった軟組織が治癒するまでは動かさないようにした方が良いのですが、顎を動かさないと食事や会話ができないため、十分に治癒しないままになってしまうことが多くなります。これがいわゆる脱臼グセに繋がり、ちょっとしたことで脱臼してしまう反復性脱臼を起こします。
また軟組織の損傷がなくても、関節の衰えによって簡単に外れてしまうようになることもあります。習慣性脱臼といい、高齢者に多く見られる症状です。

顎が外れやすい原因

偶発的に顎が外れてしまうのではなく、何度も繰り返す反復性、習慣性の顎関節脱臼の原因として、次の理由が挙げられます。

噛み合わせが悪い

噛み合わせが悪いと、顎周りの筋肉に大きな負担がかかり、顎が外れやすくなります。特に下顎が上顎よりも前に出ている受け口の噛み合せの人は、顎の可動域が小さく、少し口を開けただけでも顎が外れてしまうということが起きてしまいます。

顎の酷使

固いものを偏って食べていたり、一度に大量の食べ物を食べたりすることでも、顎が外れてしまうことがあります。顎の酷使により顎の筋肉が疲弊して、下顎を引き戻す力が働かなくなってしまうのです。顎の酷使は顎関節症にも繋がりますので、無理な使用は控えたほうが良いでしょう。固いものを食べることは顎のトレーニングにもなりますが、何事もやり過ぎは禁物です。

顎関節症

普段から、口を開けたり閉じたりする際にカクカク、ジャリジャリ、ミシミシといったような音がする場合には、顎関節症が疑われます。顎関節症になると、口がスムーズに開けられなくなったり、顎が外れやすくなってしまったりします。
顎関節症の原因としては、不正咬合や歯ぎしりグセ、姿勢の歪み(ネコ背や頬杖など)などが挙げられます。また精神的なストレスによる筋肉の緊張や、睡眠障害、うつ状態によっても起こるなど、多岐に渡るリスクファクターが存在します。

加齢による筋肉や関節の衰え

筋肉や関節の衰えによっても、顎関節脱臼を起こしやすくなります。加齢などにより口周りの筋肉が衰えてしまうことで、ちょっとしたきっかけでも顎関節脱臼を起こしてしまいます。高齢者に多い習慣性顎関節脱臼は、筋肉や関節の衰えが原因です。

顎が外れたら何科を受診したらよいか

顎関節脱臼は、外れてから時間が経てば経つほど治療が難しくなります。外れてからすぐ治療を行えば、ヒポクラテス法やボルカース法といった徒手整復術(指で力を加えて治す)ですぐにもとに戻ります。その後も安静にしていれば問題ありません。
しかし1週間以上放置してしまうと、靭帯が伸びてしまい、再発しやすくなるだけでなく、全身麻酔が伴う外科的な手術が必要となることもあります。
顎が外れてしまった場合には、できるだけ早く治療を行わなければなりません。治療には、次の科を受診しましょう。

歯医者へいく(推奨)

顎が外れてしまった場合には、まず歯医者へ行きましょう。顎は身体の中で唯一、左右一緒に動く特殊な関節です。専門的な知識のある歯科医師に診てもらうことで、顎を戻すだけでなく、顎が外れた原因も含めて診てもらうことができます。
歯科の領域の中でも、特に口腔外科であれば確実に治してもらえます。

顎関節脱臼の治療費
歯科でも医科でも、顎関節脱臼の治療は保険適用となります。非観血的整復(メスは入れない)であれば、片顎につき410点(3割負担1,230円)です。多くのケースで両顎とも外れていますので、820点(3割負担2,460円)となります。プラス初診料などがかかります。
観血的手術(メスをいれる手術)の場合は、26,210点(3割負担で78,630円)と処置だけで大変な費用になりますので、悪化する前に治療を行いましょう。

耳鼻咽喉科へ行く

歯科を受診できない場合には、次の候補として耳鼻咽頭科を受診してみましょう。顎関節は耳鼻咽頭科も専門領域です。

整形外科へ行く(非推奨)

脱臼といえば整形外科を思い浮かべますが、実は顎については専門外なので、顎関節脱臼については取り扱っていないことが多いようです。慣れていないと治す際に余計に痛みを感じますので、やはり口腔外科を受診するのが安心でしょう。

自力で直す(非推奨)

自力で治すことは非常に困難です。無理に治そうとすると、顎関節を痛めてしまう可能性もあるため、できるだけ専門機関で治してもらいましょう。
夜中や休日で近くの病院が空いていない場合には、筆談をしつつ、タクシーで夜間診療を行っている病院へ行きましょう。ただし、夜間は医療費が割増になりますので、お財布に注意が必要です。

顎が外れないようにするためには

日常生活に支障をきたすほどに、顎が外れやすくなってしまっている場合には、根本的な治療が必要です。顎が外れないようにするための予防法や根本的な治療法として次のようなものが挙げられます。

口を開けすぎないように気をつける

どのような時に顎が外れてしまうのかを把握し、その行動をしないようにすることが基本的な予防法となります。あくびや笑った時に、下から手を当てて口を開けすぎないようにするなど、意識的に改善していきます。

チンキャップをつける

意識的に過開口を予防できない、または、習慣性顎関節脱臼などで口を大きく開けなくても容易に外れてしまう場合には、チンキャップを使って機械的に開口制限をすることもあります。
チンキャップとは、頭部を固定源として、下顎にプレートを付けてゴムの力で開口を制限するかぶりものです。食事や歯磨き以外の時は常に装着します。子どもの受け口矯正の際にも使用されます。

開口訓練をする

よく顎が外れる人は、恐怖感から開口時に筋肉がこわばってしまい、余計に外れやすくなってしまう傾向にあります。開口時の恐怖感をなくすために、外れないギリギリのところまで口を開ける開口訓練をすることで、可動領域を広げようとする治療法もあります。

歯科矯正

噛み合わせに問題がある場合には、歯科矯正によって噛み合わせを正しく直していきます。

スプリント治療

スプリント治療では、マウスピースを使って下顎の異常運動を抑制することで、顎関節脱臼を治療していきます。顎関節症の治療にも使われる方法です。

外科的手術

顎関節が外れないように関節の引っ掛かりを盛り上げる顎関節制動術や、逆に外れても戻しやすくするために関節の引っ掛かりを削る関節結節削除術が行われます。
習慣性顎関節脱臼の場合によく用いられる手術です。しかし手術をする体力のない高齢者には、チンキャップの装着など、非観血的な措置が行われることが多くなります。

まとめ

急に顎が外れてしまった場合には、速やかに歯医者などの専門機関へかかりましょう。脱臼グセがつかないように、安静にすること、口を大きく開けすぎないように意識することが大切です。
1週間以上経過すると、手で関節を戻す方法では直せなくなってしまいます。認知症患者など、顎が外れたことをうまく人に伝えられない場合には注意が必要です。
顎が外れやすくなっている人は、噛み合わせの不正や顎関節症が疑われます。顎に何らかの異常が起きていると考えられますので、口腔外科を受診して根本から解決をしましょう。