お歯黒はなぜするの?虫歯予防の効果がある? | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院
2019年8月8日

歴史の教科書でお歯黒をしている女性の絵を見たことはありませんか?その名の通り、歯を黒く塗る風習をお歯黒と言います。歯だけが真っ黒なその姿は、現代の感覚だとホラー映画に出てきそうでなんだか怖いですよね。そしてお歯黒は歴史の教科書、または時代劇などで一般的に知られていますが、お歯黒をしていた「理由」を知っている人はほとんどいないのではないでしょうか。今回はなぜ昔の人はお歯黒をしていたのか、お歯黒の歴史や理由について調べました。

お歯黒の歴史は長い?

お歯黒は弥生時代からあったと言われています。弥生時代から明治時代頃まで、日本では歯が黒いほうが美しいとされていました。現代で例えると、歯を黒くすることはメイクをしてきれいに見せる感覚に近いのではないでしょうか。美しさの象徴として、お歯黒は長い間浸透していたのです。以下では時代別にお歯黒の歴史を紹介します。

弥生時代

古墳に埋葬されていた遺体から、お歯黒と思われる痕跡が見つかっています。この頃は草や木の実で歯を黒く染めていたのではないかと言われています。

平安時代

平安時代になると、一部の貴族や武士、また17歳から18歳の男女が成人した証としてお歯黒をしていました。また紫式部が著した「源氏物語」には、お歯黒をしている女性についての記述があります。

室町時代~戦国時代

室町時代は13歳から14歳くらいの女の子が、戦国時代は8歳頃の女の子がお歯黒をし始めました。なぜ貴族や武士だけでなく、若い女の子にお歯黒をさせるのか、その理由は「良い家柄の男性と早く結婚させるため」です。家柄の良い人と早く結婚させる、いわゆる「政略結婚」のために歯を黒く塗って美しさをアピールしていました。また女の子だけでなく、位の高い武将もお歯黒をしており、お歯黒だけでなく女性のような化粧をして戦地へ赴いていました。そのため、お歯黒をしていた武将を打ち取った場合、位の高い武士を討ち取った証拠となっていたそうです。

江戸時代

江戸時代になるとお歯黒は一般層へと広く浸透します。そして貴族など一部を覗く男性はお歯黒をしなくなり、既婚の女性もしくは未婚の18歳以上の女性のみがお歯黒をするようになりました。また農家や芸姑、遊女などもお歯黒をし始めます。農家は冠婚葬祭の時だけ、そして芸姑や遊女はメイクの一部としてお歯黒をしていたようです。

明治時代

弥生時代から長く続いていたお歯黒ですが、明治時代になると文明開花の影響で、政府からお歯黒の禁止令が出されます。西欧の文化を取り入れるために、日本独特の風習だったお歯黒を禁止したのです。ちなみに西欧の人からするとお歯黒は奇妙かつ恐ろしいものに見えていたので、とても美しいとは思えなかったようです。しかしこのお歯黒禁止令は一度では浸透せず、三度に渡って敷かれました。こうしてお歯黒をする人は少しずつ減り、大正時代にはお歯黒をする人がほぼいなくなりました。

お歯黒をし始めた理由

お歯黒は弥生時代から明治時代まで、長い間続いていた風習ですが、明確な起源は未だにわかっていません。ですが、お歯黒が平安時代に上流階級に広まったきっかけは鳥羽上皇ではないかと言われています。平安時代後期、第74代天皇の鳥羽天皇は虫歯が多く、虫歯を気にするがあまり人と話をすることが嫌いでした。家来ともなかなか話してくれないので、困り果てた家来たちは歯を黒く塗り始め「私達も歯が悪いのです」と鳥羽上皇にアピールしたそうです。このお歯黒のおかげで鳥羽上皇が家来たちと話すようになったのかは、残念ながら定かになっていません。ですが家来たちのアイデアと気遣いから、お歯黒は貴族などの上流階級に浸透したと言われています。その後時代は移り変わり、美しさの象徴、またはメイクの一部としてお歯黒は一般層へも浸透していきました。

お歯黒は虫歯予防になる?

お歯黒をしていた人は虫歯が少なく、また虫歯菌が歯を侵食するのも防いでいたことがわかっています。お歯黒は主に「タンニン」と「第一鉄」で作られていました。タンニンはお茶やワインなどにも入っているポリフェノールの一種です。タンニンと第一鉄が含まれたものを歯に塗ることで、歯のコーティング効果と、虫歯菌が歯を侵食するのを防いでいました。お歯黒は成分のおかげで虫歯予防になっていたのです。

時代劇でお歯黒をしない理由

時代劇でお歯黒をしている女性を見たことがありますか?見たことがある人は少ないはずで、ほとんどの時代劇ではお歯黒を再現しないのです。今お歯黒している人を見ると、多くの人が「不気味」「怖い」と感じるのではないでしょうか。そして見慣れない要素があると、そこばかり気になってしまい作品を楽しめなくなる可能性があります。時代劇はエンターテイメントとして沢山の人に見てもらう必要もあるため、一般的に馴染みのない、見慣れない要素は除いて作られているのです。しかし最近はあえてお歯黒を再現した時代劇も存在します。今では不気味に見える風習も忠実に再現することによって作品自体が注目されました。今後時代劇を見る時は、女性の口元を見てお歯黒が再現されているか確認してみてはいかがでしょうか。

まとめ

現代では「歯が白い人は美しい」という感覚があるように、昔は「歯が黒い人は美しい」とされていました。お歯黒はメイクの1つであり、顔を美しく見せるための手段だったのです。そしてただ歯を黒くするだけでなく、虫歯予防の効果があることもわかっています。時代劇でもほとんど再現されないお歯黒ですが、現在は歌舞伎や舞妓、祭りなどでお歯黒を見られるかもしれません。もしお歯黒を見る機会があったら、歴史的背景も含めて鑑賞してみてください。新たな視点で鑑賞できるかもしれません。