患者さんのご要望を最大限に汲み取り、一人ひとりに最適な治療をご提供されている鈴木先生。入れ歯と噛み合わせの専門学会である日本補綴歯科学会の専門医資格も取得しており、超精密なオーダーメイドの入れ歯をご提供されています。そんな先生に医院の特徴や今後についてなどインタビューさせていただきました。

歯学博士
日本補綴歯科学会 専門医
日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医
学会発表・講演・論文実績多数
先生が歯科医師を志したきっかけは?

私が歯科医師を志したきっかけは、歯医者が嫌いだったことです。幼少期に受けた治療があまりにも痛く、麻酔も嫌で、怖い思い出しかありませんでした。 そんな経験から、「自分なら痛みや恐怖を感じさせない治療をしたい」という気持ちが芽生えたのと、歯科医師はいったいどんなことをしているのかをきちんと知りたくなり、歯科医師になることを決めました。
鈴木歯科医院の特徴を教えてください。
多くの歯科医師が“Evidence Based Medicine”といって、根拠のあるデータを基準に「これが1番いい治療方法だ」と提案したり、費用を基準に「高いから1番いい治療方法だ」と提案したりしていますが、私はその考え方は間違っていると思っています。
患者さんごとに治療に対する考え方や価値観は当然異なります。お金や時間をどこにかけたいかも人によって違うため、当院ではそういった点を踏まえ、患者さん一人ひとりに合った医療を提供しているところが特徴です。
そのために力を入れているのがコンサルテーションです。こちらから一方的に提案するのではなく、患者さんの思いや希望を丁寧にヒアリングの上、最適な治療方法をご提案させていただきます。

当院は入れ歯の治療に注力しています。インプラントや前歯部の審美補綴は、噛めるようになったり、白くきれいになったりすればご満足いただける方も多く、その後にトラブルが起きるとしても5年後、10年後ということが多いので、歯科医師による違いがあまりわからない分野です。
しかし、入れ歯はそうはいきません。入れた瞬間から見た目にも影響しますし、「喋れない」「噛めない」という問題がすぐに出てきます。歯科医師にすすめられるまま入れ歯を作り、失敗してしまったという方も多いのではないでしょうか。
当院ではまず仮の入れ歯を作り、実際に使っていただいて、噛み心地などを確認していただいた上で、最終的な入れ歯を作っています。その分費用と時間はかかりますが、本当に納得のできる入れ歯にしたいという方にとっては最適な方法だと思っています。
私は長い目で見てしっかり使えるもの、できる限りトラブルが少ない方法を基本的にご提案させていただきます。
また、当院では自費の入れ歯の方には必ず、入れ歯を使いこなしていただくためのトレーニングを行っています。
入れ歯は良いものさえ入れればいいといったものではありません。そもそもの使い方が間違っていることもあります。
患者さんが入れ歯をどの程度使いこなせているのか、なぜ噛めないのか、どこを改善すれば噛めるようになるのかをチェックしながら、トレーニングをしています。
何が食べられないのかを伺った上で、その食べ物を実際に用意し、目の前で食べていただくこともあります。そんな歯科医院はほとんどないと思います。

内装面の特徴は、土足のまま診療スペースに入っていただけるところです。女性目線の医院づくりを心がけていたので、例えばブーツで来ていただいたとしてもスリッパに履き替えていただく必要がありません。
感染予防対策も徹底しています。治療器具の洗浄後は、技工物作成用の拡大鏡を使って手作業で汚れを取り、その上で世界で最も厳しいヨーロッパ基準のクラスBオートクレーブを使用して滅菌処理をしています。
さらに、滅菌が困難なものは使い捨て製品を使用したり、削りカスを吸い取る装置を設置したりと常に院内を清潔に保ち、院内感染の防止に努めています。

今後の歯科業界についてと先生の展望を教えてください。
今の義歯業界は保険が中心です。その仕組み自体は、患者さんにとっても歯科医師にとっても一定のメリットがありました。しかし、その一方で、実際に入れ歯を作る歯科技工士がどんどん減っていってしまいました。
日本人の歯科技工士は世界的に見ても非常に器用で、技術力も高いです。ただ、その技術を存分に発揮できる環境がありませんでした。
現在は3DプリンターやCAD/CAMといったデジタル機器が普及し、今後間違いなく保険の入れ歯はデジタルが主流になっていくと思います。
当院でも3Dプリンターなどのデジタル機器を導入しています。そのデジタル機器を駆使すれば、「使える入れ歯」を作ることは十分可能です。1回デジタルで型どりをすれば、入れ歯が壊れてもデータが残っているので、同じものを再現することができます。
ただ、現時点ではデジタルで作った入れ歯は、決して“良い入れ歯”とは言えません。最終的に本当に“良い入れ歯”に仕上げるには歯科技工士の手による調整や仕上げが欠かせないと考えています。
こうした背景もあり、精度の高い入れ歯を作ることができる腕利きの歯科技工士を減らしてはいけない、守りたいという思いで、私は「DENTUREX (デンチュレックス)」という組織を立ち上げました。
この思いをどこまで形にできるかはまだわかりませんが、動かない限りなにも始まりません。今後はこの思いに賛同してくれる仲間をどんどん増やしていきたいなと思っています。


