生涯にわたってご自身の歯でおいしく食事を楽しめるよう患者さんにとっての最適な医療を考えて、日々診療されている中川歯科医院。中川晋輔先生は、日本補綴歯科学会の専門医資格に加え、日本口腔インプラント学会の専修医資格も取得されており、幅広い治療に精通されています。そんな先生に医院の特徴や今後についてなどインタビューさせていただきました。
歯学博士
日本補綴歯科学会 認定医 専門医
日本口腔インプラント学会 専修医
先生が歯科医師を志したきっかけは？
歯科医師である父親の影響が1番大きいです。当院は1度改装工事をしているのですが、それまでは自宅と医院が併設していました。なので、裏庭から父親が働いている姿や患者さんの様子を見ることができました。そんな環境で育ったので、地域医療に貢献し、患者さんの健康を守り続ける父親の姿に憧れ、私自身も父親のような歯科医師になりたいと思うようになっていました。
また、中学生のときには父親に矯正治療をしてもらいました。元々ガタガタだった歯並びがきれいになった経験から、歯科医療の素晴らしさを身をもって実感したことも歯科医師を目指したきっかけになっています。
中川歯科医院の特徴を教えてください。
当院は1984年に開院して以来、ありがたいことに長く通っていただいている患者さんが多く、ご家族で来院いただけている方もいらっしゃいます。
院長である父と私が共通して大切にしている理念は、患者さんが生涯にわたってご自身の歯でおいしく食事ができるようにするためには、どのような治療を行うべきかを常に考え、自分自身が受けたい、自分の家族に受けて欲しい治療を患者さんにも提供することです。
患者さんのニーズに応えられるよう、私が専門医資格を持つ補綴分野はもちろん、矯正治療や歯周病治療、小児歯科など幅広い分野にも対応しています。
また、父はインプラント治療が普及し始めた当初から研鑽を積んでまいりました。私自身も岡山大学病院のインプラント科に残り、助教授として研鑽を重ねるとともに、日本口腔インプラント学会の専修医資格を取得しています。そのため、骨が不足している患者さんへの骨造成手術といった難症例や義歯とインプラントを併用した治療にも対応できるところも当院の特徴の1つです。他院でトラブルがあった患者さんや紹介の患者さんも多くいらっしゃいます。
患者さんはご自身の歯の状態を理解しているようで、実は理解できていないことが多いので、できる限り写真を多く撮り、その写真を活用してわかりやすく説明することを心がけています。大学病院時代の経験も活かし、学術的な背景に基づいて説明できることも当院の特徴です。
また、大学病院時代から診療時間は長く確保し、しっかり時間をかけて説明と治療をしてきたので、当院でも1時間単位で予約を取らせていただくことが多いです。
導入している設備としては、CO2レーザー、マイクロスコープ、歯科用CT、口腔内スキャナー、セファロなど患者さんの治療精度を高める様々な機器を取り揃えています。
今後の歯科業界についてと先生の展望を教えてください。
日本人の予防歯科への意識は高まってきているので、むし歯や歯周病は減少していくと思います。ただ、高齢化は進んでいるので、歯科医療のニーズ自体はなくならないと考えています。
一方で、地域によってはニーズがあるにも関わらず、歯科医師の高齢化により後継者が不在のところも多く見られます。後継者である子供が、地方から都会の大学の歯学部に進学し、そのまま都会に残って帰ってこないというケースも少なくありません。
そのため、地域によっては長年通ってきたかかりつけの歯科医院がなくなり、患者さんが医院を変更せざるを得ない状況になってしまうことも今後は増えていく可能性があるのではと思っています。
さらに、歯科技工士の高齢化や減少も問題になっています。どんなにきれいな仮歯を作っても、正確な印象を採っても、それを最終的に作ってくれる技工士がいなければ仕事は成立しません。
日々デジタル技術は進歩しており、当院でも3Dプリンターや口腔内スキャナーを使用していますが、補綴に限らず、アナログでの対応が必要な治療は必ず残ります。なので、義歯・入れ歯を作ってくれる技工士が減ってしまうと、1人あたりの仕事量が増え過ぎて、歯が完成するまでに数週間待ちといった事態に陥ってしまうのではないかと危惧しています。
歯科医師が患者さんの健康を考えて取り組むことももちろん重要ですが、歯科衛生士や歯科技工といった、我々歯科医師を支え一緒に働いてくださっている方々の地位向上についても、国に働きかけていく必要があると考えています。
今後に関しても、長い間、ご家族単位で通院してくださっている患者さんが多いので、その患者さんが生涯にわたってご自身の歯でおいしくご飯を食べられるように、一人ひとりのライフステージに合わせて最適な医療を提供していきたいと思います。
