もりや歯科 院長 森谷 良行 | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院

入れ歯のスペシャリストとして、歯科技工士と連携して、レベルの高い入れ歯を提供されている森谷先生。義歯の製造方法で特許も取得されています。そんな先生に医院の特徴や今後についてなどインタビューさせていただいた。

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歯学博士
特定非営利活動法人一歯一心会 代表理事
平成30年 特許取得(「義歯の製造方法(特許第6454772号)」)

著書
患者さんの心をつかむ総義歯臨床 (共著)

先生が歯医者を志したきっかけは?

代々歯科の家系で、曾祖母も医科や歯科の区別がなかった時代に歯科を中心に活動していたと聞いています。私の父親は大学で教える立場だったのですが、叔父が歯科医院をやっていて、仕事をしている姿を身近に見ていました。患者さんは地元の方が多かったのですが、食事ができるようになったと喜んでいる姿を見て、人を喜ばせることができる職業ってすごいなと純粋に思っていました。その影響もあり中学生の頃には歯科医師を目指すことも視野に入れていました。
ところが高校時代は反抗期になり、父親から「歯科医師になりなさい」と言われても「なりたくない」と反抗していました。その頃は、歯科医師になることが嫌というよりは、他のこともやってみたいという気持ちの方が強かったのかなと思います。最終的に少なくとも1校は試験を受けなさいと言われたので、受けに行っても落ちるつもりで期限最終日に父親の働いている日本大学に願書を提出しました。それが試験の1か月前になり、ただ単に答案用紙を白紙で提出して落ちることが癇に障り、きちんと合格した上で、「私は行きたくないです」と言って断ろうという考えに変わり、猛勉強を始めました。そして、1か月間1日1冊ペースで問題集を終わらせた結果無事に合格することができました。
進学を断る予定でしたが、父親とすごく仲の良い同級生から電話がきて、「合格を知った父親がうれし泣きをしていたぞ」と言われました。兄も日本大学にいるのですが、兄が合格したときはうれし泣きするほど喜んではいなかったそうです。そして、父親が帰宅し、話をしているときもうっすらと涙を流している姿を見て、進学することを決意しました。

もりや歯科の特徴を教えてください。

当院では、「楽しく美味しく食事をして人生を豊かに過ごして欲しい」という思いで、治すことにこだわっています。治すというのは、1番は患者さんの希望を叶えることです。患者さんの希望は大なり小なり様々なので、できる限り1つ1つ確認して、私の持てる知識、技術、経験を駆使して治すことにこだわっています。そのために、CTやマイクロスコープ、レーザーなどの設備も積極的に導入しています。
私が親しくお付き合いしている方が上下総入れ歯なのですが、見た目だけでなく、食事をしていても、言われなければ入れ歯かどうか分からないと思います。おせんべいや氷もガリガリと食べることができていました。歯を失ってしまった人たちが、歯がある人と同じように食べられるようになったらご本人はもちろん患者さんの家族も嬉しいと思います。歯を失ってしまうと極端に人生がトーンダウンしてしまうので、楽しく美味しく食事ができる入れ歯を実現させたいと思っています。当院では、国内でも有数の技術をもった歯科技工士さんと連携して、レベルの高い入れ歯作りを行っているので、40代50代の入れ歯でお困りの患者さんがたくさん来られています。
また、当院ではカウンセリングも重要視しています。患者さんがどうなりたいか、何を望んでいるのか、その確認に多くの時間を割き、患者さんが言いたいことを言えるように心がけています。ただ、言葉にはできない部分もけっこうあると思いますので、それをこちら側が感じ取った際は、まず「今回お話を聞いていて、気になったことがあるのですが、お伝えしてもいいですか」と確認を取り、不要でしたら伝えません。患者さんに、聞く、聞かないも選択していただき、もし聞きたいということであれば、私が感じたことをそのまま率直に伝えるようにしています。

今後の歯科業界についてと展望を教えてください。

歯科技工士のなり手が減っています。今私は50代ですが、私の知っている歯科技工士は年齢が上の方が多いです。今後10年くらいで引退などによる減少が加速し、現在の半分くらいになってしまうかもしれません。歯科技工士学校の卒業生は、10年間で1万人もいないそうです。離職率も高い業界ではあるので、そうなると、職人技と言われているような部分が継承できなくなってしまう可能性が高いです。今歯科治療を受けている人の被せ物や詰め物、入れ歯の9割以上は、歯科技工士が作ったものを使っています。CAD/CAMといって、コンピューター制御の削り出しの機械も発展してきていますが、最後の1歩2歩のところで歯科技工士が手を加える必要があります。こうやって手を加えたらいいという絶対方式はありません。お口の中は、バリエーションがとても多いので、1歩2歩の違いを理解して、再現できる経験を積んだ歯科技工士が必要です。AIでチャレンジしようとしている業者さんも知っていますが、どこまで再現できるかわかりませんし、それができた瞬間に技工士問題が解決するわけではないので、歯科技工士の減少はすごく気になっている問題です。
また、現在7万件弱の歯科医院がありますが、今後は歯科医院の数も年齢による引退で減少していくのではと言われています。それにより、引退後の歯科医院の継承問題が起こります。私の家族の話で言うと、私の子どもたちは歯科大学に行っていないので、直接的な継承は歯科大学に編入しない限りありません。現在29校の歯科大学があるのですが、多くの大学では、親が歯科関連の仕事ではない人が半数くらいいます。それはそれでいいことですが、逆に言えば、今ある歯科医院を親から直接的に継承できる人が半数もいないということになります。今後それが極端に加速すると急に歯科医院の少ない地域が現れるかもしれません。そうなると、歯科技工士の減少問題と重なって、対応できなくなる分野ができてしまうことを危惧しています。

「楽しく美味しく食事をして人生を豊かに過ごして欲しい」というのが、私が歯科医師をやっている理由でもあり、人生を賭してやりたいことでもあります。50歳を過ぎると私の歯科医師人生が残りどれくらいなのだろうかと考えることがあります。今までやってきた日数をそのまま同じ勢い、スピード感ではできなくなると思います。そこで大事なのが、注力する分野を絞ってやっていくことです。私は入れ歯にはすごくこだわっていきたいと思っています。提携している歯科技工士さんと一緒に切磋琢磨しながら快適な入れ歯を提供していきたいです。そして、その知識、技術をできる限り多くの人に継承していきたいと考えています。2人、3人、4人と継承していくことができれば、私が1人で関われる人数よりも、当たり前ですが、もっと多くの方に喜んでいただけるようになります。十数年後には、歯を失う人は、今よりも減ると思います。そうなると歯科医師側も担い手が減り、入れ歯を学びたいという人も減るかもしれません。だからこそ、きちんとできる人たちを十数年後に向けて、継承していきたいと思っています。

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