鈴木歯科医院 医療法人社団 晃嶺会 理事長 鈴木 久史 | 歯医者の選び方 | 歯医者がおすすめする歯科医院

アジア人で唯一のB.O.P.T.インターナショナル創立メンバーである鈴木先生。日本でもB.O.P.T.コンセプトを広めるべく、B.O.P.T.japan®を設立し、指導にあたられています。そんな先生に医院の特徴やB.O.P.T.コンセプトについてなどインタビューさせていただいた。

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B.O.P.T.japan®代表
B.O.P.T.インターナショナル創立メンバー
講演・実習・雑誌掲載・Webinarなど実績多数

鈴木歯科医院の特徴を教えてください。

 当院では、患者様と歯科医師と歯科衛生士とクリニカルアテンダントと受付が1つのチームとして患者様の口腔内の治療・サポートをするというスタイルで診療を進めていくところが大きな特徴になっています。
 質の高い治療を行うことはもちろん、歯科衛生士によるメインテナンスや個々のライフステージに合わせた保健指導、最終的には定期健診に通っていただき、当院で行った処置が長い期間良好な状態を保ち続けられるようしっかりサポートしていくことは、かかりつけ医としてのベストな方向性だと考えています。
当院の治療は、現在出ている症状だけを診るのではなく、5年、10年、更にその先の将来のお口の状況も鑑みながら、様々な方面から熟慮したベストな治療法を複数ご提案させていただき、その中から患者様がご納得できる治療法を選んでいただく形をお取りしています。
 患者様のご希望に如何にお応えするか、またその治療結果を長く安定させる為にも、治療計画のご相談にはとても力が入ります。現在はインターネットの時代になり、患者様が色々なことを事前にインターネットで調べて、「こうして欲しい」とご要望をおっしゃることも増えました。ただ、患者様のご要望が、単体であればよい方法であっても、嚙み合わせなど全体のバランスを考えるとその歯にとってよくない、長くもたないという場合もあります。その際は、その方法は危険かもしれないので、止めておいた方がいいとお伝えせざるを得ないこともあります。かかりつけ医として長く患者様とお付き合いをしていく上で、5年後、10年後に患者様に街で出会った時に、「先生のところでの治療が10年間良い状態で使えているよ」とか、「10年間しっかりと噛めています」と言っていただくことが最も嬉しいからに他なりません。当院では、目先のことだけを考えた治療ではなく、長期間より良い状態で安定する治療をご提供したいと考えて診療していることをご理解いただけるとありがたいと思っています。

 またご存じのように、日本での歯科治療には保険診療、自費診療という制度上の区別があります。これは日本の国が独自に決めた制度の話であって、治療技術の差の話ではありませんし、世界的には通用しないシステムでもあります。保険診療を簡単に考え、保険だったらこの程度でいいだろうと治療を進める歯科医師もいるという話も聞こえてきますが、治療技術を分けてしまい、保険診療だからと安易に歯科医師が治療に取り掛かってしまうことがあることには、疑問と理不尽さを感じています。
 治療技術のベースは材料や治療内容に関係なく研鑽を積み、ベストな治療ができる腕を日々磨くべきで、材料に制限がある保険治療であっても、多少のリスクはあるにせよ可能な限り工夫して技術を発揮することが重要だと考えています。

B.O.P.Tコンセプトとの出会い

 かかりつけ医である以上は、自分で行った治療の予後には当然責任を持たなければならないと思っている私がインプラント治療を行なっていく中で、歯科業界全体の大きな問題の一つでもある『歯肉退縮』は大変重要な課題のひとつとなっていました。
きっかけは、患者様の前歯を治療したときに、「どのくらいもちますでしょうか?」と言われたことでした。
 その際、「長くもちます」「リカバリーはこういう方法があります」とお伝えできる技術を持つことはかかりつけ医として必然だと思いましたので、必要な治療技術や材料などの準備は整え、『歯肉退縮」のリカバリーや対処療法として「結合組織移植」や「軟組織移植」など移植手術で、歯茎を作ったり歯肉の厚みを増したりして 口腔内を整え、より良い状態を保つことが出来るような治療を提供してきました。
 ただ、この対処療法は 「手術」が伴う為に 患者様の身体の負担や痛みが大きく、少しでも患者様の負担を少なくしたいと思っている私には悩みの一つとなっていました。
私自身、インプラントに関する歯肉の移植についてかなり勉強し、既存のインプラントのリカバリーに備えてはいましたが、そんな時、『B.O.P.T.コンセプト』に出会ったのです。『B.O.P.T.コンセプト』というのは天然歯にもインプラントにも臨床応用できる治療技術で、大変魅力のある画期的な治療法でした。この方法が、私が歯科医師になってからずっと考えていた「治療をいかに長期的に安定させることができるか」、また治療後に起きる事のあった「歯肉退縮予防に対する答え」だと感じたのは言うまでもありません。
歯茎のリカバリーでは、歯肉移植などがそのメイン方法となっていますが、そもそも術後のリカバリーではなく、最初の治療の時点において歯茎が下がらないようにできることが一番なのです。私は、B.O.P.T.コンセプトにのめりこみ、学ぶ為に年に5,6回イタリアに渡ることとなりました。
 思えば、テレビCMも2~3年くらい前までは 電動歯ブラシの宣伝が目立っていましたが、最近は「歯茎を守る」というキーワードでテレビCMを提供する企業も出てきています。綺麗な歯を入れることができるようになったこの時代、歯茎が退縮して歯が伸びたように見えることは見た目を損なうだけでなく、歯周病や虫歯のリスクが3倍になるとも言われていますので、それをリカバリーという対処方法ではなく、根本的な治療法を変える事(B.O.P.T.)で予防できる方がより重要だと思うのです。現在、世界のトレンドとしても『歯茎を守る』ことは非常に注目されていることを感じています。
 当院では、初診や再診、定期検診の際に患者様の歯茎の退縮具合をチェックし、歯茎を守るための補綴や様々な施術をB.O.P.T.コンセプトで行なえるところは大きな特徴になってきています。
 インプラントやクラウン、ブリッジなど幅広い適応範囲があり、複雑な外科処置なく、患者様の身体への負担も軽く、歯茎の状態や被せ物を長く維持できるということが『実証』されている最先端の画期的な治療技術のひとつとして、B.O.P.T.コンセプトは、世界的にも認められ 広がりつつある治療法となっています。

B.O.P.T.コンセプトの広がりとB.O.P.T. Japanの設立について

 私がイタリアに渡って勉強している間にも、イタリア、スペインを中心にB.O.P.T.コンセプトはブラジル、メキシコ、アメリカ、エジプト、中国など世界中に広がっていきました。 現在、イタリアやスペインでは約4割の歯科大学で、主たる授業、治療が全てB.O.P.T.に変わっているのが現状となっています。また、中国とブラジルにはB.O.P.T.を学んで帰国した人が運営している専門学校が開校しています。
 世界的に比較してみると、実は日本人の歯茎は非常に薄い方の割合が多く、とてもデリケートなので、より繊細な治療が必要だと思います。だからこそ、B.O.P.T. コンセプトでの施術がベストだと感じることも多いのですが、誤解しやすい技術でもあることから 正しい概念や治療技術を学ぶことは大変重要なことだとも感じています。
私も知れば知るほど、このB.O.P.T. コンセプトは、日本人に最適だからこそ日本でも広めていきたいと強く思うようになり、2018年3月、B.O.P.T. コンセプトの世界的権威であるイタリアのロイ先生を顧問に迎え、『B.O.P.T. Japan』というスタディグループを設立するに至りました。活動は年々成長しつつあり、現在の会員数は歯科医師、歯科技工士合わせて100名を超えるグループになっています。
現在 B.O.P.T. Japanでは、後進の育成をしていくための核を作っています。B.O.P.T.コンセプトは、それを理解する歯科医師と優れた歯科技工士とのチーム診療が必須条件なので、歯科技工士にも歯科医師同様基本から学んでいただく必要があることや今までの治療概念とは全く異なった治療法であることをお伝えしながら共に研鑽を積み続けていることが重要です。これからも、私の役目のひとつとして より多くの歯科医師に正しいB.O.P.T.治療を行なっていただけるよう今後も正しいB.O.P.T. コンセプトを日本に広め、患者様の為になるB.O.P.T.治療をより発展させるべく、努力をし続けたいと考えています。

今後の歯科業界について

 今の歯科技工士業界は、技工士学校がどんどん廃校になり技工士の数が減っているという悲しい状況があります。私がある研究会に呼ばれてウェビナーを開講させていただいた折にも、日本補綴歯科学会の重鎮の先生から「是非このB.O.P.T.コンセプトを根付かせて、技工士を救って欲しい」と言われたことがありました。
 また、私がイタリア、ローマで技工士向けの講習会に参加した折、こんな事もありました。イタリアでも歯科技工士は日本と同じように技工士として生活していくことが厳しく、このままでは息子に継がせることもできないという人が多かったのです。しかし、B.O.P.T.コンセプトの話を聞いていた技工士の顔色が変わっていきました。「これで息子にも継がせることができる!」と。
講習会も終わりに近づくにつれ、会場はすごく熱気に溢れていました。イタリアに限らず、同じ現象は日本でも起きてくるのではないかと思い、とても楽しみにしています。
B.O.P.T.コンセプトは、歯科医師と同様に歯科技工士の存在が大変重要なポイントとなる治療法なのです。

今後の展望

 現在、B.O.P.T.治療について研鑽し続けているグループとして『B.O.P.T.インターナショナルオフィシャルグループ』というものがあり、ロイ先生を筆頭に、私はアジア人では唯一の創設メンバーとなっています。現在の会員数は約4100名、このグループのメンバーには 紹介制でしか入ることはできません。ここでは、光学印象の専門家や材料学の専門家、外科の専門家など色々な人たちが紹介制で集まり、「こういったやり方でもできるのでは?」「この材料はどうでしょうか?」といったような議論が日々交わされています。
B.O.P.T.コンセプトは、これといって正しく説明されている書籍などが無く、デリケートな説明が必要で且つ日本では言葉(表現)の問題も見受けられることから、今までの治療の概念をアレンジしたような形でB.O.P.T.とは異なってしまう治療が行なわれている現状もあることが心配されています。正しいB.O.P.T.としての基本に準じた術式をきっちりとやっていけば必ず結果は出るのですが、歯科医師が自己流の方法や従来法からの推測で治療を行うと一見うまくいったように見えても結果が長く続かないなどうまくいかないことも否めませんし、施術の際の注意点が抜けていても失敗に繋がってしまいます。B.O.P.T.コンセプトは、「移植」のようにスペシャリストだけしかできないようなことではありませんが、今までにない新しい概念の治療法で学び直す必要がある技術であることは間違いありません。
 今後、 日本でも正しいB.O.P.T.コンセプトで治療が行なえる歯科医師や歯科技工士が増えていき、少しでも多くの歯科医院から患者様が喜んで頂ける治療の提供ができるようにサポートしていきたいと考えております。

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