唾液と虫歯予防。傷口にツバをつけても治らない? | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2019年3月14日

「うっかり紙で指先を切ってしまった」時を想像してみてください。なんとなく傷口を舐めていませんか。また、転んで擦り傷ができた時に、「ツバでもつけとけ」なんてセリフも聞いたことがあります。実はこの「傷口を舐める」「傷口にツバをつける」のは動物の本能に備わっているものだということはご存知でしょうか。この行為はズーファーマコロジーと言います。ペットにワンちゃんやネコちゃんが居る方だと、なんだかずっと舐めている箇所があるので不審に思ったらそこに怪我をしていた、というケースもあるようです。確かに、傷口を舐めるという行為は他人から教わってする行為ではありません。つまり動物も、人間も、傷口に唾液をつけることで治癒が早くなるということを本能的に知っているということになります。「ツバ」と聞くとなんだか汚いイメージもありますが、実はツバに含まれている成分には様々な効果があります。今回は唾液にはどんな効果があるのか、本当に唾液によって傷が治るのかについて調べました。他にも、唾液にまつわる病気や唾液の検査、唾液と虫歯の関係についても紹介しています。普段唾液についてあまり気にしたことがない方がほとんどかと思います。ですが唾液はあなたの全身にとても大切な役割があるのです。

唾液とはどんなもの?

唾液の99.5%は水分です。そして0.5%に水分以外の成分が入っています。0.5%の主な成分はアミラーゼ、ラクトフェリン、リゾチーム、ムチンなど様々です。リゾチームは過去にリゾチーム塩酸塩が消炎剤として風邪薬などに入っていました。人間の唾液は1日で約1.5リットルが体内で生成されています。身近なもので例えると牛乳パック1.5本分が唾液として作られているのです。唾液の原料は血液で、食事などによる自律神経の刺激によって大唾液腺と小唾液腺から分泌されていきます。

唾液の働き

①消化を助ける

唾液にはアミラーゼが入っています。アミラーゼは消化酵素です。でんぷんが含まれた食べ物をブドウ糖に変換してくれるので栄養やエネルギーとして吸収しやすくしてくれます。

②細菌から守ってくれる

ラクトフェリンやリゾチームという成分が、細菌やウイルスから防いでくれます。これらの成分は細菌やウイルスの増殖も抑えてくれます。

③食べ物を飲み込みやすくする

ムチンという成分が唾液にはあります。ムチンには粘性があるので食道などを傷つけずに食べ物を運んでくれるのです。

④粘膜を保護、修復し、喋りやすくしてくれる

口の中は乾燥していると傷つきやすくなってしまいます。そこで口内は唾液のムチンという粘性のある成分によって粘膜が保護され、傷がついてもあとが残らないようになっています。また、口内が乾燥していると発声がしにくく滑舌も悪くなります。ムチンは潤いも与えてくれるので喋りやすくなります。

⑤食べ物を美味しく食べられる

唾液に食べ物の味が溶け出して舌に広がるので、味覚として感知して甘い、辛いなどの味がわかるようになります。

⑥口内を洗浄してくれる

食べ物を食べている時以外でも唾液は作られます。作られた唾液は口内も洗浄してくれます。

⑦虫歯や歯周病の進行を防いでくれる

「アルカリ性」「中性」「酸性」の中でも口内は常に中性に保たれている状態がベストです。しかし食べ物を食べると口内は酸性になります。歯は酸に弱く、酸性であればあるほど歯には悪影響のため、虫歯のなりやすさに繋がってしまいます。唾液は歯の表面をコーティングしてくるので、酸に弱い歯を守ってくれます。酸から守ってくれるので、虫歯や歯周病が進行しにくくなります。そして唾液の重炭酸塩、リン酸塩の働きにより口内や食道を酸性から中性に戻してくれます。

傷にはツバをつければ早く治る?

上記の通り唾液には細菌から守ってくれる力があるので、確かに傷口を殺菌する効果もあると言えます。口の中を噛んでしまって傷つけてしまった時に、手や足の擦り傷よりも治りが早いのは、口内が唾液の細菌やウイルスから守る成分で満たされているからです。しかし、唾液には他の細菌、雑菌も含まれています。傷口に唾液をつけることで悪化させてしまう雑菌も付着し、別の感染症になってしまうかもしれないので、消毒液や抗菌薬などを使用したほうがよいでしょう。

「口が乾燥している」もしかしてドライマウスかも

赤ちゃんは唾液の分泌量が多いです。そして加齢とともに分泌量が少なくなっていく傾向にあります。「最近口が乾燥して気になる」という方は以下の項目をチェックしてみてください。もしかしたら「ドライマウス」という病気かもしれません。

・口が乾きやすく感じる
・口の中のネバつきが気になる
・口内炎になりやすくなった
・食べ物が飲み込みにくい
・味がよくわからなくなった
・舌や唇がひび割れする
・喋りにくくなった
・虫歯、歯周病になりやすい
・口臭が気になる

当てはまる項目が多いほどドライマウスの可能性は高いです。ドライマウスは加齢が原因の他にも、ストレスで自律神経が乱れていたり、口呼吸を続けていたりするとなってしまいます。糖尿病や腎疾患によってドライマウスになることもありますが、唾液腺に炎症が起きてドライマウスになる「シェーグレン症候群」という病気の可能性もあるので、自己診断せずに気になる方は歯科、もしくは口腔外科に行くことをおすすめします。

唾液検査で虫歯になりやすいかがわかる?

近年、唾液の検査ができる歯科医院が多くなっています。唾液検査では虫歯菌や歯周病菌の量や、口内の酸性度、唾液の量、歯や歯茎、口内が清潔かなど、様々な項目からあなたの口内の健康度、そして虫歯や歯周病になりやすいかどうかがわかります。そして検査したことによって、歯科医師や歯科衛生士からその人に合った口内ケアの方法などを教えてくれます。口内環境は人それぞれ違います。全く同じ口内環境の人がいることはありません。そのため、その方法がベターだと信じて自分が今まで行っていた歯のケアが、本当は間違っている可能性があるのです。その人に合った口内ケアや虫歯、歯周病予防をすることで、歯の寿命を延ばし、いつまでも健康な歯を保っていくことができます。

舌の体操で唾液量を増やそう

唾液量は咀嚼の筋肉、舌周りの筋肉が発達するほど分泌量が多くなります。「唾液量が少ない気がする」と思う方はぜひ舌の体操を試してみてください。

①口を大きく開けます
②舌を前に突き出すように大きく出し、舌を口内にしまってを繰り返します
③舌を前に出したままにします
④舌を出したまま左右になるべく大きく動かします
⑤再び舌を前に出したままにします
⑥舌を使って大きな丸を描くように動かします
⑦舌先を前歯の裏に当てます
⑧そのまま舌打ちをするように何回か音を出します

まとめ

「ツバをつければ傷が治る」いうのは唾液の成分上間違ってはいないのですが、唾液自体には様々な細菌や雑菌が含まれているので、おすすめの方法ではありません。薬局などで売っている消毒剤などを利用しましょう。唾液は口内だけでなく、全身のために様々な働きをしています。唾液量が多い、少ないなどは自分ではわかりにくいですが、加齢とともに唾液量が減少する傾向にあるので、気になる方は歯科、口腔外科などで診療してもらいましょう。唾液が正常な働きをしていれば全身の健康も保たれます。今まで唾液について気にすることがなかった方も多いかと思いますが、これを機に唾液と健康の関係も考えてみてはいかがでしょうか。


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